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火花  作者: ミズノ
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9

『京介はどうした』

 電話の声は京介の兄貴のものだった。小さなスピーカーの中から僕らに問いかけてくる。

「大人たちに追われて走って行ったよ。僕とヤスに携帯電話だけ残していった」

 電話の向こうで沈黙が流れる。

『悪い、お前らがうちにいないのバレた』

「え」

『父親が帰ってきたんだ。おかげで俺は目茶苦茶怒られてるよ、大学生にもなってさ』

 電話の向こうから怒鳴り声らしい音声も聞こえてくる。

『そういうわけで、じゃあ』

 京介の声色からは、むしろ面白がっているような様子が伝わってくる。

『その携帯に開花の様子を収めて、京介の無念を晴らしてくれ」

 そう言って電話は切れた。ちなみに、京介の兄貴は謝罪の言葉を一切口にしなかった。

「なんなんだよーもう」

 ヤスは途方に暮れたように、情けない声でそう言った。

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