協力&下請けメーカーの実情
本社近くのコーヒーショップには様々な人が集まっていて・・・
※次話は19:00に更新予定です!
「毎度毎度のことだけど本社に来るまでの足取りが異常に重く感じるわ。」
「・・・意外だね。柊なら気にもせずに歩いていると思ってたけど。」
「俺って意外とデリケートだからね。
ガラスのハートの持ち主だから、簡単に砕けるんだよ。」
「像が踏んでも大丈夫なガラスのくせに何を言ってんの。
それより私、初めて本社に来たんだから、案内してよね。」
「はいはい。っていうか、早く着きすぎたし、
どこかでコーヒーでも飲んでいこうか?」
「さんせーい!ちょっとまだ眠気が完全には飛んでないのよね~。」
「そうなのか?
それならちょうどいいコーヒーショップがあそこにあるぞ。」
「本社の中にも珈琲ショップはあるでしょう?
そっちだと社割が効いて安いんでしょう?
そっちにしよう。」
「いやいや、こっちの方が断然面白いから。」
そう言って私を無理やり本社の近くにあるコーヒーショップに連れていくのであった。
「・・・何が面白いのよ?」
「少しだけ聞き耳を立てみなよ。」
ニヤニヤしている柊の言葉に従って、意識を周りに向けると・・・
「はぁ~、今日の商談大丈夫かな?」
とか、
「・・・こんなの無理だよ・・・今の売価から1円も下げろ何ってさ・・・。」
そんな声が聞こえてくるのであった。
「ねえぇ、もしかして・・・。」
「ああ、たぶんうちの会社と打ち合わせ前か、後の連中がここにいるんだよ。」
やっぱりか!!
私は周りをゆっくりとさりげなく見回すのだが、
そこには見るからに落ち込んだ人もいれば、
意気揚々とした人もいた。
「こんな人の行動を見るって・・・何か感じが悪いわ・・・。」
「まあね、だけど、俺達以外にも招かざる客がいるのは分かる?」
「招かざる客?」
今度は手を洗いに行くふりをして、店内を歩いたのだが、
柊の言うような招かざる客などは分からない。
「・・・分かんないわよ。」
席に戻って開口一番の言葉に、柊は苦笑しながら
「スーツ着てて、バッチをつけてない人が何人かいるだろう?」
そう言われると確かにいた・・・
「それが何よ?バッチを配らない会社もあるでしょう?」
「まあね、だけど、そうじゃない連中もいるんだよ。
新田から見て斜め右のカウンター席に座っている人見える?
男性の眼鏡をかけている人。」
「ええ、見えるけど・・・。」
「その人のポケットから出てくる携帯用ストラップの色は?」
そう言われてその人のポケットの方を見ると
そこには確かに携帯を首から下げる用のストラップがチラリと見えていた・・・
っていうか・・・
「あれ?関西の大手電機メーカーじゃない?」
「ビンゴ!!」
「え?え?」
私は再度辺りを見回すと、バッチをつけていない人たちが複数人いることを確認し、
そしてその人たちの身の回り品を見ていくと・・・
「あの人、関東の大手電機メーカーの人じゃん・・。」
当然分からない人もいるのだが、何かとヒントが転がっていて、
分かる人は分かるのだ!!
「あの人たちは他社の調達の人達とか、
うちに部材を納めているメーカーの営業さんだよ。」
「!?何でこんな所にいるの?」
「さっきいただろ、
『・・・こんなの無理だよ・・・今の売価から1円も下げろ何ってさ・・・。』
って、ぼやいている人がさ。」
「?いたけど、それがなに??」
「例えば、このコップをうちの会社が100円の購入しているとして、
購入先以外にもこのコップ100円以下で売ってくれませんって打診するんだよ。
そうなると、うちのこのコップの買い取り単価は100円なんだなってわかるだろう。
このコップを取り扱っているメーカーは。
で、さっきの1円下げろって言われた情報を入手したら、
99円でってうちから言われたんだということがわかるじゃん。
そうなると他社が98.5円にうちはします!って言えば、
そこの会社が次回からの納入先変更になるわけよ。」
「・・・マジで?」
「マジで。そのための情報収集として、ここに人が配置されてるの。」
「・・・恐ろしいな・・・。」
「まったくね。なかなか怖い世界が見れただろう?眠気も飛んでいくくらいの。」
「私はこんな眠気の飛ばし方は金輪際イヤよ。」
そんな時だった、急に店員さんが近づいてきたと思ったら、
「すいません、お客様。もしよろしければ相席をお願いできませんか?」
よく見ると店内もだいぶ混んできていて、
席もすべて埋まってきていた。
他の店員さんも4人掛けの席に2人しか座っていないところには
声をかけていたのであった。
「じゃあ、私が柊の隣に行くわ。」
「大変ご迷惑をおかけしてすいません。」
店員さんが謝った後、すぐに待っていたお客さんを1人その席に案内する。
見た目はちょっとパッとしないおじさんだった。
「どうも、すいません。」
腰も低く、頭を下げながら椅子へと座るのであった。
どうしても正面に座られているため目が視線がそちらに向かってしまう。
まあ、柊の方を向いて話せばいいかと思ったところで、
「はぁ~・・・。」
そんなため息をつかれると・・・
気になるじゃないか!!!
視線を柊の方からおじさんの方へと向ける。
するとカバンの一部が見えた。
“拡散シート”
一部見えた表記に書かれいた言葉から液晶用の拡散シートかかな?っと思っていると、
どうやら柊もその文字を見ていたようで、
「拡散シートの販売ですか?」
「へ?」
「大変申し訳ないですが、ここからカバンの中が少し見えてしまって、
その時に“拡散シート”って書かれていたので、
拡散シートを取り扱っている商社さんなのかと思いましてね。」
「ああ、そういうことですか。
いや、うちは拡散シートを製造している会社でして、
今日も実は拡散シートの拡販のために南日本電機さんを訪れたんですよ。」
「へぇ~、御社で製造されているんですか。」
ここで柊の目が一段鋭くなったのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




