第3話 添い寝を待ち侘びて
肉体も精神もボロ雑巾な私の前に現れた私好みな美青年。
イマジナリーフレンドかと思われたその美青年はまさかの生霊だった!
勢い余ってエッチを申し込んだ私は断られるも、
勢い余って結婚を申し込んだ私は無事承諾され、生霊と結婚の約束を果たす!
「という感じで美青年な生霊は私の夫となったんだ」
「いや意味わからんし、もう寝た方がいいよ」
私達サブマシンガン製造工場の職員は、決められた寮で寝泊まりしている。
与えられた部屋及び寝室は二人でワンルームとなっており、密室で女二人という嫌な感じのシステムとなっているのだ。
今日の仕事を終えた私は今、寝室のペアである同僚のナンシーに、フレディーに出会った一連をおおっぴらにしたのだ。信じてもらえるかは置いといて。
ナンシーが私の頭を、机から取り出した分厚い本でペシっと叩き。
「あんたは疲れてるんだよ、その壊れたアホ頭を枕に押し付けて永眠するんだね」
「そんなあ」
『エリンさん、無理して説得しなくても良いですから』
ちなみにフレディーは私とナンシーの寝室にご招待している。
喜べフレディー、乙女の秘密なお部屋に来れたんだ。もう我慢出来ませんと言って私を思わず襲ってもいいんだぞ?
はあ、ナンシーがいなければ今日の夜はお楽しみ出来たんだけどなあ、仕方ない。
私は相も変わらずふよふよ浮いてるフレディーに視線を移して言う。
「ナンシーのプライベートがフレディーに公になってしまうんだ。本人確認が必要なのは仕方ないだろう?」
『確かにそうですけども』
「おい静かにしろよエリン。私は今小説の神が舞い降りてるんだ、おまえの壁フレンドとのお喋りで筆が止まったらタダじゃ置かないからな」
机に向かって小説を書いていたナンシーが、万年筆の先を突きつけるようにして私を威嚇してくる。目付きが猫のそれだ。
やめてくれよナンシー、そのインク服に付いたら中々取れないんだ。明日の洗濯当番私だから面倒なんだよ。
「壁じゃなくてせめてイマジナリーと」
「永眠、しろ」
親指を下に向けるナンシー。
そんなことしてるから神がどっか行っちゃうんじゃないかな。
『僕達は寝ましょうよ、明日も早いらしいじゃないですか』
私の顔を上から除くふわふわ美青年。
心配そうなフレディーも愛らしいな、早くエッチしたい。
「そうだね、私は二段ベッドの上でいつも寝ているんだ。フレディーもおいで」
私はフレディーを誘いながら、梯子を使わずにジャンプして二段ベッドの二階によじ登る。
性欲に駆られていた私が馬鹿らしい、なんて思っていた私は一体どこに行ってしまったのか。
フレディーに心を許して緩んだ私は自制心も緩んでしまったのだ。
『……エリンさん僕が横にいたら寝れますか?』
「寝れる訳が無いだろう? ドキドキとムラムラのパラダイスさ」
『……』
やれやれといった感じの表情をしつつ、フレディーはふよっと私に並ぶように横に来る。
わわ、これって添い寝ってやつか?
私異性とこんな至近距離で見つめ合うなんて初めてだ。
フレディーの瞳綺麗だなあ。瞳まで優しい心が染み込んでいるのかもしれない。
「眼球美味しそう」
『ひぃッた、食べないでください』
「半分冗談だよ」
『半分ですか……』
「不満だった? じゃあ三割冗談かな」
『寧ろ不満が積もりましたよ……』
怯えるフレディーの瞳も可愛いな。
世の中には眼球舐めって行為があることを知った時はド肝を抜かれたが、今の私はそっち側に行きそうだ。
なんとなくフレディーに手を伸ばすも、すぅっと透けてしまう。
この透ける現象は何度やっても慣れないな。
そんな時ふと、私は思いついてしまった。私にも神が舞い降りたようだ。小説の方ではなくエロスの方の。
「フレディー、私と一つにならないか?」




