50話 地球side 風呂上がり
風呂から上がって、ルリララは少しぐったりしている様子。
警戒が足りなかったと少し反省している。
よく考えれば、莉子の風呂乱入など簡単に想像できそうなものだ。
警戒しておくべきだったろう。まあ後悔しても仕方ない。
脳の疲れを意識しながら部屋に戻ってきた。
広いリビング。
4人掛けのテーブルに、大きな窓、それから無地の質素なカーテン。
「……」
なんとなしにルリララは目を細める。
大きな部屋に置いてあるのはたったそれだけだ。
時計やカーペットなどの調度品はない。
殺風景だと彼女は感じた。
莉子の部屋もそういえば、あまり物を置いていなかった。
机や洋服ダンス、ベッドと小物入れくらい。
なんというか生活感を感じない。
昼間の幻覚を思い出す。
蛆の湧いた柱。剥げ落ちた土壁。密度の濃い瘴気。
単に疲れていただけなんだろうか。
奇妙な違和感が拭いきれないでいる。
「わあミミナナ、髪の毛がきらきらしてる!」
「えへへー」
ま、いっか。
ミミナナが楽しんでるのだ。怪談もどきを語って場を白けさせてはいけない。
ルリララは気を取り直す。慣れない環境で疲れている、そう結論付けた。
もう夜も更けてきた。よい子は寝る時間だ。
深夜。
布団の中でミミナナは少しだけ|身動≪みじろ≫ぎする。
寝る前にトイレは済ませている。
トイレ直前に飲んだアイスミルクが原因だろうか。
もうすぐ夏だというのに、少し寒い。
ブルリと震える。薄手の布団を被って少女は身体を丸めた。
しかし迫ってくる尿意、耐えきれずに意を決して立ち上がる。
いたいけな股間を抑えながら立ち上がり、溢れないようにゆっくり歩く。
恐る恐るドアを開けた。
そっと階段を覗きこむ。
幼いミミナナの肌を撫でるように、すうっと冷たい風が流れ込んだ。
眼下に広がるのは果てしない真っ暗闇。
向こうに魔物が潜んでいるような。
そんな瘴気に似た何かをミミナナは感じた。
「ううっ……」
涙目になる。
ワーキャットで夜目が利くとはいえまだまだ子供。
たとえ大人の男を投げ飛ばせても、やっぱりお化けは怖い。
朝まで我慢できそうにないと、幼いながらに判断した彼女は。
「ルリララおねえちゃん……」
隣で寝ている、姉のように慕っている少女の袖を引っ張った。




