村中の一手
腹黒村中プロジェクトリーダーも反撃に!
※次話は明日7:00に更新予定です!
「こちらは材料の物性を照明事業部独自で調べさせていただきました。」
そのデータを見た瞬間に宮本所長と本田さん、野口さんの顔が青ざめていくのであった。
その顔を見て、ニヤリと笑う柊君。
「どうやら意味が分かったみたいですね?
ここには移動度とエネルギー障壁が記載されてますからね。」
「・・・何だ、移動度とエネルギー障壁ってのは?」
「はい、簡単にご説明させていただきますと、
移動度はその材料の中を通る電子やホールの早さを現しております。
簡単に言えば、移動度が高いと言うのは電子やホールが早く動くということです。
逆に移動度が低いと言うのは電子やホールが遅く動くということです。」
「エネルギー障壁というのは?」
「それぞれの材料が持っている壁ですね。
この壁が隣にある材料よりも低ければ簡単に流れ込めますけど、
逆に高い場合にはその壁を乗り越えないとエネルギーが伝わらなくなります。」
「・・・まあいい、結論は何なんだ?」
「結論から言えば、移動度が非常に低く、
エネルギー障壁が高い材料であったことが分かりました。
特に移動度は一桁以上、比較に選んだ材料よりも劣っておりました。」
そこまでの説明を聞いても理解はされていないようであったが、
すぐに助け舟のように村中プロジェクトリーダーが、
「柊ちゃーん!その物性値を踏まえるとどうなのよ?」
「はい、物性データを踏まえると我々の試験結果は妥当ということです。」
「じゃあ、中央研究所のデータは?」
「どう考えてもおかしなデータということです。」
その言葉を聞いて慌てて宮本所長が、
「さ、さっきも言ったが、条件で材料の状態変化が起きてる可能性もあるじゃないか!!
材料の劣化が起きているかもしれないし、むしろ良くなっている可能性もある!!」
「まあ、劣化の可能性はあるかもしれませんが・・・。
そのことも懸念しておりましたので、加工後の材料の構造解析を行いましたが、
全く劣化が起きてないことを確認しました。」
「そ、そこまで調べてたのか・・・。」
「それと更に熱をかけるなど負荷のかかることもしております。
そちらも材料に劣化などは起きておらず、
強固さに関しては大変優秀な材料ということが分かりました。」
「・・・。」
中央研究所のメンバーが完全に沈黙する中、
「・・・お前たち・・・。」
肩を震わせている人物がいた。
「お前たち!!本当にデータ改ざんをやったのか!!!」
激怒する金沢取締役。
それに黙ったままでいる3人。
そこで黙るということは・・・肯定しているようなものなのに・・・
「落ち着いてください、金沢取締役。」
村中プロジェクトリーダーが声をかける。その声は笑みを含んだ声で、
「追及は後ほどして頂ければと思います。
この場では有機ELプロジェクトに関することを討論する場ですからね。」
「・・・ああ・・・。」
「今回の件で分かったのは、そもそも中央研究所の開発した材料が
現状のモノよりも劣るということが分かりました。
それならば、採用はせずに現状使用している材料を使っていくという方針でいいですね?」
「そうだな・・・。」
「それと前回の会議の時の内容を覚えておりますか?」
「うん?なんだ?」
「もしも中央研究所が改ざんしている場合には、
このプロジェクトから離れていただくということを?」
「ば、馬鹿な!?それは言葉の綾でそう言ったまでで・・・。」
「そうですよねー。
売り言葉に買い言葉という感じでしたよね。」
「その通りだ!決して本心で言ったわけではない!
もし彼らが失敗しても首にするつもりもなかったしな!!」
「私も金沢取締役はそうおっしゃると思っておりました。」
「そうだろう?そうなんだよ!
あれはみんなに発破をかけるためにわざと言ったんだ。
そうすれば気合も入るし、みんなのやる気も上がるだろうと思ってね。」
「ええ。そのお心遣いありがとうございます。
ですが、残念です・・・。」
「・・・何がだ?」
「昨今のコンプライアンス厳守やパワハラ問題が挙げられる中、
あの発言は看過できないのですよ。」
「はぁ~どういうことだ!!!」
「この会議は常に録音されているのはご存知ですか?」
「な!?それはそこの秘書がやっているだけだろうが?」
「いいえ。社内で法務部が行っており、たまたま私のプロジェクトは
全録音対象になっているのです。」
「そんなこと私は聞いていないぞ!聞いていない!!」
「そうでしょうね・・・社長直々が指揮を執って行っている試みなので、
もしかしたらご存知ないかもしれません。
社内でも一部の人間のみが知っているだけですから。」
「・・・。」
呆然としてしまう金沢取締役に黒い笑みを浮かべて村中プロジェクトリーダーは、
「前回のパワハラ発言もすでに社長のお耳に入っております。
そして今回の中央研究所への監督不行き届きもすぐに社長の耳にも入るでしょう。」
「・・・どうすればいい!どうすれば助けてくれるんだ!
役職か?それならすぐに部長のイスを用意してやる?
金でもいい!いくらでも払う!!」
「ご冗談を。私がそんなことに心を動かされるとお思いですか?
私はもちろん会社のためにつくのが本望ですから。」
「うそをつくな!!この腹黒が!!貴様の野心を知らんとでも思っているのか!!」
「はて?何のことを言われているのか分かりませんが、
私の誠意は会社に尽くしておりますので。
すぐに金沢取締役には社長から通達があるかと思います。
心してお待ちいただければと思います。」
その言葉告げた時の村中プロジェクトリーダーの顔を私は忘れることはないだろう・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




