第5話 汗を待ち侘びて
プレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレスプレス。
プレスである。
見た目も性能も低レベルな残念マシンガンを、せっせと汗水垂らして量産するこの地獄な所業の名は。
プレスである。
ただそんなつまらない上、単純作業の賜物で腕が痛むこと以外なし得なかったプレスが、昨日のある出来事によって劇的に変わった。それは。
プレスである。
否、憑依である!
『この腕を上げては下ろすって動き……訓練の一環でしてもおかしくない辛さですね』
そうだろうそうだろう?
この辛さを共感して貰えるだけ嬉しいのに、フレディーが私に憑依して労働までお手伝いして貰えるなんて……この上ない幸せ!
ま、私の身体だから結局疲れるのは私なんだけども。
それでも良いのだ。私の身体を美青年が思うのままに動かすというだけでも発情案件なんだから。
……おっとまずい、状況を再認識しただけで身震いが。
『それにここの工場風通りも悪いですし、熱がこもってとても暑いです。汗が止まりません』
そうだろうそうだろう?
その調子でフレディー水を生成するんだ!
フレディーが私の身体を動かしかいた汗は、実質フレディーの汗とも受け取れるかもしれない。
憑依してかいた汗は間接汗と言っても過言ではないのだ!
『過言ですよ』
ああ、これでは毎日洗濯されるフレディー水が勿体ない。本物のフレディー水を堪能したいところだけど、間接汗もこの時でしか堪能出来ないレアな代物なのだ。
寮に帰ったらすっぽんぽんになってスーハータイムだな。
『エリンさん、自分の汗を堪能して後悔する未来が見えますよ。僕はちゃんと忠告しましたからね?』
フレディーくん~手が止まってるぞ!
『あ、ごめんなさい、つい』
私の思考命令でフレディーは再びプレスし始める。
そう、フレディーは憑依した私の思考を読み取れるようになったのだ!
これではフレディーへのあれやこれやな思いが筒抜けだ。ごめんよフレディー、毎日ハレンチな思いを馳せてしまって、私の煩悩を覗くのは嫌だろう?
『エリンさんのあれやこれやな思いには慣れましたよ。ただ、妄想の中で僕とするのだけは恥ずかしいのでやめて欲しいですね』
え?
妄想の中でイチャラブしていいって?
言われなくてもするっての!
「おいエリン、この箱を荷台で第五施設の二階C室に運んでくれ」
あ、休憩時間元カレの話ばかりする女だ。
元カレパワーで一人で運べばいいのに。
私もといフレディーは手をおでこに掲げ。
「はっ!!!」
「うわッ、そんな敬礼する程でもないだろ……」
引き顔で去っていく元彼氏持ち。
敬礼の趣をわかってないようだな!
フレディーは再びプレスしながら、脳内に直接爽やかボイスを響かせる。
『僕、第五施設の場所分からないので憑依中断して良いですか?』
私が案内するから憑依は続けて。中断したらイチャラブ妄想の刑だ。
『仰せのままにですよ……』
プレス地獄から解放されたフレディーは、荷物運びの地獄に移る。
荷台を第五施設まで運ぶのは容易いこと。道をほぼ直接に進んでから右左右右左上下横右左だ。
『え? なんて?』
そんなこんなで私達は荷台を第五施設まで押し、荷台に積み上がっているダンボールを二階C室まで運ぶところまで来た。
この一階のある荷台と二階のC室をシャトルランするこの行動もまた地獄。
フレディー水も放出し放題だ。
階段を登り降りしたせいか、身震いが予兆だったのか。
フレディーと私は同時にその問題に直面する。
『トイレ行きたいです』トイレ行きてえ。
しかし私は、どんな時どんな事でも全力で楽しむ女。
またも私にエロスの神が降臨する。
フレディー、憑依したまま女子トイレに向かうんだ!




