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『勝負』


「どうして、こなたが負けてそなたが勝ったんどす」

巫女服を着た少女が袖口に手を入れながら疑問と、怒気を伴った声を響き渡らせていた。

「ははは。あんたが、優秀なバカだったからだよ。本当にこの島はそういうやつしかいねぇな」


俺は、呆れたように言った。

そして、訂正する。


「それとも、人の心がない変態さんって言った方がいいかな?」

少女は、ただ、微動だにせずわずかに眉間にしわを寄せて、細めた目で俺をにらんできた。


「ひぇーー。こわいよー。整った美人さん。しかも、巫女さんがぼくみたいなちんけな人のことを睨んでくるぞぉ。変態さんとか、事実をいったのがいけなかったのかなぁ?」

俺は、棒読みの言葉を発する。


「あなた、人のこと言えないと思いますわ。あなたも十分人の心はないと思いますわ。勝者は、敗者を労わるものですわよ。弱者を労わってこその王道ですわよ」

透き通る少女の声が聞こえる。


「お前も、ナチュラルに敗者とか、弱者とか言って俺よりもたちが悪いぞ」


「な、それは、失礼しましたわ」

金色の髪の少女は、本気で黒髪の少女に謝る。

だが、それをますます雉野雪野の心を揺さぶる。

少女はついには袖口から手を出して身振りを交えて感情を発散する。

「どうして3つ目の宝が()()()()んですの?あの状況からどうして負けるんですの?そもそも、変態呼びも意味が分かりませんわ」


様々な疑問が雪野から発せられる。そのつらつらと自分の思いのままに疑問をぶつけて来る様子が雪野のパニックにも近い無理解を表していた。疑問の形を雪野自身が上手くまとめられていないのを感じる。

「そんなの決まっているだろ。俺が最初から既に三種の神器がお題だって気づいていて、宝を別の場所に移動させたからだよ」


俺は、初めの方で宝が三種の神器であるとわかった段階から相手の油断を誘うために宝の場所を移動させていた。そして、『以心伝心』を使い紗耶香と情報を共有しようとしていた。途中妹の誘拐があったせいで紗耶香には情報共有していなかったがギリギリで気付いたらしい。

「追跡できるようにわざわざ地図上の目印までつけてやったのに、こいつは気づいてからも見当違いのところを探していたみたいだけどな。」


たまたま、皇居の宝物のもともとあった場所の近くに俺が隠した場所が移動してしてしまったせいで勘違いしたらしい。

地図上で大方の場所を見て猛スピードで向かい、皇居もあり雪野もいたためにそこが地図上の示す場所だと紗耶香は勘違いしていたらしい。

焦燥感と、雪野がいたことでそちらに行ったこともうなづけるものではあるものの

「どうして、こんなにうちの生徒会長はおっちょこちょいなのかねぇ」


「な、何を言っていますの?あなたなんて、今回は全く役に立っていなかったじゃないですの。最終的には勝ったのだしどうでもいいことでしょ」


確かに、紗耶香の言った通り最終的には地図の記号の意味に気付いて勝ったみたいだからよしとするか。


「なるほど、こなたの完敗どすか。はぁ。殿方にこなたの貞操を捧げんといかんくなるとはなぁ。最初に言われてしもうたもんなぁ。周りに気付かれないほどに小さな声でこっそり、耳打ちで『お前の初めてはおれが頂く』とかなんとか」


「何を言っていますの?変態はあなたじゃないですの。やはり、あなたは害悪ですわ。私が命にかえても処断します。」

俺よりも先に顔を真っ赤にした紗耶香が、神速で反応していた。本気の怒りをうかがわせる硬い声を出していた。

それに加えて

「お兄様、今日という今日は許しませんよ。妹という存在がありながらそんなエ、エッチな巫女さんと遊んで」

誘拐されていたところを助け出して無事に隣に今もいてくれる真っ赤な髪とライトグリーンの瞳の世界一の美少女までもが俺を糾弾し始めた。


「愛菜、違う。こいつの陰謀だよ。そんなわけないだろ」


俺は、巫女服の少女を睨もうとするも、既に少し離れた場所にいた。

「こなたに勝ったお返しどす。また、今度はこんなあばずれ女がいる時ではなく二人で大人のお遊びをやりましょうかね」


にっこりと天使(悪魔)の微笑みを俺に向ける神の使途がいた。

面倒臭いことは俺に押し付ける気満々なのが手に取るようにわかる。

その間にも、「火あぶりの刑がいいかしら?」「それでは生温すぎますよ。やっぱり、50℃くらいで熱して低温やけどにしてじっくりと今回の件をお兄様には反省していただかないと困ります」

不穏な声が止まらない。やだ。妹の声が怖い。妹だけ冗談のテンションじゃない上に本気でおこっていることが伺えて大変逃げたい気持ちで一杯です。


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