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祓魔寿司 めふぃすと  作者: 岡村なぎぼ
弱肉強食!フィッシュ・マーケット

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23/32

弱肉強食!フィッシュ・マーケット ◆ 2 ◆

  ◇  ◇  ◇



 夜。オッシャル・ストリートの一角に建つ〝寿司処めふぃすと〟――〝め〟にヒビの入った看板をからっ風が吹きつける。


 無人の店内でエレナは、密かに巡らせていた輝かしい妄想が打ち砕かれ、オープンキッチンにがっくりと突っ伏していた。



「今日もお客さん来なかったね……」



 エレナがめそめそと寿司下駄にのせた一貫のマグロを、ひょいと上から伸びた手が取る。マグロは、ファウストの口に吸い込まれていった。ジト目で咀嚼するファウストは当然のごとく天井に立っている。



「来なくて正解ですよ。酷いマリアージュです。見た目がマトモなのがまた頂けない」


「マトモ!?」



 1ワードに反応したエレナがガバッと顔をあげ、目に光を戻す。間髪入れずペッとおしぼりが飛んでくる。ファウストが指を拭いて投げたものだ。



「褒めてませんよ。素材から何から何まで落第点です」



 ウッ、と苦い顔をするエレナ。



「目利きもできないんですか、エレナ君」


「ぐっ、目利きは苦手なんだもん」


「も(・)、だろ」


「あーあ、お魚の方からあたしを選んでくれればいいのに」



 ふたたびシンクに頭をこすりつけ出すエレナ。ファウストは呆れ顔。



「なおさら選ばれませんよ貴女なんて。馬鹿なこと言ってないで帰りましょう。子供は寝る時間ですよ」



 コツコツと天井を鳴らして出入口に向かう彼はこう続けた。



「明日は仕入れに私もいきます」


「ドクター……」



 え、やさしい……! エレナは感激の顔で彼の背中を見つめた。



「廃業なんてされたら私の計画が台無しです」


「えへへ」



 ファウストの冷たい口調も意に介さず、エレナは無邪気に笑い、彼の後に続こうと歩き出した。



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