第16話 朝チュンを待ち侘びて
気づいた時には、私はベットの上にいた。朝日が窓から差し込み、小鳥の囀りが聞こえてくる。
隣にはいつの間にか憑依から抜け出したフレディーが、ふわふわ浮きながら横になって寝ていた。
毛布の上に無造作に脱ぎ捨てられた衣服や下着。私はすっぽんぽんだった。
───これが……朝チュン?
私の毛布をモゾモゾする音で起きたフレディーは、身体を私の方に向けながら。
『……昨夜は、その、お楽しみでしたね』
頬を赤らめてそう言ってくるのだ。
───朝チュンだあ。
へへへへへへ……美青年フレディーきゅんと……朝チュン……グヘッ……
おっといけないいけない、乙女としたことが。私はこれでも清楚系を目指していたんだ、そんな清楚系な私が返す言葉はもちろんこれだ。
「私、記憶が吹っ飛んで良く覚えてないんだ……もう一度しないか?」
エッチ再申し込みに決まってるだろ!
眠たそうなフレディーの目が丸くなる。
『え? 覚えてない? いつから?』
「ええと、壊れちゃいます~みたいなところから」
『……そんなぁ……酷いですよ……』
両手を頭に抱えるフレディー。
昨夜は一体何があったって言うんだ、あ、フレディーを犯しまくった私に謝って欲しいとかか?
「ごめんフレディー、私、フレディーが可愛いくてついつい吹っ飛んじゃった。今度は意識保ってするからさ」
『そういう問題じゃないです。うう、僕と交したあの言葉も……全部丸ごと覚えてないなんて……』
「交わした言葉ってなになに!? 聞かせてよ!」
『もう知りません!』
そっぷを向くフレディーの顔を除きみようと、私は起き上がろうとする。が……
私の身体は言うことを聞かずビクともしない。力が入らない、エネルギー切れ?
あ、そういえば昨日、蒸気機関車でもお試し憑依でもマッサージ屋でも痙攣しまくって限界だったのに。お楽しみまでしてしまったから……
「フレディー、私はもう一ミリ足りとも動けないみたいだ。どうしよう」
『……もう一度ここの宿泊施設にお世話になります?』
「いいのか? フレディーに今日会えるかもしれないのに」
今日の朝から向かえばお昼時には着けるはずだ。フレディーにようやく会える、もうすぐなんだ。
『でも動けないんですよね?』
「うう……私が痙攣しまくったばっかりに……ん? けど泊まり込みってことは一日中お楽しみ出来るってことか?」
『一秒前のセリフを投げ出さないでくださいよ。また痙攣したら明日も泊まってのループですよ』
「ええ!? てことはずっとフレディーとお楽しみ出来るってことか!? お楽しみ永久機関の完成だ!」
朝っぱらから興奮し始めた私にため息を付くフレディー。しかしそのため息は、少し笑みの入った暖かなものだった。
私はフレディーにお楽しみを半日だけでいいからとお願いしたが断念された。長すぎるのだと。これでも渋ったんだけどなあ。
ま、三十分限りの楽しみのはずが、結局丸々一日お楽しみしたから私は満足なんだけどね。
痙攣さえ注意すれば、サブマシンガン工場の重労働で鍛え抜かれた体力に底なんてないのさ!
そうして迎えた二回目の朝チュン。
昨日はお楽しみでしたねをフレディーから頂き、私はまた興奮して永久機関になりかけたが踏ん張った。
延長料金、ベットシーツの弁償代、隣の寝室の人や管理人への謝罪も済ました宿泊施設二日目。
私達は本体のフレディーが眠る病院へ向かった。




