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祓魔寿司 めふぃすと  作者: 岡村なぎぼ
弱肉強食!フィッシュ・マーケット

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26/32

弱肉強食!フィッシュ・マーケット ◆ 5 ◆

  ◇  ◇  ◇



「か、勝った……」



 放心状態で背もたれに背を預けるエレナ。ウンウン、と頷きながら涙ぐむ司会。彼は鼻をすすりながらハンマーを振り上げた。



「では、400、400で――」



 机を叩こう、という瞬間。バサッと羽音がした。ブースに無数の黒い影が落ちる。ギャアギャアと鳴き声をあげて飛び込んできたのは――



「鳥!?」



 大きな鳥の群が周回しはじめたのだ。パニックになる買い手たち。その場でうずくまる者、逃げまどう者。阿鼻叫喚の中、エレナの視線はある一点にそそがれた。ブース中心の司会スペース。彼女が競り落としたアジのケースに今、一羽が着地した。



「なっ! あたしのアジ!」



 エレナの叫びと同時に、鳥は結束バンドを器用に足で掴む。ケースが浮いた。



「ヤダ~~~~ッ!!」



 制止も虚しく、飛び立つ鳥。茫然と立ち尽くすエレナの横から声がする。



「奴らだ……ここにも現れるとは……」



 そう呟くのは、アジをめぐってエレナと競ったおじだ。



「おじさんあの鳥知ってるの?」


「ああ、あちこちのフィッシュ・マーケットを襲ってるギャング鶴(ヅル)だよ」


「鶴!? ギャング!? 何!?」



 ついさっきまで憎みあっていたふたりだが、ガラッと変わった状況に飲まれ、普通に口を利いていた。



「高(たっけ)ぇもんばっか掻っ攫ってくってハナシだ」



 おじは諦めた笑みを浮かべ、鳥……あらため鶴が飛び回るのを眺める。



「盗られたもんは戻らねぇ。運が悪かったと思って諦めな、嬢ちゃ……」



 そう言っておじが視線を戻した先にエレナの姿はなかった。



「ん?」



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