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17 怒りの翼

 町の上空では、一辺が二メートルの立方体の氷塊が地面に向かって高速で落下しており、その底面からはまふゆの術で生じた氷の樹が下に向かって伸び、まふゆと旋鬼に支配された來華、戦闘モードのコアちゃんは氷の樹の枝で全身を覆われ、凍りついていた。

「古より月を司りし月光(つきみつ)照之命(てらすのみこと)よ! その御力(みちから)を宿し給え! 天女之羽衣!」

 さくらの魂がそう叫ぶと、周囲が暗くなって上空に満月が輝き、さくらの魂は長い領巾(ひれ)をなびかせた天女の姿に再び変わった。

 さくらは氷塊の上方に移動すると、領巾(ひれ)を長く伸ばして氷塊に巻きつけ、上に向かって飛ぼうとした。

「止まってーっ! 止まってええええええええええええええええええっ!」

 さくらは渾身の力を振り絞って上に向かって飛び上がろうとしたが、氷塊はますます加速して落下していった。さくらは領巾(ひれ)に引っ張られて氷塊と一緒に落下しながら、必死に叫んだ。

「止まってええええええええええっ! お願いーっ、止まってえええええええええええええええええええっ!」

 氷塊とさくらを覆う直径三百メートルの夜の空間は、地表に向かって一直線に落下していった。


 洞窟の底では、冷たい眼光のクロリリィが、天逆毎(あまのざこ)の周囲を目にも止まらぬスピードで飛び回っていた。天逆毎(あまのざこ)の二十メートル先には、胸に負った傷から血を流して気を失っている鏡太朗が仰向けで倒れており、その三十メートル離れた洞窟の壁際では、十八人の男女が気を失っていた。


 クロリリィは天逆毎(あまのざこ)の頭上や背後、足元など様々な場所に素早く移動し続けていたが、宙を飛ぶ天逆毎(あまのざこ)の眼球がオレンジ色の光の尾を引きながら、クロリリィから二メートルの距離を維持したまま同じスピードで追跡してきた。

『この眼球、悪魔史上最速のスピードと言われるあたしと同じスピードでついてくる! しかも、こいつがピッタリついてくると、あたしの動きは全部こいつに丸見え。攻撃ができない! だけど……』

 クロリリィは気を失っている鏡太朗に一瞬目を向けた後、冷たい眼光で目の前の天逆毎(あまのざこ)の喉を睨んだ。

「こいつのことは、絶対に許さないんだからああああああああああああああっ!」

 クロリリィは一瞬にして天逆毎(あまのざこ)の頭の後ろに移動し、クロリリィの頭上二メートルを浮遊していた二つの眼球は、少し遅れてクロリリィの背後に移動した。

『きっとこいつのどこかに弱点があるはず。今、一瞬こいつの眼球を振り切って、喉を斬ったわ。ダメージはどう?』

 クロリリィが振り返って天逆毎(あまのざこ)に目を向けた時、クロリリィの腰が突然真っ二つになり、上半身と下半身が分断された。

「きゃあああああああああああああああああああああああああっ!」

 悲鳴を上げたクロリリィの切断された下半身が地面に落下し、上半身だけの姿になったクロリリィは大粒の涙を流しながら、ふらふらと下半身の方へ飛んで行った。

「痛い……、痛いよ……。こんなに痛い思いをしたのは初めて……。痛過ぎて耐えられない……」


 その時、天逆毎(あまのざこ)は地面を揺るがす声で愉快そうに笑った。

「はははははっ! そうか、お前はさっきといい、今といい、体を斬られても死なないのか? 再生はできるようだが、再生するまではそんなに痛いか? ならば、永遠の痛みを与えてやるぞ!」

 天逆毎(あまのざこ)が横笛を奏でると、笛の音色はその場の空気と地面を激しく振動させ、揺れる地面の中から直径百五十センチの透明な球体が出現し、クロリリィの下半身をその内側に閉じ込めた。

「あたしの下半身が!」

 クロリリィは愕然とした後、透明な球体の隣まで一瞬で移動し、左右の肘から生えた小さな翼で何度も球体を斬ろうとしたが、球体はびくともしなかった。

「痛い……。痛いよぉ……」

 クロリリィは大粒の涙を溢し続けながら、球体に翼の斬撃を加え続けた。


「はははははっ! お前が痛みで苦しむ姿は滑稽で面白い! もっと痛みを与えてやるぞ!」

 天逆毎(あまのざこ)は洞窟を揺るがす声でそう言うと、再び横笛を奏で、天逆毎(あまのざこ)の背後の洞窟の壁が振動した。

「我ら天逆毎(あまのざこ)族は、笛で奏でる旋律を物質に変える魔力があるのだ」 

 天逆毎(あまのざこ)がそう言った直後、振動する洞窟の壁から長さ三メートルの金属製の大槍が出現し、クロリリィを目がけてもの凄いスピードで放たれ、球体に翼の斬撃を加え続けるクロリリィの背中に命中した。

「きゃあああああああああああああああああああああああああっ!」

 大槍は悲鳴を上げるクロリリィの上半身を貫くと、そのまま球体とその中のクロリリィの左大腿を貫通し、クロリリィと球体を串刺しにしたまま洞窟の端まで飛び、壁に突き刺さった。

「痛い……。痛いよぉ……」

 クロリリィは涙を流しながら、上半身を黒い液体のような状態に変えて大槍から外れ、空中で再び上半身の姿に戻った。天逆毎(あまのざこ)と正対して宙に浮かぶクロリリィの両目からは、大粒の涙が流れ続けていた。

「痛い……。痛過ぎるよ……。こんなに痛いのなんて、耐えられない……」

 クロリリィの様子を目にした天逆毎(あまのざこ)は、喜悦の表情を浮かべた。

「激しい痛みで涙を流すお前の惨めな姿を眺めるのは、最高に愉快だぞ!」

 クロリリィは涙を流しながら、天逆毎(あまのざこ)をきっと睨んだ。

「でもね、鏡太朗はもっと痛かったはずなのよ! 悪魔であるあたしと違って、死んじゃうかもしれないのに、消えることがない痛みや傷を一生背負うかもしれないのに、それでも鏡太朗はあたしのためにあんたに立ち向かったのよ! あたしはどんなに痛くたって、苦しくたって、絶対に負けない! 鏡太朗を傷つけたお前のことは、絶対に許さないんだからああああああああああああああああああああっ!」

 激高するクロリリィの上半身から、赤黒い光が立ち上った。その時、クロリリィの心に鏡太朗の優しい笑顔と、傷を受けて地面に倒れて失神している姿が浮かんだ。

『鏡太朗を巻き添えにできない!』

 クロリリィは両掌を天逆毎(あまのざこ)に向けた。

『この怒りをあいつに集中させてぶっ放すのよーっ!』

 クロリリィの両掌の先に直径一メートルの赤黒い光の塊が集まった。

「行けえええええええええええええええええええええええええええええええっ!」

 クロリリィの叫び声とともに両掌から赤黒い光の柱が発射され、赤黒い光の柱は天逆毎(あまのざこ)に向かって伸びていき、天逆毎(あまのざこ)に命中するとその全身を包んだ。


 赤黒い光が消えた時、天逆毎(あまのざこ)はオレンジ色の光に包まれて平然と立っており、頭上で浮遊している二つの眼球でクロリリィを見下ろしていた。天逆毎(あまのざこ)は嘲るような表情をクロリリィに向け、せせら笑った。

「はははははっ! 愚か者め! お前の攻撃は全てお前自身に返っていくことが、まだわからぬか?」

 天逆毎(あまのざこ)の胸の前のオレンジ色の光が濃くなると、そこから赤黒い光の柱が発射され、クロリリィの上半身を呑み込んで洞窟の壁を貫いた。


「そ……、そんな……」

 赤黒い光の柱が消えた時、クロリリィは目を見開いて愕然としていた。

「そんな……」

 クロリリィの両目から、大粒の涙が煌めきを放って零れた。

 クロリリィの上半身は鏡太朗に抱きしめられていた。クロリリィをかばって赤黒い光の柱の直撃を受けた鏡太朗の背中は、服が破れ、傷だらけで血まみれになっていた。

 鏡太朗は顔を上げると、包み込むような優しい微笑みをクロリリィに向けた。

「クロリリィちゃん……、ちょっと……待ってて……」

 鏡太朗はフラフラしながら洞窟の壁に向かって歩き、地面から龍雷を拾うと、赤黒い光がつくった穴の近くで大槍に串刺しにされている透明の球体に向かった。クロリリィは言葉もなく、フラフラ歩く鏡太朗の後ろ姿を目で追っていた。

 鏡太朗は球体の前に立つと、龍雷の柄を握る両手に力を込めた。

「龍雷よおおおおおおっ! この球体を割ってくれええええええええええええええええええっ!」

 鏡太朗は持てる全ての力を込めて、球体に向けて龍雷を振り下ろした。

 龍雷が直撃した球体はガラスのように砕け散り、鏡太朗はそのまま力尽きて前のめりに倒れた。

「鏡太朗ーっ!」

 クロリリィは涙を散らして鏡太朗の隣へ飛んだ。

「そ、そんな……」

 愕然とするクロリリィが目にしたのは、優しい微笑みを浮かべたまま息絶えている鏡太朗の姿だった。

「し、死んでる……。そ、そんな……。そんな……」

 クロリリィは声と体を震わせ、その目から大粒の涙が溢れた。

「わああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 クロリリィは、ありったけの声で泣き叫んだ。


 シティホテルの宴会場では、白布が敷かれた円卓の周りに椅子が三脚置かれ、スノンとジルが席に着いていた。

 円卓の上には、魂が抜けたさくらの体が横たえられ、円卓の横には、四体のヴァンパイアが緊張した表情で直立しており、スノンが冷たい眼差しをヴァンパイアたちに向けた。

「お前たち、何でそんなところで休んでいるんだい?」

「は?」

 四体のヴァンパイアは、スノンの発言の意図が理解できずに困惑の表情を浮かべた。

「お前たちが生きる意義は、私たちのために食事を用意し続けることしかないんだよ! さっさと次の人間を連れておいで! 私たちが空腹を感じた時に生き血をいただく人間が用意されていなかったら、お前たちの体はバラバラに引き裂くからね!」

「ひ、ひいいいいいいーっ! す、すぐに行ってまいりますーっ!」

 四体のヴァンパイアは顔から一気に血の気が引き、大慌てで宴会場から駆け出て行った。


 ジルはプンプン怒りながら、床で倒れているもみじの隣に立つルージに大声を出した。

「ルージいいいいいいいいっ! もうジルちゃんは激おこだよおおおおおおっ! ルージのせいで、この人間の生き血が飲めないじゃないいいいいいいいいーっ! もうルージのことなんて、待たないからねええええええええええええっ!」

「やれやれ」

 ルージは苦笑して円卓に向かって歩き出した。

 ジルは満面の笑みをさくらの体に向けた。

「ジルちゃん、も〜我慢できな〜いっ! いっただっきま〜すっ!」

 ジルはさくらの左首筋に顔を寄せ、二本の牙を当てた。


「だああああああああああああああああああああああああっ!」

 その時、もみじが叫び声を上げながら、全身から血を噴き出して円卓まで駆け寄り、右足で円卓を蹴り飛ばした。円卓はもの凄い勢いで二十メートル吹き飛び、もみじはそのまま円卓の前まで走っていくと、振り返ってジルたちを睨んだ。

「ジルちゃんのご飯がああああああああああああっ!」

 お預け状態になってショックを受けるジルの隣にルージが立ち、もみじに薄笑いを浮かべた。

「オレとしたことが完全に油断してたぜ。まさか、あの一撃で死なずに、しかも、こんなに再生が早いとはな」


 二十メートルの距離を挟んでルージと正対するもみじは、自分の体の変化に愕然としていた。

『な、何だこれは?』

 肉体の限界を超えて霊力を使ったために生じた体中の血を噴き出す傷が、見る見る塞がっていた。

『この異常な再生力は、あたしの体がヴァンパイアになったからなのか? さっきルージにやられた傷も治ってやがる!』

 ルージはもみじの思考を読み、それに答えた。

「そうだ。ヴァンパイアになると遺伝子がつくり変えられ、肉体は強靭になり、傷が再生するスピードが早くなる。だが、普通のヴァンパイアであれば、さっきの一撃で死んでいたはずだ。それに、お前ほど再生が早い奴は見たことがない。お前が持っている霊力の量が、普通の人間や魔物のレベルを超えているってことか?」

 その時、ジルがもみじの背後に瞬間移動した。

「ジルちゃんのご飯ーっ!」

 ジルは円卓の上のさくらの左首筋に噛みつこうとした。


 ドゴオッ!

「きゃあああああああっ!」

 さくらに噛みつこうとしたジルの顔面に、もみじが振り向きざまに右手刀を叩き込み、ジルは二十メートル吹き込んで壁に激突して頭が壁にめり込み、その姿勢のまま体をピクピク痙攣させた。

 もみじは愕然として自分の右手を見つめた。

『今、反射的に体が動いた。それで命中はしたが、この威力は一体何だ……?』


 ルージがもみじの背後に瞬間移動し、もみじの後頭部を狙って右手の指を突き出した。

『これは!』

 もみじは目を見開いて何かに気づくと、左に移動しながら振り向き、ルージの右指先は空を切った。

『今、後頭部に圧力と熱さを感じたぞ!』

 もみじの思考を読んだルージは、怪訝な顔を見せた。

「圧力と熱さだと? だったら、これを避けられるかーっ?」

 ルージは長いスカートを捲くり上げると、右の回し蹴りを放ち、もみじの左大腿をつま先で狙った。

『左大腿に圧力と熱さを感じる!』

 もみじは素早く右に移動したが、ルージは蹴りを放っている最中にもみじの右斜め上に瞬間移動し、ルージのつま先はもみじの右こめかみに命中した。

「ぐわああっ!」

 もみじは左側に大きく吹き飛び、その先に瞬間移動して待ち構えていたスノンが、冷笑を浮かべながらもみじに右肩で体当たりをし、もみじはルージの方へ跳ね返された。

「ぐわああっ!」 

 ルージに向かって吹き飛ぶもみじは、顔に圧力と熱さを感じた。

『顔を狙われている!』

 ルージが突き出した右の指先がもみじの顔に迫り、もみじは左右の前腕を顔の前に構え、ルージの攻撃に備えた。

「うっ!」

 目を見開いたもみじの後ろには、瞬間移動したルージがおり、その右の指先はもみじの背中に突き刺さっていた。ルージが嘲笑を浮かべながら指を引き抜くと、もみじは両膝をついた。

 その時、もみじの正面からスノンが飛び込んできて、もみじの前でスカートを翻した。

『また顔を狙われている!』

 もみじがそう思った時、もみじの右横に瞬間移動したスノンの右足がもみじの首の右側面に叩き込まれ、もみじは呻き声を上げて左側に吹き飛んだ。

 もみじは三十メートル吹き飛んで床を転がると、すぐに立ち上がって身構えた。ルージに刺された背中の傷はすでに塞がっていた。

『ちくしょう! 狙われた体の部分を肌で感じるようになったが、思考を読まれちまって、かわすことができねぇ攻撃をしてきやがる! どうしたらいい?』

 動揺するもみじの三十メートル先では、スノンとルージが冷笑を浮かべて並んで立っていた。

「そうだ。お前が何をしようと、思考を読める私たちを倒すことなど不可能なのだ」

 スノンが冷たい表情でニヤリと笑った。


 洞窟の底では、クロリリィの切断された下半身が黒い液体のような状態になり、宙を飛んでクロリリィの上半身の底の切断面にくっつくと、元の下半身の状態に戻った。涙を流しながら憤怒の表情で天逆毎(あまのざこ)を睨んで立つクロリリィの全身からは、赤黒い光が揺らめきながら立ち上っていた。

『こいつのことは絶対に許さない!』

 天逆毎(あまのざこ)は洞窟を揺るがす声で笑った。

「はははははっ! まだわからぬのか? 天逆毎(あまのざこ)族に楯突くものは、自分の力が逆に我が身に降りかかり、自らの力で滅ぶ運命なのだ!」

「それがどうしたっていうのよ!」

 クロリリィは天逆毎(あまのざこ)に向かって叫んだ。

「まだわからぬか? ならば今度はお前の体中を串刺しにしてやろう」

 天逆毎(あまのざこ)は横笛を構えて口に当てようとした時、異変に気づいて横笛を顔から離した。

「何だ?」

 天逆毎(あまのざこ)の上から土がボロボロと落ちてきており、天逆毎(あまのざこ)の頭上を浮遊する二つの眼球が視線を上に向けた瞬間、天逆毎(あまのざこ)は驚愕した。

「な、何だ、これはーっ?」


 天逆毎(あまのざこ)の目に映ったのは、クロリリィの全身から立ち上っていた赤黒い光が洞窟の天井の真下で巨大な塊になっており、その塊がどんどん膨らみながら洞窟の天井を崩している光景だった。

「い、今すぐ串刺しにしてやる!」

 言いしれない不安を感じた天逆毎(あまのざこ)が慌てて横笛を奏でると、洞窟中の壁が振動して数十本の大槍が壁から出現し、クロリリィを狙って一斉に飛んで行った。

 直径二十メートルに達したクロリリィの頭上の赤黒い光の塊から、バレーボール大の数十個の赤黒い光の玉が放たれ、クロリリィに迫る大槍に命中して包み込むと、全ての大槍は光の中でボロボロに崩れるように消滅した。

 クロリリィの頭上の赤黒い光の塊から赤黒い光の柱が放たれ、天逆毎(あまのざこ)の頭上で浮遊している二つの眼球を包んだ。

「ぎゃあああああああああああああああああっ!」

 天逆毎(あまのざこ)は洞窟を揺るがす悲鳴を上げた。その時、空中を浮遊していた眼球を覆っていたオレンジ色の光の壁は、赤黒い光の柱の中で砕け散っていた。

「目が、目が見えない!」

 二つの眼球は地面に墜落し、その瞳は白くなっていた。


 クロリリィが赤黒い光を立ち上らせ、目からキラキラと輝く涙を溢しながら叫んだ。

「強力な魔力の壁がお前を守っているのなら、お前の魔力量を遥かに上回る膨大な霊力を集めれば、お前なんて壁ごと叩き潰せることがわかったのよ! あたしは今、これまでに感じたことがないくらいの激しい怒りが燃えたぎって、とんでもないくらいの霊力が集まって燃え上がってるのよおおおおおおおおおおおおっ!」

 クロリリィが天を仰いで叫んだ時、クロリリィの頭上の赤黒い光の塊は巨大な翼を左右に広げ、長い首を持ち上げると、その形は燃え上がるフェニックスになった。フェニックスの翼と首は、天井を崩して天逆毎(あまのざこ)がつくった結界の壁を突き破り、崩れた天井の向こう側から陽の光が差し込んだ。

「あたしの怒りが具現化した怒りのフェニックスよ! こいつを叩き潰してええええええええええええええええっ!」

 怒りのフェニックスは天逆毎(あまのざこ)に向かって急降下すると、巨大な翼で天逆毎(あまのざこ)を包み込んだ。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 天逆毎(あまのざこ)の全身を覆うオレンジ色の光の壁が砕け散り、天逆毎(あまのざこ)は赤黒い光の中で悶絶し、地面を揺るがしながら後ろに倒れた。

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