359. 枯れた精霊樹
359. 枯れた精霊樹
リンデルの上空へ飛び立った次元転送機は、一度廃墟となった町の様子を見るため、
上空を一周した後、城に引接する庭園にある、枯れたばかりの精霊樹の近くで、
着陸できそうなところを探していた。
リョウ「あそこ、着陸できそうだな。」
リョウは、次元転送機を水が枯れた池の隣に着陸させた。
4人は周囲の安全を確認して、次元転送機を降りる。
着陸地点をもう一度リョウは見渡すと、
枯れた池のほかに、枯れ果てた木々等の植物、
屋根だけでなく、建物の骨格がつぶれて壊された温室の残骸が目に入った。
リョウ「では、精霊樹の方へ行ってみよう。」
リョウは、3人に声をかけ、注意を促しながら、
倒れた木々がところどころ散乱している小道をゆっくりと歩いて行く。
周りは、ほとんどの植物が枯れており、
一部の雑草だけがかろうじて生き残っていた。
リョウ「そこの生き残っている雑草もサンプルとして回収しよう。」
リョウは素早く、生き残っている雑草を回収する。
リョウ達は再び歩きだし、しばらくすると、大きな幹の所から折れて、
枯れている精霊樹の所までたどり着いた。
精霊樹の周りは、細い小道で一周できるようになっており、
ぐるっと回り、折れた幹の下をくぐり、精霊樹の様子を確認する。
精霊樹は、すでに枯れた葉っぱ1枚もなく、幹と枝だけが虚しく横たわっていた。
シャミル「魔素も何も感じられぬな。」
リアン「魔力を回収していた装置なんかは無いの?」
シャミルは再び精霊樹の周りを歩きだし、装置を探し始めた。
シャミル「ん?ここはわずかに魔素が残っておるな。」
シャミルは少しくぼんだ地面を指さしている。
リアン「何かの装置を取り除いた後かしらね。」
リアンは、くぼんだ地面の所を見つめている。
シャミル「精霊樹から魔力を回収する装置は、ここにあった様じゃな。」
リアン「ということは精霊樹から回収した魔力をためておく魔石はどこかしら?」
シャミル「魔石には少なくともこのくぼみに感じられる以上の残留魔素が残っているもので、この周辺からは感じられぬな。
魔石が砕け散って霧散したか、それともこの都市から遠い所に持ち去られたのか、
分からぬが。」
リアン「そうなの。ということは、精霊樹の魔力がどういうものだったか、ここに残っている魔素から解析するしかないのなら、
ここの土壌も持ち帰りましょう。」
シャミルは少し考えていた。
そして、少しして、
シャミル「通常は残留魔素も残らぬはずなのじゃが、ここでは、わずかに感じるということは…。」
シャミルはリョウにシャベルを出してもらい、くぼみの所を掘り始めた。
しばらくして、
シャミル「魔素を感じたのはこれじゃな。」
シャミルは、小指位の小さな、魔石の粒を見つけた。
シャミル「精霊樹の魔力を吸い上げるための、起動装置を最初に動かす、呼び水となる小さな水晶があると思ったのじゃが、
これがその様じゃな。」
シャミルは、精霊樹の魔素がわずかに残る小さな水晶を回収した。
その間、リョウは精霊樹の枯れた小枝や、幹の皮、周辺土壌などのサンプルを回収した。
リョウ「よし、すべて回収した。我々の時代に戻り、解析するぞ。」
リリネア「そうね。でも、この町に住んでいた者はどこに行ったのかという疑問は残るわね。
この都市に住んでいた者が我々の祖先だとしたら、生き残りがいたという訳だから。」
リョウ「少なくても、女王リンデルはこの都市を離れ、どこかに生き残り、
魔族の国に現れているわけだからね。」
4人は、次元転送機に乗り込み、改めて、リンデルの上空から都市だった所を眺めてみる。
都市の所だけ、ところどころ壊れた建物のほかに、植物が枯れているのが、
身に入る。都市から離れた森も、徐々に枯れていっている様で、
葉を余りつけていない枯れかかった木が目立っていた。
4人の乗った次元転送機は、光を徐々に増し、リンデルと言う都市が存在したこの時代を後にした。




