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41話 地球side 猫耳少女の妹

 用事があるというヴァイスを置いて、4人は優汰の部屋に転移した。

 ルリララはこっちの世界に来るのは2回目で、落ち着いている様子。

 一方ミミナナは、びっくりした様子で周りをキョロキョロと見回している。


 やはり、ルリララのそばを離れない。

 臆病なようだが、目は鋭い。

 幼くてもワーキャットなのだろう。


「そんじゃ、俺はバイトに行ってくるから。後よろしくな」


 このまま3人を置いていって大丈夫なのかといった様子で、優汰は家を出発する。

 結局、今日やるアルバイトはとある建設業の荷物運びだ。

 莉子達のことは心配ではあるものの。

 1日だけの短期契約とはいえ、遅刻はしたくない。


 そうして荷物を詰めたカバンを持って、駅のほうへ走っていった。

 優汰を見送った莉子はルリララとミミナナを連れて自分の家に案内した。


「……」


 ミミナナはいつまで経っても、ルリララにしがみついて離れない。

 少し莉子に対して警戒心を持っている様子だ。

 初対面でいきなり抱きついてしまったのが原因だろう。


「莉子は優しい子だからさ、安心しろ」


 そういや初対面の時、アタシも抱きつかれたなと思いながらも、ルリララはフォローした。


「……ほんとう?」

「ゴメンね、さっきははしゃいじゃって」


 莉子はゴメンなさいという風に頭を下げる。

 可愛い物を見るとついテンションが上がって抱きついてしまうのは、彼女の悪癖だ。


「そうだ!」


 莉子はなにか思い付いた。


「ミミナナちゃんは、オシャレとか興味あるかな?」

「おしゃれ?」






「可愛いー! 似合ってるよ」

「そう、ですか?」


 困惑しつつ、でも少し楽しそうにミミナナは返した。

 莉子が小学生の頃に着ていたスカートとセーターは彼女にぴったりのサイズだ。


 彼女は幼いながらもワーキャットらしく猫っぽい、細くしなやかな身体付きをしている。

 整った顔立ちといい、ジュニアアイドルと紹介しても通じるだろう。


「つづいてルリララの髪型完成!」


 差し出された手鏡を覗く。

 髪の一部を左右で束ねた髪型。ツーサイドアップだ。


「似合わねえだろ」


 ルリララはぶっきらぼうにそう言いつつも、さりげなく手鏡でいろんな角度を確認する。


 とても似合っていた。

 普段の粗野なイメージは完全に吹き飛んでいる。

 長い黒髪。ぱっちりと開いた瞳。雪のように白い肌。可憐な服装。

 ミミナナより少しだけ成長した身体は未成熟な、ふくらみかけの果実のように儚く美しい。

 深窓の令嬢のような雰囲気すら醸し出している。


 ちなみに莉子から見れば、ネコミミや尻尾が色んな意味で異彩を放っていたが、その点については言及しなかった。


「女の子はオシャレに気を使わなくちゃ」


 ルリララは目をぱちくりとさせる。


「?」

「いや、つい最近まで男共ばっかのトコにいたからな」


 つい先日のヴォイテーヌ金鉱への遠征任務だ。あれに参加した女性はルリララただ1人だけだった。

 戦は男の領分であり、女性同士の交流など望めない。

 それでなくても莉子以外に、同年代の女性が身近にいない。強いて云えばミミナナくらいだ。


 恋愛についても、すでに許嫁のエンレゥがいるのだ。

 そんな環境では、外見を取り繕ったところで仕方無いだろう。


「じゃあ次は、ミミナナの番だね」


 自分の番が回ってきて、ミミナナはとても喜んでいる。

 ルリララがどんどん可愛くなっていくのを見ていたからだろう。


「髪飾り、いっぱいあるよ」

「わあ!」


 色とりどりの綺麗な髪飾りをたくさん、莉子は机の上に並べていく。

 ミミナナは一目見て気に入ったのを選んだ。


「これ!」


 指差したのは四つ葉のクローバー。

 少し昔に放送されていた魔法少女のアニメで、主人公の少女がつけていたものだ。


「どんな髪型してみよっか」

「ルリララおねえちゃんとお揃いがいい!」


 元気に返事をするミミナナ。さっきまでの警戒心は吹き飛んでいるようだ。


「ハイ出来た!」

「やった!」


 同じ髪型にしてもらったミミナナは、嬉しそうにルリララにぎゅっと抱きついた。


「ほらちゃんと、莉子にお礼言わないと」

「莉子おねえちゃん、ありがとう!」


 莉子は幸せそうに顔をほころばせる。


「いいなー私も妹とか欲しかったな。2人とも私の姉妹にならない?」

「流石にそれは遠慮する」

「えー残念」


 ふてくされる莉子を放って、なんとなしにルリララは部屋を見渡す。

 優汰の家と比べて小物類やインテリアは少ないが、掃除が行き届いていて綺麗だ。ゴミもほとんど落ちていない。


 壁紙も白を基調としている良いものだ。

 ルリララ達のほうの世界には、壁紙という文化はない。

 白い花柄は清潔感があるし、また温度や湿度や湿度の調節効果もあるらしい。


 いいな、こういうの。彼女はふと思った。

 勇者パーティとか一段落したら戦いなど忘れ、少し自分の時間とか持ちたい。

 そんな風にルリララは思いながら、穏やかな気持ちで眺めていて。


 唐突にそれは歪んだ。


「(!?)」


 朽ちて蛆の湧いた柱。ぼろぼろに剥げ落ちた土壁。なによりも密度の濃い瘴気。

 ルリララは目を疑った。

 胃袋から強烈に汲み上がってくる吐き気を我慢した。危険信号。無意識に手が、太腿のバンドに伸びようとする。


 次の瞬間にはもう戻っていた。

 手は1cmも動いていなかった。

 それだけ刹那の間。

 目の前に広がるのは白くて清楚な壁紙。どこにもおかしい点は無い。


「どうしたのルリララ」

「いや、なんでもない。それよか~~」


 疲れているのだろうと結論付け、眉間を揉みつつ彼女は話題を変えた。


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