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白き星に祈りを込めて  作者: ななしとせ
幕間3
21/76

第18話 ある王の願い

 獣王レグルス


 その名をおとぎ話で知った。

 誰よりも強く、誰よりも優しい

 最も偉大なる獣の王だ。


 俺はそんな王に憧れた。だから俺もレグルスと名乗った。

 あいつの様な男になってやる!

 仲間を守る王になってやる!

 レグルスの名に誓った。


 しかしよう、獣人ってのは兵器だ。

 魔力不足でガラクタになった大型魔導兵器の代わり

 簡単に作って壊せる、使い捨ての道具だ。


 物心つく頃には戦っていた。

 クレイ連邦だと、気色の悪い魔導合成生物兵器が相手だ。

 この爪で引き裂いてぶっ壊した。

 この牙で噛みちぎってぶっ殺した。


 それでささやかなご褒美がもらえた。

 暖かい飯と、そして寝床

 たったそれだけのちっぽけな幸せ

 それが俺達の全てだった。


 だがな・・・

 ある日、俺達はそんな幸せも失っちまった。


 魔力強化体

 あいつらが俺達の全てを奪った。


 ある日、悪魔に出会った。

 悪魔の名はファティア

 魔力強化体第一世代の化け物女だ。

 あいつが右手を軽く振ると、200を超える仲間が消し飛んだ。

 俺の目の前で戦友達が一瞬で灰になった。

 俺は逃げた。獣王が逃げ出たんだ。


 その日から俺達は負け続けた。

 一度も勝てなかった・・・


 あいつらは全員化け物だ。

 一番弱い第三世代とやらでも、一流の熟練魔導師と兵士の力を持った化け物だ。


 第二世代は悪夢そのものだ。

 力も魔法も桁外れ、伝説の魔導師と戦士を併せた化け物だ。


 第一世代は思い出したくもない。

 なんだあれは!ふざけるな!

 化け物が!悪魔が!クソったれが!

 勝てるわけがないだろうが!


 ・・・頼むから、もう許してくれよ。

 俺達は戦うための道具だからさ、

 使えなければ存在する意味がない。

 まあ当たり前だ、そんなものはただのガラクタだからな。


 だからよ、

 人間が俺達を見限ったのは、まあ当然なんだろうな・・・


 なあ・・・知ってるか?

 いらなくなった物を処分する時、人間は一体どんな目で見るのかをさ?

 冷酷か?

 軽蔑か?

 それとも呆れか?

 あははは・・・違えよ・・

 答えは無関心だ。


 あの時・・・

 管理官が俺の処分を伝えた時、

 あいつの目には、俺の姿は写ってなかった。

 あったのは、新しい兵器への興味だけだった。

 俺達は、使えない大型魔道兵器と同じだ。

 もう、ガラクタになっちまったのさ・・・・


 だがそんなガラクタにも、人間は最後の望みとやらをくれやがった。


 ウエネス都市長マリニアを殺せ、

 そうすれば、処分を中止するかもしれない。


 だとさ・・・

 あそこは魔力強化体が生まれた場所

 あいつらの巣窟だ。

 それを承知で、あいつらは無茶を言いやがった。

 しかもよ、もし成功しても大丈夫だって保証はなしだ。


 つまりはよ・・・

 都合の良いガラクタ処分だ。

 俺達を全員を突撃させて、あいつらに処分させる。

 負けて当然、多少でも損害を与えられれば儲けもの、ってな。


 あいつらには勝てない。

 間違いなく俺達全員は殺される。

 誰も生き残らないだろう・・・


 クソッたれが!

 俺は名はレグルス!

 誰よりも強く、誰よりも優しい!

 最も偉大なる獣王だ!


 守ってやる!

 何が何でも仲間を守ってやる。

 俺は諦めない!

 絶対に仲間を殺させない!

 そう誓ったんだ!


 俺達は人間に逆らえない、降伏さえも許されない。

 残された道は、戦う事だけだ!

 だからよ、俺はやってやったんだ!

 泣きわめく奴を、ぶん殴り立ち上がらせた。

 怒り狂う奴を、地べたに投げつけ従わせた。

 諦めた奴はぶち殺し、臆病者の見せしめにした。

 泣き喚く仲間を何度も何度も・・・何度も殺した。

 殺してやった。

 そうやって、俺は仲間を従えたんだ。


 これが最後だ。

 俺は多くの仲間を殺した。

 仲間は俺を許さないだろう。

 そして俺自身も俺を許せない。

 だからこの戦いで、仲間のために死のう。

 そう決めた。


 仲間を守るために、この命をくれてやろう。

 そして、絶対に仲間を助けてやる!


 俺の名はレグルスだから!

 獣王レグルスだから!








 ・・・・・・・なあ


 誰か俺の叫びを聞いてくれ・・・

 俺の全てをくれてやる、だから!

 もし叶うのなら・・・

 誰か一人だけでも助けてくれ・・・


 それが俺のたった一つの願いだ。


 ・・・頼む

次は12月14日の更新予定です。

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