350. 歴史を変えるということ
350. 歴史を変えるということ
8人の検査が終わり、CT等のデータを見てリアンは考え込んでいた。
すでに検査だけで夜になっていた。
リアン(まず、この患者は肝臓癌で、こちらの患者は卵巣癌ね。
幸い他には転移していないみたい。
切除処置と抗がん剤が必要ね。
1か月ごとに抗がん剤処置が必要となると、
長期間処置できる設備と医師や看護師が必要なんだけれど、
でもこの時代、そういった設備が無いからなあ…。
それからこの患者、心筋梗塞でステント処置が必要ね。
これも処置をする設備が欲しい所ね。
後は、虫垂炎の初期症状か。
これも切除…か。
そして、初期の腹膜炎か。
まだ腸が破れていないんだけれど、
炎症を起こして穴が開きかかっている…かな。
血液検査や造影剤でもっとしっかり見てみたいわね。
後は、この二人は肺炎ね。
飲み込む力が弱くなって、誤嚥性肺炎という状態になっているわね。
とにかく投薬治療を即座に開始する必要があるわね。
最後の患者は、足の複雑骨折ね。)
リアンは村長の家の空き部屋に、
リョウとリリネアを呼んで患者の症状の説明を行った。
リアン「まずは、癌患者が2名、それぞれ肝臓と卵巣ね。
切除と抗がん剤治療が必要な状況ね。
それから心筋梗塞で、血管内にステントを挿入する処置が必要だわ。
この患者は、虫垂炎で切除と、
こちらの患者は、腹膜炎で炎症部分の詳しい検査と、場合によっては炎症部分の切除と縫合処置要ね。
それから誤嚥性肺炎で、投薬が必要で、私の見たところ、嚥下のリハビリが必要ね。
最後の患者は、左足の複雑骨折ね。
リョウ、まずは、抗がん剤や嚥下リハビリ等、長期に患者に投薬したり、診る必要がある患者がいるのよ。」
リョウ「ああ、知っている。抗がん剤治療って、複数回時間を空けて投薬することは聞いたことがある。」
リアン「そうなのよ。あとは、血液検査でもう少し詳しい検査をしたい患者がいるんだけれど、
ここではできなくて…。」
その時、シャミルが部屋に入ってきて、話を聞き始めた。
リアンは、骨折患者以外は、設備のある現代のミレバで診る必要があることを改めて伝えた。
リリネア「ここに来た目的は、なぜブラックドラゴンが、現代のミレバに送り込まれてきたのか、
調べに来たことであって、本来の目的から外れた行動になるということと、過去の人の歴史を変えたら、
何が起こるかわからない、それは、リアンもわかっているのよね。」
リアン「わかっているんだけれど、病気の人を助けないという選択肢は、選択肢は…、」
リアンは言葉を詰まらせる。
その時、シャミルが話を始めた。
シャミル「残念だが、オリビエの町と、この村一帯は、ブラックドラゴンに滅ぼされた…、
その様な記憶がよみがえってきたのじゃ。
仮に助けたとしても、その時にやられてしまうじゃろう。」
リョウ「この地域がブラックドラゴンに滅ぼされたって…。本当に思い出したのか?」
シャミル「そうじゃな、記憶が少し戻ってきた。」
リリネア「患者を助けても、村人を助けても、歴史を変えることになる、ということね。」
シャミル「そうじゃな。」
リアン「そうじゃな…って。」
4人は沈黙してしまった。
リリネア「助けても、助けた人が歴史を変え、本来の私たちの時代が変わってしまう。」
リアン「歴史を変えなければいいのよね。
私たちの時代に連れてくることができない?」
リリネア「ここの村人に将来ブラックドラゴンに滅ぼされるって、どう説明するか、
滅ぼされるということを知った上で、一緒に来ることを拒否され、この村から逃げ出す、
その場合、逃げ出したものが歴史を変える、そのことも考えなければならないわ。」
リョウ「まずは、ブラックドラゴンがなぜ、我々の時代に来たのか、
調べてからでも遅くはないと思う。
次元転送機で、どの時間にも行くことができるから、
この村をすぐに旅立ち、次元転送機で戻るという方法がある。」
リアン「わかったわ。すぐに旅立ち、原因を解明してから戻ってきましょう。」
4人で話し合った後、
村長のコスコフに村人の治療には道具と薬が必要で、
一度リンデルに取りにいかなければならない旨、説明した。
そして、すぐにミレバノフ村を出ることにした。
4人は、村の門を出た後、森に入ったところに停めてある、
次元転送機に乗り込み、上空に飛び立った。




