355.過去を調べる
355.過去を調べる
それからリョウは、目の前にある数冊の本を読み漁った。
その中で、リョウは王国史と思われる書籍を見つけた。
その内容によると、
当初ブラックドラゴンは、3匹で飛来し、何の防御体制の無い街をドラゴンブレスで攻撃し、
壊滅的な被害を与えたこと、その時、前王朝は崩れた王城の下敷きになり、
途絶えたこと。その後、たまたま城を離れていた摂政が臨時の政府を立ち上げ、
2年に1回程出現するブラックドラゴンに町が壊され、復興させ…を続けてきたこと、
ある日、優秀な魔術師が現れ、町に結界を貼り、それからその結界によりブラックドラゴンを防ぎ続けたこと、
その功績により、臨時政府はこの魔術師を国を継ぐものとして取り込んだこと、
最近になり現れるブラックドラゴンの数が増えてきたこと、それにより、結界による防御に限界が迫っていること、
等が書かれていた。
リョウは、スマホでこの内容を撮影し、3人にそのことを説明した。
リアン「一つ疑問に思うんだけれど、なぜ、魔術師リンデルは臨時政府に代わり、
国を継ぐものとなったのでしょう?
よそから来た魔術師が王家となり、継ぐ?
納得できないわね。」
リリネア「結界の維持には、リンデルの魔術技能が必要だったから、臨時政府と駆け引きした可能性はあるわね?」
リアン「結界って、何を動力にしているの?」
シャミル「魔力を蓄えた大容量の魔石を、水晶で増幅させる、それを何か所も設置し、共振させ制御すると言ったところじゃな。」
リアン「水晶から出るバリアは見えないエネルギーの様だけれど、その動力源が、その大容量の魔石と、水晶なのね。
近くで見れないかしら?」
リョウ「それには、どこにあるか確認が必要だね。どうやって調べるか…。」
リリネア「たぶん軍事機密だから、冒険者ギルド等に質問するとしても、気をつけなければダメよ。
公安のような組織が、監視しているはずだから。」
リョウ「となると、どうやって調べるか。」
シャミル「今は2年に1回のブラックドラゴンの襲撃期じゃから、
空襲があった際のバリアと共振した魔力の出力元を感知すればよい。」
リアン「だったら、昨日襲撃があった時に検知できなかったの?」
シャミル「…無理を言うでない。意識しないと、検知できないからな。」
リアン「では、次はお願いします。」
シャミル「うむ。」
リョウは、ここで疑問に思っていたことを話した。
リョウ「ところで、リンデルという人物、もう少し情報を得ることができないかな?
魔族の国に行った時もリンデルの名前を聞いたことあるけれど、
謎の人物なんだよね。」
リアン「話を聞くと、この王国にいた後に魔族の国に現れる、という時系列で正しいはずよね。」
リョウ「そうなんだよなあ、寿命のことを考えると人間ではないはずなんだけれど。」
リリネア「魔力も相当多くて、魔術の知識を持っているという側面もあるわね。」
リョウ「王家の人間だから、会うのもほとんど難しいと思うし。」
その後、ブラックドラゴンが書かれた本の他に、リンデルの記述が書かれた本を探したが、
こちらはほとんどなかった。
情報も、お城での出来事や外交のニュース、趣味が魔道具や魔法、家具、武具を作る等の特集が、
目に入ったが、そのほかは、ほとんど得ることができなかった。
4人が図書館を出るころには、夕方になっており、外は暗くなり始めていた。
リアン「ほぼ1日いた訳ね。」
リョウ「そうだね。」
リリネア「それにしても、この国の歴史を調べることができたということは大きな成果だったわね。
ブラックドラゴンと砂漠化の関係と、リンデルについての情報は、ほとんど得られなかったけれども。」
リアン「宿に戻って、今後どうするか、作戦を考えましょう。」
リョウ「そうだね。」
4人は、宿に戻ると、その足でレストランに向かう。
昨日の給仕とは違う、エルフのウエイターのおすすめを聞き、リリネア、リアン、リョウはクリームパスタ、
シャミルはグラタンの様なメニューを注文する。
料理を待っている間、本日の図書館での調査結果について話をする。
リアン「それにしても、リンデルってどのような人物なのかしら?」
シャミル「魔族かもしれぬぞ。」
リリネア「いや、エルフ、いや、ハイエルフと私は思うわね。
エルフ族の社会って、組織の中心に他の種族が入り込むことは、あり得ないことだと思うの。
たとえどんなに追い詰められていても。」
リアン「そうよねえ、でも、趣味が少し気になったわね。エルフが魔道具や魔法を作るっていうのはわかるんだけれど、
家具や武具?を作る趣味?想像つかないわね。そういうエルフ族の者がいるかもしれないけれど。」
リリネア「そうよねえ、そこは私も気になったわ。」
リョウ「明日はどうしようか?」
リリネア「調べられる範囲で、無理をせず、結界を作り出している装置について、調べてみましょう。
魔法屋や魔道具屋を見てみましょう。」
リアン「そうね。」
話をしていると、料理が運ばれてきた。
クリームパスタは、ひよこ豆の様な豆乳ベースソースのパスタで、
バジルのような香りがする葉が添えてある。
グラタンはなんと、全くのラザニアで、シャミルが、「これは何じゃ?」と質問をしてきた。
リョウは「大きいパスタだよ。」とだけ答えた。




