第47話 残骸の叫び
・・・最近仕事が忙しくて・・すいません・・・更新が遅れがちで・・・本当にすいません
当初、ウルバスは余裕を見せていた。
相手は戦闘しか脳のない小娘、如何様にも扱えると思っていた。
異形体殺しと有名な魔力強化体第二大隊大隊長ディーファ、その力は獣人を遥かに凌ぐ。
敵にしてはいけない存在、しかしそれは戦場での話だ。
ここは政事の世界、戦場とは道理が違う。話術こそが全てな世界だ。
適当な屁理屈で焦らせ、怒らせる。
この世界で怒りとは自滅だ。
後は簡単、自滅した小娘を言葉巧みにこの小娘をなぶれば良い。
存分に痛め抜き、心折れたところで、有利な条件を押し付ける。
たったこれだけの簡単な事のはずだった・・・
案の定、小娘は怒り出し、勝利を確信して内心でほくそ笑んでいた。
しかしその時、どこの馬の骨ともわからないとは輩が割り込んできた。
「ちっ・・・」
絶好の機会を潰されたウルバスは、思わず舌打ちしてていた。
・
「そもそも、あなたはどこのどなたですか?ここはそれなりの身分が求められる場、不相応ですよ」
不快な表情を浮かべるウブラスに対し、アレフは面倒そうな表情だった。
「紹介なら既に済ませたはずだ。忘れたのなら、随分と不躾だな」
ウルバスの眉間がわずかに揺れた。
「どうやら話が通じない方のようですね」
ウルバスがわざとらしく三度目の肩を竦めて
みせた。
「アレフ様、わかりやすく説明しましょう。先程の私の言葉は、部下ごときが口を出すな、という意味です。その程度の事もご理解しないのでは、あなたは話す価値もないようですね」
「では、その言葉をそのままお返ししよう。今ある状況を忘れ、無駄な言葉遊びに時間を浪費する者とは話す価値もない」
呆れ顔で見下すウルバスを、しかしアレフは鼻で笑い返した。
「それにしても、もう少し気の利いた返しを期待してたが、些か肩透かしを食らった気分だ。今少し知的な会話を望みたいのだが、これでは少々残念だ」
「それはどういう意味ですか。まさか私が低能とでも?」
「ご想像にお任せしよう。そうそう言い忘れていた。先程私をサイカの野蛮人と言ったな。ハズレだ、私はサイカの生まれではない。存外アメリアには人を見る目がないようだ」
「失敬な!貴方は敬意を払うこと知らないのですか」
「敬意は相応しい相手に払うものだ。慇懃無礼な態度でかけらも敬意を払わなかったお前がどうしてそれを求める資格があるか。因果は応報する。自身の行いへの報いと知れ」
「何だと・・・」
「言葉遣いが変わったな。化けの皮が剥がれてるぞ。そちらが本性か?」
「こうなったのもあなたが相手だからだ」
「落ち着け、そんな事は知っている」
「ちっ・・・クソが」
いちいち棘のある物言いのアレフの物言いを、ウルバスは殺さんばかりに睨み付けた。
これに対しアレフは歯牙にも掛けない。未だつまらなそうに胸元の通信機を弄んでいた。
「ふざけるなよ!」
ウルバスはとうとう怒り出した。先程のディーファの時と立場が完全に真逆だった。
「私はこれでもアメリアの代表だ!貴方のその無礼な態度、これは外交問題だ・・・ですよ」
「外交問題ねえ。ん、この機構は知らないな」
ウルバスの明らかな脅しに、やはりアレフを通信機を弄ぶ手を止めなかった。
「この無線機は調子が悪くてな、こちらの方が外交問題とやらよりも深刻な問題だ。何せ外交相手は侵略戦を仕掛けた国だから、今更どう転ぼうと瑣末事だ」
「ちっ・・私はそれなりの立場、最高責任者とも親交が深い。私がその気になれば、おま・・・貴方のクビなど一発で飛びますよ?」
「古臭い詐欺師の手口だな。まずは礼儀で難癖をつけ、次は外交問題、それから私のクビとな。都合が悪くなると話の挿げ替えて逃げる。古典過ぎてあくびが出る。頼むからもう少し面白い話をしてくれ」
「私を挑発しているつもりか!もうお前はクビ確定、おしまいだ」
「挑発?単なる事実を述べたつもりなのだがね」
ここでアレフはようやく通信機を弄る手を止めると、ニヤケ顔でウブルスを見つめた。
「クビとは有り難いな。これでサイカとの縁が切れる。是非ともお礼をしておかないとな」
「はあ、お礼だと?」
ウブラスは呆れ顔でアラブを見つめた。
「ウェネス都市長マリニアの代行としての、アメリア代表ウブラスへの正式な抗議だ。是非受け取って欲しい。返品は不可だ」
「はあ?抗議だと?私が何をしたと?」
「時間稼ぎのための露骨な遅延行為と、マリニア様と我が隊への侮辱的に発言だ。後日正式な書面で送らせてもらう。誠意ある回答を頂きたい」
「ふざける・・・くそ」
毒づくウルバスの顔は蒼白になっていた。
アレフの言う正式な回答とは、つまりウルバスの処分を求める事を意味する。
この場合、ウルバスは何かしらの処分を下される可能性が高い。良くて口頭注意、悪くてな免職。いずれにせよ彼の輝かしい経歴に傷が付くことは免れない。
今後の出世の道ほぼ間違いなく断たれるだろう。
「良いでしょう。では私も正式に貴方の無礼な態度を抗議することにします」
思案の末にウルバスは応えた。彼は徹底抗戦する構えだった。
「はは、道連れのつもりか?それは天秤が釣り合わない」
戦う覚悟を見せるウブルスを、アレフは嘲るように笑って。
「私の階級章を見ろ、ただ一介の小隊長、サイカの民ですらない。つまり私は使い捨てだ。解雇?国外追放?どうでも良い。さて都市長補佐ウルバス殿、貴方様の立場の重さは如何なもの。私程の軽さをお持ちかな?」
「あ・・・」
ウルバスは絶句した。
せっかくの戦う決意が、ものの数秒で粉微塵に粉砕されたのだった。
そもそも同じ土俵で戦う相手ですらないと気が付いたが遅い。
既に崖っぷちに追い込まれていたことを、ウブラスはようやく悟った。
「お、お互い引きませんか。時間もないことですし。双方これまでのことはなかったという事でどうでしょうか?」
ウブラスは悔しさに拳を振るわせるも、どうにか作り笑みを浮かべた。
「あなたへの抗議はしません。ですので、貴方もご遠慮頂きたいのですが、いかがでしょうか?」
「提案を受けよう。時間もない事だしな」
頬を引くつかせるウルバスに、アレフは鼻で笑い鷹揚に頷いた。
「抗議はしないが、先程からの数々の無礼な言動は二度とするな。次はない」
「承りました。では、こちらの借り一つという事で」
「要らんよ、ゴミ箱にでも入れておけ。それよりさっさと本題だ。つまらん時間稼ぎはするな。これは警告だ」
「しつこ・・・いえ、分かりました」
アルフの言葉にウルバスは渋々うなずいた。
こうして主導権は完全にアレフのものとなっていた。
・
完全に沈黙したウルバスに、アレフが淡々と説明を続けていた。
「こちらの戦力は、完全武装の魔力強化体400名、これで都市を焼く大型術式を実行する。協力したいとの申し出だったが、それには釣り合う戦力が必要だ。即投入可能の完全武装兵1万程度、これが必要最低限だ。これ以下ならいない方が良い」
「そ、それは・・」
有無を言わさぬ問いに、ウルバスは言葉を詰まらせた。
「ウブルス殿、貴君が保持する即時投入可能な戦力は如何程か?」
アレフは鋭い圧の眼力で睨みつけた。
「それは・・・20名です」
圧に押し負けたウブルスは、消えそうな声で応えた。
「それだけで協力とは、一体どのようなおつもりか?」
「それは・・その・・どうしても時間が足りなかったもので、しかし時間を頂ければ、ひっ!」
言葉の途中でウブルスが悲鳴を上げた。一歩踏み出したアレフに恐怖したからだった。
「舐められたものだ。やはり敵国、もはや体裁も遠慮はいらんな」
「ま、待って下さい。決してそんなつもりは」
「あるだろ?」
アレフが更に一歩踏み込むと、今度はウブルスが3歩退いていた。
「形ばかりの協力で、実質は全てこちらに押し付けると。更に難癖をつけて、あわよくば戦果を横取りする算段だったと。なんとも淺ましい」
「そっ、そんな事はないです。実は」
「つまらん戯れ事は終わりだ。同行についても、信用出来ないのでお断りさせてもらう。早々にお帰り願おう」
アレフの下した決断は、完全な交渉決裂だった。
「何ですって?」
ウルバスは信じ難い表情を浮かべた。
「回れ右してそのまま帰れと言った。聞こえなかったのか?」
これに冷たい視線のアレフが返した。
「待って下さい!いきなり帰れとは失礼ではないですか!」
「また話のすり替えか。つまらん詐術はやめろと言ったはずだ。帰れ」
「わ、私達の都市が焼かれるのです。少しでも協力させて下さい。確かに戦力は少ないですが、それでも協力できる事があるはずです!」
「具体的には?」
「そ、それは・・・」
睨むアレフから逃げるように、ウルバスは視線を逸らし俯いた。
「これから一緒に考えようかと思い」
「消えろ」
「貴方には愛がないのですか?哀れな民を、無実の方々を見捨てるのですか!」
「愛で救うか・・・随分とご立派な理想だ」
そう告げた瞬間、アレフを取り巻く空気が重く軋む。
暗く沈む眼光が爛々と輝いていた。
満ち溢れる殺意に空気が変わった。
殺意は本能的な恐怖を呼び、恐怖が空気を極寒へと変える。
ウルバスは極寒の恐怖に震え始めていた。
「理想は否定しない。語るだけなら由としよう」
冷たい声が響いた。ウルバスは動けない。
「だが口先だけの理想の押し付けは詐欺に等しい。理想を求めるなら相応の形を示せ。示せないなら、この場にいる資格はない」
「・・・あ、いや、その」
震え続けるウルバスの顔面は、既に蒼白になっていた。
「都市の人々を殺すのですか!虐殺ですよ!」
震えながらも、ウルバスは大声で返した。なけなしの誇りが恐怖を乗り越えさせたのだろう。或いは無謀ともいう。
「ほう・・・」
アレフが口の端を吊り上げる。それは肉食獣の笑みだった。
「彼は人ではない、異形体に成り下がった」
それはとても静かで、しかし冷たい声だった。
「違う!彼らは元々は人間、いや今もまだ人間だ!あなたは人間を虐殺するつもりなのか!」
「虐殺だと?ああそうだ皆殺しだ」
アレフが吠えた、まるで肉食獣の唸りの様に。
その時、そこは狩りの場へと変貌した。重く、冷たく、震えるほどに張りつめる。
強烈な殺気がその場の全ての者達を畏怖させた。
「忘れるな、獣人達もまた人間だ。愛を語るお前達は、何故獣人達を見捨てた?答えろ」
空気が完全に凍り付く。その中のウルバスは、答えるだころか瞬きすら適わない。
「私達は獣人達を殺した。お前達がけしかけ、私達に殺させた。一方的な虐殺だ」
冷たく低いアレフの声は震えていた。
「そ・・・それは・・・」
たじろぐウルバスを、アレフは殺さんばかりに睨み付けた。
「かの王レグルスは自身を犠牲にして、仲間を救い死んだ。多くの英雄達も彼の後を追った。まだ幼い少年も死んだ。私の胸の中で笑いながら死んだ・・・私は無力だった」
「あっ・・・あの・・・」
耐え切れなくなったウルバスは、助けを求めて脇を見た。
そこには、獣人達が立っていた。
ウルバスは戦慄した。彼等もまた泣きながら睨んでいる。見捨てられた彼等は害意を持つ敵だった。
「私は虐殺者だ。だがお前達も虐殺者だ。私にはもう愛を語る資格はない、お前達もだ」
それは静かな震え声だった。しかしそこには怒りがあり、哀しみがあり、そして絶望がある。
それがアレフの心の叫びなのだろう。
「・・・申し訳ありません」
打ちひしがれたウルバスは震えながらも頭を下げた。
「その声、その存在自体が不快だ。失せろ」
「・・・わかりました」
心折られた敗者は、勝者に従うしかなかった。
・
ウルバスの目的は、監査役として作戦に入り込み、言葉巧みに戦果をかっさらう事
あわよくば都市スコルプの損失の責任を押し付け、賠償金をせしめる。
達成できれば、将来の出世は確約されるだろう。
しかし目論見はご破産になった。
ディーファとかいう小娘は手玉に取れたが、途中交代したアレフと言う輩は手練れ過ぎた。
目論見を見抜かれ、逆に挑発され、力押しされ負けた。
理不尽を味合わされ、何の成果もなく引き下がるのは屈辱だった。
せめて一矢報いたいが、あの男相手では不可能だった。
悔しさに歯ぎしりするウルバスの視界に、ふとし獣人達の姿が入りこむ。
ウルバスはほくそ笑んだ。
憂さ晴らしの格好の獲物を見つけた、と。
ウルバスは獣人達の前へと歩み出た。
ドシドシと大股で歩き、肩で風を切り、必要以上に威張りながらだ。
ウルバスを前に、獣人達は不快な表情を露わにしている。
しかし彼達は動かない。動けるはずもない。
敵国とはいえ高官に手を出したらどうなるか、それぐらいのしつけはさせた。
「久しぶりじゃないか、まさか生きていたとはな」
ウルバスは彼等を嘲るように見上げた。
「この裏切り者どもが、雁首揃えてよくも生き恥を晒していられるものだ。呆れを通り越して感心すらする」
それはアレフに負けた腹いせの、ウルバスによる獣人達への的外れな復讐の罵倒であった。
獣人達は怒りにその身を震わせる。
しかし彼等の胸に、事前に言われたアレフの言葉がよぎる。
『何を言われても絶対に手を出すな。もし手を出す時は私だけだ』
それは復讐にすらならない、ただの八つ当たりだった。
獣人達は動かなかった。
「知っているか?お前らが捨てられたのは、役立たずだからだ。せいぜい有能に見せろよ。お優しいサイカにみすれられない、せいぜいご自慢の尻尾を振ることだ」
ケラケラと笑うウルバスの罵倒を、獣人達はなおも耐えていた。
抵抗しない獣人達に気を良くしたのか、ウルバスは更に笑い続けていた。
背後から近づく者に気が付かない。
「レグルスだったか?獣王だと?ははは全く馬鹿で無能な自称獣王だ。お前達が死んだのも、とんだ無能王のせいだなあ」
「てめえ!」
耐え切れず獣人の誰かが吠えた。
獣王レグルスの侮辱、それが越えてはならない一線とウルバスは知らない。
その瞬間、獣人達の我慢は完全に限界を超えた。
「よくもレグルスのことを!」
別の獣人が飛び掛かろうとした。
しかしそれより先に、ウルバスは最中から倒れていた。
背後からウルバスは襟首を掴んだアレフが、彼を背中から叩き倒したからだ。
「ガッ!」
倒されたウルバスの悲鳴が響いた。
「グっ!」
「アガっ!」
続き二つのうめき声が響いた。
鳩尾に手拳を叩き込まれ、瞬時に昏倒した護衛達だった。
瞳を狂気を宿す獣がウブルスを見下ろしている。
「殺す」
たった一言、それだけで世界は冷たく沈黙した。
・
処刑場、地獄、絶望、その程度の言葉では足りない。
この世のどんな言葉だろうと、この冷たく重い死の絶望には及ばない。
殺気と狂気が魂を根源から束縛する。
誰も動かない、動けない。
ただアレフだけがゆっくりと刃を抜いていた。
「死ね。お前の首級をもって死者達の慰めとする」
殺意に満ちた声でそう告げると、アレフは漣の切先を男の首元へと向けた。
「ま、ま、ま、ま・・・待って・・殺さないで」
震え声のウルバスを逃さぬよう、アレフは右脚で踏みつけ拘束した。
「お前は彼等の神域を犯した。尊き王を侮辱し、心を殺めた。それは死すら生易しい罪だ」
「そ、そ、そ、そんなつもりは」
ウルバスは泣き喚いていた、顔面は鼻水と涙で醜く歪み、もはや呂律が回らない。
「死ね」
そんな彼の眼前に、アレフは憎しみに染まる瞳を近づけた。
「お前達は彼等を迫害し、呪い、死地へと追いやった。彼等にはお前を殺す資格がある。だが、彼等には殺させない」
「そ、そ、そ、それは・・・」
「彼等は解放された。もう罪も悲しみを負わせない、だから私が殺す」
「ま・・待て・・・待って・・・ください・・・」
「地獄で悔め、それが死した英雄達への償いだ」
「お願い・・・です・・・死にたく・・・ない」
「そう言って死んだ者達がいた。お前達が見捨てた者達だ。自業自得の意味をその身を持って知れ」
アレフはウルバスから瞳を話すと、刃をゆっくりと振り上げた。
「この刃、漣は友より貰った我が命、薄汚い血で汚すのは不本意なれど、仲間のためなら致し方なし」
漣が高く振り上げられた。
「止めろ!」
アレフの背後からディーファが叫んだ。
しかしアレフは止まらなかった。
頭上に掲げた刃の柄を両手で握ると、今にも振り下ろさんと構えた。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・お願いです、助けて下さい」
「遺言ぐらいは聞いてやる、言え」
「止まるんだアレフ!止めろ!」
振りかぶるアレフを、ディーファが背後から羽交締めにした。
魔力強化隊たるディーファの力は常人を遥かに凌ぐ。
そんな彼女が全力になっても、鍛え抜かれたアレフの肉体は微動だにしない。
「頼む、動くな、頼む!」
ディーファの必死の懇願と抵抗も虚しく、アレフの腕は少しずつ動き、刃を振り下ろそうとしていた。
「頼む、手伝ってくれ!このまま殺せば、アレフも処分される。銃殺刑だ!頼む!彼を止めてくれ!」
ディーファが必死の叫びを聞いた瞬間、獣人達は一斉に飛び出していた。
ある者がアレフの背中に飛び乗った。またある者は腕にしがみついた。
腰にしがみつき、足を抑え、獣人達の皆が必死にアレフを止めようとした。
それでもアレフは止まらなかった。
しがみつく腕を強引に動かし、とうとう刃を振り下ろそうとした。
「止めて下さい!もう十分です!」
女性の獣人が泣き叫んだ。
「あなたは罪を被らないで!」
男性の獣人が懇願した。
「もう大切な仲間をもう失いたくない!」
「私達を置いて行かないで!」
皆が口々に懇願した。
それでアレフが止まった。
・
押し止まったアレフは、ディーファに刃を取り上げられ、獣人達にも拘束されていた。
ウルバスは死から解放された。
しかし彼を見つめるアレフからは、抑えきれない殺気が抑えようとはしない。
彼は今も虎視眈々とウルバスの命を狙っている。
空気はまだ凍えている。
そんな中をウルバス達は震えながらも立ち去ろうとしていた。
「獣王レグルス、この名を二度と汚すな。今後彼の名を汚す者がいれば、誰であろうと殺す。例え地の果てに逃げようとも殺す。この言葉、魂に刻め」
冷たいアレフの警告に、ウルバス達は無言で頷くと、足を引きずりその場から去って行った。
「すまなかった」
アレフが疲れた笑みでそう言った。
誰も何も言わなかった。
「私を止めてくれてありがとう。それとすまない・・・お前たちの仇を取れなかった」
そう言いアレフが頭を下げた瞬間、獣人達は一切に泣き出していた。
次は7月20日更新予定ですが、場合によっては23日となります。
仕事中にポチポチ書いているのですが、最近暇がなくて書けないでおります。
どうもすいません。




