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12 ニート&ナイトⅢ

『お台場には巨大不明生物が出現したとの情報も――』


あっ、踊る大捜査線で見たところだ。

しっかしニュース見る限り日本どころか世界レベルでヤバいなこれ。

モンスターの出現も同時多発で警官だけじゃ足りないだろうし、どこに現れるかわからないせいで避難所なんて作れないだろうしなぁ。


「ヤマムラシマ殿、あそこから凄く良い香りがするな!」


すごくキョロキョロしてるなぁ。

初めて火を見た原始人とかこんな感じなのかな。


「声大きいよ……」

「そうか?それはすまなかった」


まあこの時間のパンコーナーは焼きたてだし匂いが凄いから仕方ない。


「しかしヤマムラシマ殿は声が小さくて可愛らしいな」


私を口説いたってなんも出さないぞ。


「パンは帰りに買ってあげるから……」

「おお!ありがとう!」

「まあパンくらいはね、安いし……」

「すまない、私の金はここでは使えないし、きっとこれも使えないだろうなぁ」


そう言いながら首と腰に吊り下げている子汚い小さな革袋を触っていた。


「それはなに……?」

「これは認識袋だ、この革袋には私の所属や名前が彫られていて魔宝石と家族や友人の髪などが入っている」

「え?なんでそんなもん入れてんの……?」

「かなり少ないが髪の毛の主を特定できる能力を持つ者もいるからな、魔宝石は帝国の通貨が使用できない場所での取引、認識袋を騎士団に届けてくれた者への報酬などにもなる」


その魔法石とやらに価値があるなら盗まれたりしないのかな。


「おおっ?なんだこの動く階段は?」


まずは着替えと日用品を買うために二階へ、あとは保存食と今日の昼飯と晩飯。

出費が厳しいけどお金がただの紙切れになる前に使った方が良い。

今はまだ学校や会社に行く人ばかりだけど、秩序が崩壊した時に缶詰を取り合う競争が始まらないうちに保存食を買い溜めしよう。

幸いにも平日かつ昼飯には早い程度の時間かつモンスターの発生が重なって人がほとんどいない。

というかここ店員足りてるのかな。


「あ、あの白い者はなんなんだ?」

「服とかの商品はああやって飾るんだよ……似たモンスターでもいるの……?」

「いや、ただ気味が悪くないか?私はちょっと怖いぞあれ」


まあ暗いところだったら怖いかもしれない。

ホラー映画やホラーゲームでマネキンは定番だし。

しかし見習いとはいえ騎士がマネキンにビビるのは面白いかも。


「あれは動いたりしないんだよな?」

「ただの人形だってば……」


とりあえず適当な大きさの肌着、無地で三枚組みのやっすいやつ。

しかし下着はサイズ測らないとわからない。


「というわけで脱げ……!」


こいつの皮鎧の下がどうなっているのか気になる。

やっぱり騎士というからには筋肉もりもりマッチョマンだったりするんだろうかねぇ。


「素肌を晒すのは恥ずかしいのだが……測り方教えてくれないか?」


教えるわけないだろ素肌が見たいんだからよぉ。


「私が測りながらメートル法を教えてや――」


というところでまた地震が来た。

地震が起こるたびに異世界から何かが転移して来るのではないかと言っていたけど、これでまた何かが来たのかな。

私のマンションにはあまり来ていませんように。


「ヤマムラシマ殿、何か妙だ」

「え?なにが……へ?」


突然天井の照明が消え、なぜか窓からの光も射し込まなくなった。

そしていつのまにか床や壁が錆びたような汚れがついていて、屋内だというのに薄っすらと霧がかかっている。

つーか暗い、何も見えないぞこれ。

携帯電話とかずいぶん前に持つのやめたしどうしよう。

あっ、そういえば――


「ヤマムラシマ殿、そこにいるか?」

「うわっ!」


不意に肩を掴まれて反射的に声出しちゃった。


「落ち着け私だ」

「びっくりした……」

「驚かせてすまない、すぐに灯りをつけるから離れないでくれ」

「う、うん」


それからすぐにカチッという音がしたと思ったら炎が見えた。

カタリナがアイテムボックスに入れていたのであろう松明を手に持っている。


「松明なんて持ってたんだ……」

「竜剣士隊は常に一つ持たされる、先端に仕込まれている発火鱗を地面に叩きつけて割ればすぐに火がつく、発火鱗は高価だから昔うっかり割った時はすごく怒られたなぁ」

「ああそう」


とりあえず灯りがあるならよし。

しかし松明とかつけちゃってスプリンクラーが作動しないか不安だな。


「うむ?階段はあっちではないか?」

「いや、すぐそこの柱に……あった」


この建物は消火器の上あたりに非常用のライトが壁にくっつけられている。

オンオフのスイッチがなくて取ると勝手に点灯するタイプのやつが。


「なんだそれは?」

「懐中電灯」

「私はなんのために発火鱗を消費したんだ……」

「懐中電灯を見つけるため……?」


まあ手探りでも見つけられたような気はするけどね。


「とりあえず外に出よっか、ついてきて……」

「わかった」


エスカレーターから一階へ降りるよりも非常階段の横の扉から駐車場を目指す。

なぜか窓からは光が見えないけど駐車場はほぼ外みたいなもんだから日光を拝める。

すぐに扉を発見して駐車場に出た。


「な、なにこれ……?」


駐車場には壁がないはずなのに真っ暗で、懐中電灯の光を当ててみると霧があった。

霧なのに手で触れることができて、見えない壁のようになっていた。


「これはまさかっ!」

「し、知ってるの……?」

「ダンジョンだ、この建物がダンジョン化したらしい」


カタリナがアイテムボックスから剣を取り出しながらそう言うと、後方から足音が聞えた。

私も慌てて剣を取り出して懐中電灯を向ける。

するとゆっくりと近づいて来る人が見えた。


「店員さん……?」


それは確かに人の形をしていたけれど、近づくにつれてその正体がわかり、体が震えて鳥肌が立つのを感じた。


「ヤマムラシマ殿、あれはただの人形だと言ったじゃあないか……」

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