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祓魔寿司 めふぃすと  作者: 岡村なぎぼ
一貫目 エレナと逆さま博士

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16/32

エレナと逆さま博士 ◆ 15 ◆

  ◇  ◇  ◇



「なんかふぁって感じで、カッとやって、どーんだ!」



 ピシャーン。


 面食らっているエレナをよそに、ファウストはしれっと後ろ目にタコを見やり、何かの算段をしていた。



「貴女恐らくマルチタスクは苦手でしょうから、回避は私が引き受けましょう」



 タッと踵を返し、ファウストはエレナを抱えたまま、向かってくる巨大タコと対峙した。



「ゆけぃ! モルナ君ッ!」



 か、神の愛!? 悪魔の子に……!? 愛、愛、愛……あたしが持ってる愛のカタチ……。


 エレナの頭に当然のように浮かんできたのは――ツヤツヤの寿司だった。キリッとエレナの目に火がともる。


 そんな彼女のオーラを感じ取って、ファウストは涼しい顔をしていたが内心「このガキ、マジで解ったんか」と引いていた。が、この実験のデータがとれさえすれば、タコがどうなろうとモルモットがどうなろうとどうでもいいのだ。


 そんなファウストの胸の内を知らず、エレナの脳内でイメージが積みあがっていく。


 なんかふぁって感じで……ふぁって感じ……シャリをやさしく手に取るように……、カッと素早くお客さんにぴったりのネタを乗せて、愛を握って――



「エビ・ビーム(海老一丁)!!」



 二本の指から放たれた光がタコを貫いた。どーん。残響とともに巨躯がぐらつく。



「で、できた……!」


「ワーオ、テーマソングでもかかりそうな感じですねぇ」



 のんきな感心の声をあげ、ファウストはエレナを連れて余裕そうにタコの体をのぼっていく。タコ足はなおもふたりに絡みつかんと苦しげに暴れる。ファウストはぷにっと弾力を使って天高く飛び上がった。



「よしエレナ君、シャキーンととどめです」



 エレナは頷き、パチンと指を鳴らした。地上から何かが緑の軌道を描きエレナの手を目がけて飛んでくる。ばしっと掴みとったのは彼女の折れた愛刀だ。緑のオーラに包まれたそれは、エレナの手の中でめりめりと形を変え大太刀(おおだち)と化した。同時にピタ、と宙の一点でファウストは上昇を止め、エレナを解放した――はじまった落下と共に、エレナは大太刀を構えた。



「エク寿司ズム(おあいそ)・スラッシュ(~~~~ッ)!!」



 シャ、キーーーーン!!


 真っ二つに筋の入るタコ。震えた巨躯から切っ先が飛び出し、次いで姿を覗かせたエレナがタコの内側から刃を振り下ろす。天空のファウストは、どこから出したのか、広げた傘を手にゆったりと下降しながら地上の様子を眺めた。キリッと仁王立ちのエレナの後ろで巨体が崩れはじめる。



「あはははは! 傑作だ!!」



 ファウストのニヤケ面を地上からの爆風と閃光が包んでいく。



「メフィストフェレスの娘が悪魔を祓っ――」



 ボン、と爆発音が西海岸に轟いた。



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