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3,隣国に行ってきました

 ある春の日、セアリスは隣国のアレーンス王国を訪れていた。この旅行は父がセアリスがいい子になったからと計画したものだった。ミレー家はかなりのお金持ちだから、のんきに旅行できるらしい。そんな、旅行なんてしなくてもいいのになどとセアリスは思っていたが。そんな金があるなら私にくれ、とでも言いたい。それはそうなのだが、いや、本当そうなのだ。なぜなら…ここ、アーレンス王国は非常に素晴らしいところだったから。街には白い壁の赤い屋根の家屋が建ち並んでいた。どの家もこぢんまりとしていてとても可愛らしかった。家の周りには小さな木がはえている。そしてその前には澄んだ美しい小川が流れていて…家が反射して映っていてとても幻想的な景色だった。まるでヨーロッパの街のよう。本当に美しくてなんていいところなの!私はそう感動すると同時に落胆していた。私の国よりぜんぜんいいじゃない!この国に生まれたかった、と。  

いいところは景色だけではない。料理も非常に美味しかった。とにかく私の口にとても合っていた。 

こんなん、もう国外追放されるしかない。そしてここにくるんだ! 


そう、この国、アーレンス王国は悪役令嬢セアリス•ミレーが国外追放されておくられる予定の国だった。 


まさか追放される予定の国がこんないいところだっただなんて。これは国外追放を避けるべきではなく、全力で目指すべきね。まあ、追放はされるはずだから。まずはここに来た後のことを考えよう!  



 アーレンス王国に行くためにやるべきこと 

1,ヒロインとエドワード殿下をくっつけ、婚約破棄してもらう。(できれば学園に入る前に婚約破棄できるといいが。)

2,国外追放された後に厳しい仕打ちを受けない程度に周りに嫌われる。そして、アーレンス王国へ!

3,追放された後に人並みに暮らしていくために金を貯める。 

4,アーレンス語を話せるようになる。   


これらのことをとりあえずやっていくことになった。ただ、よく考えると難しいことばかりだ。例えば1と2を同時にやる方法が思いつかない。自分的には人の恋の手助けをしたらそれなりに感謝されると思っている。人は恋のこととなるといろいろ変わるから。だから、嫌われるというのは…

てかヒロインと攻略対象の恋を応援するなんてもはや悪役令嬢ではなくない?悪役令嬢ではなくて善人令嬢ではないか!嫌われている善人令嬢…これは大変な道になりそうだ。 

そして4つめのアーレンス語については今からでも勉強できる。ていうか今から勉強するべきだ。これは難しそうに見えて1番簡単かもしれない。よし、がんばるぞ。国外追放されるときにはネイティブなみに話せるようになるんだ!   


ただ、私はこの国に来たときからなんとなく分かっていたが…日がたつにつれて確信した。 

アーレンス語、英語やないかーい! 



 私は今日も屋敷で勉強をしていた。勉強机の前には大きな窓があってそこからは屋敷の庭が見渡せる。それも静かな花園を。植え付けられている木々は瑞々しい青々とした葉をつけはじめている。鳥のさえずりがきこえた。2羽で木の上にとまっている。とても可愛い。今は気温も少しづつ上がり、初夏の気配が感じられるようなってきた。 

勉強しているのはもちろんアーレンス語、いや英語だ。なんか、異世界で映画を勉強するだなんてとても変な気分だった。英語なら楽勝!と思うかもしれないが、私は残念ながら英語は中学生レベルだからとてもペラペラとはいえない。英語圏で生活するなんて夢のまた夢だ。もう少し勉強しておくんだったと後悔している。   


そんな感じで私ががんばって勉強しているところで、エドワード殿下(邪魔者)がやってきた。この人はなぜか最近は2週間に1回くらいはうちに来るようになった。

「あなた、いつも勉強していますね。さすがに僕が来るときとかぶりすぎではないですか?わざとその時だけ勉強しているとかではないでしょうね。」 

ぎくっ、痛いところつかれた私は一瞬かたまった。「いえいえ、そんなことはありませんよ。勉強は習慣化が大切なのです。たまたま殿下がいらっしゃるこの時間が勉強時間なだけですわ。あはは…」 

なんとかそれっぽいことを言えた。これで納得してくれたはず。即興で考えたにしてはよい理由だったと思う。  

そう、全てではないが彼の言っていることはおおむね合っている。殿下は来る時間がだいたい同じだったから私はその時間は勉強するようにしていた。そうしたら勉強の邪魔にならないようにと、エドワード殿下はいつもは帰ってくれるから。しかし、今日は、 

「勉強はやめられないのですね。ならば今日は傍で見ていることにします。よろしいですか?」

「はい?」 

「あ、いまはいと言いましたね。」

「いやいやいや、今のは肯定のはいではなくて意味が分からず聞き返したのです。」

「もしかして、僕に帰ろと言っているのですが?」

「な、なぜ…いえ、そんなことは微塵も思っていません!」  

私は胸をはって言い切った。

あぶない。なんで分かったのか、と聞きそうだったよ。もちろん私としては帰って欲しいから。   

「ならここにいさせてもらいます。」

 あれ?結局帰ってくれないことになってるんですけど。おかしいな…



カリカリ、私はペンをひたすらはしらせていた。その音だけが響く。後ろでは殿下が静かに見ていた。そんな、人の勉強している様子を見て何が楽しいのか、私には全く理解できない。 

というか、ものすごく気まずい! 

本当は今日は英語の音読練習をする予定だった。ただ、人前でやるなんて…できるわけないじゃない。結局私は単語練習をしていた。これをずっと続けている。正直、やめたかった。だって勉強なんて嫌いだもん。私は国外追放に備えて仕方なくやっているだけで。そう思っていたが結局言い出せず…

結局、40分くらいたったころに、殿下は帰って行った。 

「ものすごく、勉強をがんばっているのですね。僕もがんばらないと。」 

はん、心の中ではお前に負けるはずはないけど機嫌取りのために言っておくか、とでも思っているのだろう。私は絶対に騙されないぞ…セアリスはそう勝手に想像して騙されていないことでエドワードに勝ったと思っていた。 

セアリスの中ではエドワードは性格が悪い人に勝手に変換されるのだった。悪役令嬢(?)の謎の想像力は今日もしっかりと働いていた。




 






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