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白き星に祈りを込めて  作者: ななしとせ
第7章 スコルプ異形体討伐作戦
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第65話 光を求めて

 妻と子を殺された日

 私は光を失った


 哀しく、寒く、苦しい闇の中

 光を求めて彷徨(さまよ)った。


 殺して、殺して、殺した。

 仇を殺して、光を取り戻したかった。


 しかし万の人を殺しても、百の街を破壊しても

 十の国を滅ぼしても、光はない

 闇しかなかった。


 あるのは悲鳴、血と肉の焼ける匂い

 冷えかけた死体の温もり、そして残骸

 それだけだ。


 渇いていた。

 仇に(かつ)え、殺しに渇き、光に()えた

 だから壊した、飢えを満たすために何もかも。


 まだ燃えている、沢山燃えている

 木と岩が、肉と骨とが燃えている。

 あるのは赤、一面赤の世界


 まだ闇しかない・・・


 そんな乾きの中、光が見えた

 求め続けた光だった。


 光は私の娘・・・

 いや娘は死んだ。

 あの子の骨は焼け跡でかき集めた。


 娘ではなく、よく似た別の少女だった。


 少女は泣いていた。

 目を覚まして、と少女が叫んでいた。

 骸になった母親にすがり泣いていた。


 ああそれは・・・私が殺した女性だ。


 少女が泣き、それで知った。

 取り返しのつかない過ちを犯したと。

 妻子を殺した仇達と同じ事をしていたと。


 馬鹿な話だ・・・

 滑稽なのに笑えない

 本当に酷い話だ


 妻子を殺され、仇を殺し続けた。

 そして少女の母を殺し、少女の仇となった。


 少女は仇を求めるだろう。

 光を失い、闇に彷徨うのだろう。


 ・・・駄目だ。

 それだけは駄目だ。

 あんな苦しみは背負わせてはいけない。


 憎しみの連鎖を終わりにしよう。

 殺そう、そうだ殺そう仇を。

 私を殺そう、私自身で。


 私は血塗れの刃で自分の心臓を貫いた。

 それは呆気ないほど簡単だった、


 意識が闇に消えていく。

 これで終われると、ようやくそう思えた・・・・



 ・


『逃げるなよ、愚かな咎人が』


 声が聴こえた。

 知っている、あいつは私を蘇らせたクソ野郎


『お前は私が与えた不老の祝福を悪用し、大罪を犯した』


 ーだから死んで償った


『死んで償えると?愚かな、あまりに愚か。万を遥かに超える命を奪った弑虐者が、己が命で全て償えると?足りぬ、あまりに足りぬ」


 ー全て捧げた、もう何もない。


『呪いだ、不老不死の呪い、死ねない呪いを与えよう。広大な時と宇宙の中、お前は罪を償い続けろ』


 ー何故死なせてくれない

 散々苦しんだ、もう死なせてくれ

 もう楽にしてくれ


『苦しめ。苦しみ、償い続けろ。いつか許される日、お前は解放される』


 ・・・・・・・・・・・・・・・・怖い

 ・・・・・・・・・・・・・・光が怖い

 ・・・・・・・・・・・生きるのが怖い


 今も私は闇の中、苦しみ続ける。

 どうか許してくれ。

 ・・・いや・・・・許さないでくれ。


『永遠などない。だが、いつか・・・に気付ければ罪を・・・」


 声はもう聞こえない。


 ・


 私は生き返った。


 目を覚ますと、目の前で少女が泣いていた。

  私が母親を殺したあの少女だ。


 少女は私の口に水を与えてくれていた。

 私を助けようとしていた。母を殺した私の事を・・・


「良かった、生きていた」

 涙ぐんだ少女が笑った。


 きっと私が仇と知らない。

 だから私にそう言ったのだろう。

 ・・・私はなんて事をしてしまったのか


 光に出会えた。

 闇しかない私に、ようやく出会いた光

 でも光は眩し過ぎた


 ーありがとう・・・

 それしか言えなかった。


 こんな純粋な光に触れる資格はない。

 私は少女の仇だから。


 それでも償いたかった。

 少女を闇に触れさせたくなかった。

 光の中にいて欲しいと、そう願った。


 この少女を助けたい。

 私は闇、もう光を見ることは適わない。

 だけど光を守りたいと願った。


 いつか光を見上げる日を願う

 でもそんな日は来ないだろう。


 あれから気の遠くなる程の歳月が流れた。

 闇の中、私は無様に生きている。


 ・


 血塗れの竜が、今は少女の姿で倒れていた。

 少女は死にかけていた。

 アレフは虚ろな瞳で目の前の光景を見つめていた。



 竜は光だった。

 だから眩しく拒絶した。

 光に触れれば、闇は消えると

 心が壊れると分かっていた。

 だからこそ、勝負の結末は始めから決まっていた。



 暗雲を見上げ、吐息を漏らす。

 見渡すこの世界は残酷なまでに静かで、そして真白過ぎる


「君の勝ちだ」


 ようやく紡がれたその声は、あまりに小さかった。

次は7月11日を予定してますが、ごめんなさい、かなり難しい部分なので、少し伸びるかもしれません。

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