第34話 月下の想い
夜も更け日付が変わった頃、ようやく仕事を終えたアレフは帰路についていた。
明日も朝は早く休める時間は短い。
早々に休まなければ明日に支障が出るのだろう。そう思うと気怠い体でも自然と早足になっていた。
「すまない、遅くなった」
「気にするな、私も似たようなものだ」
呼び掛けるアレフの視線の先には、銀光の下で優しく微笑むディーファの姿があった。
ほのかに瞬く銀光に照らされ、彼女の透き通るような銀の髪と白い肌とが淡い輝きを放ち、仄かに微笑む美しい容貌をより艶やかに映えさせる。
その神々しい姿に、しばし時を忘れて見惚れていた。
茫然と自分を見つめるアレフに、ディーファは不思議そうに小首を傾げた。
「どうした?少し元気がないぞ。何かあったか?」
「疲れのせいだ、少し目眩がしていた」
「おいおい、本当に大丈夫か?」
「問題ない」
「是が非でもそうあってくれ」
ディーファが心配の眼差しを向けるが、何故かアレフは眩しそうに視線を逸らした。
「お前にはまだまだやってもらう事があるからな。頼むから根を詰め過ぎるな」
「それなら仕事を減らしてくれ」
「・・・前言撤回だ。死なない程度に根を詰めてくれ」
「酷い話だ」
「言っておくが、お前が始めたことだからな。死ぬなら、完遂してからにしてくれ。その後ならいくらでも骨は拾ってやる」
「殺す前提か。さっきまでの気遣いはどうした?」
「冗談だ。本当に駄目ならクリスに仕事を減らすよう伝えてやる。それともお前から頼んでみるか、きっと面白いことになるぞ?」
「・・・面白そうだな。私から大隊長命令として伝えておこう」
「おいアレフ!そんな暴挙は絶対にやめろよ、本当にやめてくれ。まだ死にたくない」
「・・・私も同罪になりそうだ、やめておこう」
クリスに手ひどく絞られた思い出がよぎったのか、アレフは苦虫を嚙み潰したような渋面となった。
「なあ・・・」
冗談まじりのため息を吐くアレフを、ディーファは真剣な面持ちで見つめた。
「つかぬことを聞くが、私はお前に好意を抱いているのか?」
「普通聞くなら主語と対象が逆だと思うが・・・まあ自分で好意を抱いてないと思うのなら、その通りでは?」
「だよなあ!そんな事ないよな!」
困り顔にアレフを見つめると、ディーファは安堵した表情で笑い出した。
「だってなあ、まさか私がお前になんて好意を持つわけがないものな。いやあ、周りが色々言ってくるから変に意識してしまったぞ」
「・・・今後は本人の前で聞くのはやめておけ。事によっては相手を傷つける」
「そうなのか?いやあ、すまんすまん」
ジト目のアレフから視線を逸らしながら、ディーファは気恥ずかしそうに頬を掻いた。
「悪気はない、だから許してくれ。くれぐれもクリスには言わないでくれよ?・・・本当に怖いからな」
冗談まじりのつもりだったディーファだが、途中からは本気で怖がっていた。
「部下をそこまで怖がるのもどうかとは思うが、たしかに怖かった。魔道国家リセルを滅ぼした魔神よりも怖か・・・すまない、絶対に言わないでくれ」
「それは分かったが、今度は魔神か?前は天使だったがよな?まあそれはそれとして、クリスは確かに怖いが理不尽さはない。だから皆も受け入れているし、お前もそのはずだ。まあ怖いことには変わりないが」
ディーファなりの擁護なのだろうが、最後の一言で全て台無しだった。
答えに困ったアレフは無言で、神妙な表情を浮かべていた。
「おいおい、まさかクリスに惚れたか?」
ディーファが露骨に不満そうな表情で睨みつけた。
「悪い女性ではないと思うが、惚れてはいない」
「・・・ふむ。そうなると本命はイリスか。彼女はお前に」
「やめろ、その手の話は好きではない。マリニア様とかやり取りは見ていたはずだ」
「おおう、す、すまなかった」
アレフの剣幕を前に、ディーファは思わずたじろいだ。
脳裏にアレフとマリニアとの口汚い罵り合いの光景が思い浮かんだ。
自分との婚姻を勧めるマリニア様とアレフは口論していた。
あの時、マリニアはからかい半分だったが、途中からアレフは真剣に怒っている様にも見えた。
今思えば、本当に嫌だったのだろう。
反省したディーファは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「本当にすまなかった。理由を・・いやなんでもない」
この事が尾を引くかと心配していたディーファだが、意外にもアレフは怒ってはいなかった。
「死んだ妻に操を立てている。この先色恋沙汰に絡むつもりはない」
「お堅い・・いや何でもない失言だった。とにかく二度とこの手の話はもうしない」
「そうしてくれ・・・私は不器用極まりないからな」
「不器用なのか?よく分からんが、どう言う意味だ?」
「それは・・・鏡を見てみる事だ。よく似た奴が見えるはずだ。だがそれも幸運か。たまには神に感謝しても良いかもしれないな」
「はあ?なんだそれは、全く意味が分からんぞ」
「不器用と鈍感に感謝だ」
「今度は鈍感?お前鈍感もなのか?私も鈍感とか言われるが・・鏡を見る?・・・お前!私を鈍感とか不器用とかよくもそんな事を!」
「ははは」
「笑うな!くっそー!」
笑うアレフに悔しがるディーファだが、いつの間にか笑い出していた。
少しの間だけ、彼等は月明かりの下で笑い合っていた。
・
「クリスには感謝している。以前私が屑野郎を殴った時も、結局は彼女が四方八方に手を尽くしてくれた。その恩は忘れないし、頭も上がらない。怒られる事も多いが、彼女からなら甘んじて受け止めるし、申し訳なくて身が縮む」
「引け目があるから怖い、か。確かにその通りだな」
「彼女は得難い人材だ。怒られてはいるが、恨み言を抱くつもりはない、出来るはずがない」
「ほう?・・・随分とクリスに理解があるじゃないか?本当に惚れてないのか?」
「もうこの手の話題はするなと言ったはすだが・・・?」
いきなり約束破りにディーファを睨もうとしたが、予期せぬ状況にアレフは困惑した。
ディーファの方が先に睨んでいたからだ。
「誤解しない様に言っておくが、彼女とは事務の関係で顔を合わす事が多い。だから嫌でも理解は・・・なあ怒ってないか?」
ジト目で睨むディーファに、アレフは不思議そうに首を傾げた。
「怒ってないぞ!」
「なぜ声を荒げる?。気に触る事でも言ったか?」
「何も言ってない!声も普通だ!」
そう答えるディーファだが、やはり声は大きいし、何故か頬も赤く染まっていた。
「別に?恋愛沙汰を嫌うアレフ様が?どんな女に興味を持とうが関係ごさいませんよ。気にしてなどおりませんとも」
「気にしてないか?それに仮に私がクリスに惚れていたとして、何か問題があるのか?」
「はあ?やっぱり惚れてるのか!」
「だから仮にだ。惚れてはいない」
「疑わしいものだな!」
「・・・勘弁してくれ」
拗ねてそっぽを向くディーファに、アレフは困惑するしかなかった。
「さっきから変だぞ?」
「気のせいですとも!だから気にするな!」
「いやだから」
「気にするな!」
「・・・分かった」
それから少しの間、彼等は互いに何も言わないまま白く染まった隊庭を見つめ続けていた。
本来なら気まずくなりそうだが、この時の月明かりは暖かく、だからその沈黙はどこか心地良いものだった。
・
「すまなかった。少し気が動転していた。理由は分からのだが」
「私もよく分からんが、まあ気にしないでくれ」
しばらくしてからの、お互い目を逸らしたままの和解だった。
「アレフ、頼みがある、真剣な話だ」
ひと時の心地よさを十分味わったところで、これまで笑顔だったディーファが真剣な表情でアレフを見つめた。
「私に可能なら」
「お前しか出来ないな。もう少し長く残ってくれ、それが頼みだ。獣人達の統制にはどうしてもお前が必要だ」
真剣な瞳で見つめるディーファに対し、しかしアレフは目を伏せた。
「それは・・・無理だ。約束がある」
「約束か・・・それなら仕方ないか」
浅く溜息を吐くとディーファは寂しそうに微笑んだ。
「どんな約束なんだ。いや、言いたくなければ言わなくても良い」
「生きて帰って再会する、それが友と最後に交わした約束だ」
そう言うとアレフは銀の星を仰ぎ見た。
しかしその瞳には暖かく光る銀の星ではなく、その先の遥か遠い宇宙が映されていた。
彼は空を仰ぎ見たまま静かな声で語り始める。
「マリニア様から、私が歳を取らない話は聞いているか?」
「ああ・・・三千歳を超えているそうだな」
「そのせいでかなり苦しんだ。もう昔の話だがな」
アレフは僅かな震え声で話を続けた。
「あの時は生きることが苦痛だった。苦しく、悲しくて、絶望して、本当に死にたかった。なのに死なず、苦しんでいた。何もかもが嫌で、当たり散らして荒んでいた」
「・・・お前がか」
衝撃すぎる告白に、ディーファは思わず息を呑んだ。
「そんな時、あいつが現れた。あいつは荒れ狂う私をぶん殴り、だから私も殴り返した。殴って殴り返され、それが三日三晩ぐらい続いた。いつの間にか周囲の山が消えた頃、馬乗りなったあいつが泣きながら殴り続けていた。まあ直ぐにで首関節を取って骨を折ってやったが・・・逆に足首を折りやがったな。あの野郎」
「それは本当に友なのか?」
「時々自信をなくすが、多分そうだ。そんなこんなで互いに血塗れになって、倒れて、何度も立ち上がってまた殴り合いを始めて、それが楽しい事に気が付き始めた。久方ぶりに楽しかった、本当に楽しかった。結局私は負けて、地べたに倒れたところで、あいつが胸倉を掴んで叫んだんだ、『阿保が!もっと生きやがれ!』ってな」
「・・・そうか」
「その言葉に私は救われた。償いきれない罪にまみれて、生きる価値が無い私だ。それでもこの世界に生きる事を認めてるから人がいた、それが救いだった」
静かに語るその声には、いつの間にか涙声の震えが混じっていた。
「今ここにこうして私がいるのは、あいつのおかけだ。あいつに会えなければ、私は壊れていた。だから心から感謝している。そしてこの恩は必ず返す。返し切れなくても返し続ける」
全身に銀の光を浴び、彼は涙声で言葉を紡ぎ続けた。
「ある時だ、大きな戦争があった。馬鹿な、愚かな、情けない理由で起きた戦争だ。たくさんの人が意味もなく殺された。憎しみが憎しみを呼び、世界中が憎しみに満ち、誰もが殺しあっていた。そんな中、あいつだけは憎しみを退け、殺し合いを止めようしていた。傷付いても怯まず、何度倒れても立ち上がって、多くの命を救い続けた」
そこでアレフは空を見上げるのをやめた。
うつむき、後悔の表情で地面を睨んでいた。
「・・・だけど・・・・駄目だった。あいつは私よりも強い。だけど力及ばなかった。傷付いて倒れた」
それからもう一度遥か虚空を見上げた。そこに待つ友を見つめる様に。
「死に掛けてもあいつは諦めなかった。ロクに意識もないはずなのに、あいつは言った」
『人類を終わらせたくない。止めるな、俺は行く』
「泣きながらそう叫んで・・・力尽きた」
言い終えると、アレフは拳を渾身の力で握りしめた。
「あいつは死は免れた。だがもう戦えなかった。だからあいつの代わりになろうとした。だが駄目だった。最後の最後で失敗した」
彼は空を仰ぎ見たまま何度も首を横に振る。
その双眸からは光るものが伝い落ちていた。
「愚かな戦争がようやく終わろうとしていた時だった。破滅寸前に追い込まれた独裁者が、古代の破壊兵器を使って世界を道連れにしようした。発動すれば、星すら砕ける代物だった。実際、小さな大陸が一つ消された」
アレフは悔しげに木の幹に拳を打ちつけた。
軽く叩いただけだが、枝から雪が滑り落ちた雪が、アレフの頭へと落ちた。
避けられるはずなのに、避けなかった。
「古代兵器を止めるため、戦友達と乗り込んだ。皆が倒れ私だけが生き残り、どうにか古代兵器を止めた・・・はずだだったが予測外の事が起きた。突然発生した時空の歪みに飲み込まれて、結果、はるか別の宇宙に飛ばされた。何もかもが違う世界だった」
心を落ち着かせるためか、アレフは大きく深呼吸をした。
「そこは遠い異郷だった、それでも私は帰りたかった、生きて帰ると、交わした約束を果たしたかった。きっと地球は滅んでいない。あいつがいる限り、どんな絶望でも救われる。あいつが絶対に救う。あいつは真の英雄、そういう奴だ。そんなあいつに会いたかった」
アレフは拳を握った。拳の中には溢れんばかりの思いが込められていた。
「私に残されたのは約束だけだ。それだけが私の支え、生きる意義だ」
語り終えるなり、アレフは頭を深々と下げた。
「だから、すまない。君の気持は本当に嬉しい。だけどここには残れない」
顔を上げたアレフは寂しそうに微笑んでいた。
ディーファは何も応えられなかった。
・
ディーファは困惑していた。
アレフの独白を聴き続けるうちに、胸の痛みが徐々に強くなっていた。
その原因が分からない。だから困惑していた。
「・・・そっか」
ようやく言葉を絞り出すと、アレフに背を向けた。
ひどく崩れた自分の顔を見せなくなかった。
「大事なものがあるなら仕方ないな」
震えそうな声を抑えるのに必死だった。
言葉と心は真逆だった。
彼の強い意志には立ち入れず、それがどうしようもなく悔しかった・・・
「早く顔を見せてやれよ」
声は少し震えていた。
振り向くことは出来なかった。
今彼の顔を見てしまったら、自分がどうなるかわからなかった。
「すまない・・・」
「謝るな、お前の想いは当然だ。だから謝らないでくれ」
そう答えるが、心中はみじめだった。
「お前が・・・大切な人と再会することを願っている・・・」
「ありがとう」
振り返るべきなのだろうが、どうしても出来なかった。
もう彼を正視出来なかった。
「・・・せめて最後の日までは力を貸してくれ」
「ああ、全力を尽くす」
「・・・そうか」
どこまでも頼もしい声に、安堵と苛立ちを感じた。
そう答えることは分かりきっていた。
しかし望んでいなかった。
おそらく本当は・・・
「友か・・・良いものなのだな」
「ああ、私の1番大切な存在だ」
「・・・私ではなれないな・・・お前の友には」
「それは心外だ。私は戦友のつもりだったが、そう認めてもらえてないのか?」
「何だよそれは?認めてないわけないだろうが。今更・・・今更そんな事言うなよ、遅すぎだ」
そう言って空を仰ぎ見た、瞳から何かが溺れ落ちそうなのを堪えるために。
きっと彼は気付いていない。
友と戦友とは違う事を。
自分は戦友になれたが、友とはなれていない。
きっとこれからもなれないだろう。
自分では『あいつ』に遥かに及ばないのだから・・・
「遠いな、本当に遠すぎる」
「そうだな、地球はまだ遥か遠い。それでも諦めない」
「目に見えていてもまるで届かない、遠すぎる」
「そうだな、星々は見えているのに、この手は届かない」
ずれた会話にため息を吐いた。
自分の意思は彼には届かない。
それがはっきりと分かってしまった・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・妬ましい」
無意識にこぼれ出ていた、とても小さな声だった。
それきりディーファは言葉を止めた。
アレフもまた何も話さない。
音もない世界の中、彼等は遥か虚空に冷たく輝く銀の星を見続けていた。
・
『愁嘆場に申し訳ありません。緊急事態です』
冷たい沈黙を破ったのは、アレフの通信機から響いたフィロの声だった。何故か少し怒っているように聞こえた。
「愁嘆場?」
アレフは小声で呟きながら、右耳の通信機を軽く2回叩いた。
話を続けろ、と言う合図だった。
突然様子が変わったアレフに気付いたのか、ディーファは怪訝な顔で見ていた。
それに対し、アレフは敢えて何も反応せずにフィロの声に集中していた。
『大規模な魔力反応がありました。場所は北西約500キロの地点に所在のアメリア国の都市スコルプです』
アレフはもう一度通信機を2回叩いた。
『解析したところ、これは都市規模の巨大魔法術式が展開でした。なおこの術式の構成には生命の鍵が内包されてました』
「何だと?」
思わず声を出してしまったアレフは、ため息を付きながら再び通信機を2回叩くと、事情を聞きたげなディーファに軽く手のひらを突き出して止めた。
『今回使われた生命の鍵は、生体を改変のものと酷似していました。結果と照合するに、それは間違いないでしょう』
ここでアレフは無線機を一回だけ叩いた。
一回は、指示があるまで待て、という意味だった。
・
生命の鍵
それはかつて神々が造った産物だった。
人類を創生した神々が、人類を管理するために埋め込まれた鍵らしい
生命の鍵で神々は人を自由に出来るという。
傷を治すこと、新たな命を作る事、そして自由に改造すること・・・
アレフの知る限り、これを治癒魔法術式に以外に使う者はいない。
もし仮に悪用すれば人を如何様にも出来る悪魔の代物だからだ・・・
・
いつの間にかアレフの額からは冷や汗が流れていた。
どう考えても悪い予感しかしない。
「何が起きた?そしてこれから何が起きる?」
声を出していた。
声を出さずに合図をしていたのは、フィロの存在を隠すためだった。
これでディーファに知られてしまうが、今は時間の方が惜しかった。
『これでバレましたね。規定違反です、責任は取って下さいね』
「分かってる」
『術式によって都市スコルプに住人全てが、下手な生命体へと改変されました。改変されたのは都市人口およそ60万、その内の約40万が術式に耐えきれず死亡、生き残ったのは約20万、改変されたのは生命体とは、異形体です』
「20万の異形体だと・・・」
あまりの数にアレフは絶句した。
ディーファの話では、魔力強化体第二大隊を壊滅させるには異形体1000体程で事足りると言う。
それが300倍がとなれば、勝敗など語るまでもない。
『早急な対策が必要です。ここヴァネスは不幸にもスコルプから一番近い都市です。この異形体達が孵化した場合には、この都市が滅ぼされる可能性が一番高いです』
「孵化?まだ不完全ということか?」
『はい、彼等はまだ蛹状態で動けません。つまり孵化前の今こそが唯一の好機なのです。早急に部隊を派遣するよう仕向けて下さい』
「部隊を向けたとして、それからの具体的な策はあるのか?」
『ありますが時間が惜しいので説明は後で。とにかく急いで下さい。状況に変化があれば逐次ご報告します』
それを最後にフィロの通信は打ち切られた。
「最悪だ」
そう吐き捨てたアレフが振り返ると、そこには真剣な表情のディーファが立っていた。
彼女なりに緊急事態を察しているようだった。
「アレフ、何があった?説明しろ」
「走りながら話す、急ぐぞ」
アレフは問い掛けるディーファの手を取ると、そのまま走り出した。
「おっ、おい?」
戸惑うディーファだが、アレフは構わなかった。
「マリニア様に会う。とにかく時間が勝負だ」
「分かった!行くぞ!」
彼等は同時に魔法術式で肉体強化をすると、凄まじい速さで駆け出したのだった。
それが終わりと始まりだった。
一つの都市が滅び、それが連鎖し広がり、やがて星が最後の日を迎える。
破局が始まりを彼等はまだ知らない・・・
日常回はこれで終わりになり、幕下の話を一回挟んだ後、次から戦いの章となります。
次は23日の更新予定です。
最近アクセス数が少なくてテンションがた落ちで書く気が・・・辛いっす。
どうか他の方にもお勧めしてください・・・心折れそうです。




