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右腕に焼けるような痛みを感じて目を覚ました。チリン、と涼しげな音と一緒にさわやかな風を頬に感じた。外はもう明るい。巨大な入道雲が、青空の真中にそびえたっている。確かに、あの中にお城が隠されていると想像するのは納得できる話だと思った。僕は、庭面した畳部屋に寝かされていた。ここは確か、祖母が寝たきりになっていたときに、希望してここにいたいといった場所と同じだった。
ベッドのかたわらにはヤスと京介がいた。心配そうな様子で僕の顔を覗き込んでいる。
「弘、悪かった。火花を見に行こうなんて言って」
ヤスは本当にすまなさそうな顔をする。僕は取り合わなかった。
「ヤスの弟に会ったぞ」
ヤスは目を丸くする。
「いや、あいつは」
「会ったんだ。とにかく」
その隣で京介が明らかに不審な様子を見せた。
「ちょっと待ってろ、お前の母さんと医者を呼んでくるから」
ヤスも京介も、僕がおかしくなったと思っているようだ。あの一件から、もう何日も経っているような気がした。
その後、僕ら三人は大人たちからこっぴどく怒られた。僕と、ヤスと、京介の両親から計三回。けれどもヤスの両親からの話は短くて済んだ。なぜなら、僕が弟の話をしたときに、二人の両親が泣きだしてしまったからだ。それを機に、僕らはその場を抜け出すことができた。ヤスもちょっと涙ぐんでいたけれど、僕も京介もそれを見なかったことにしようと約束した。
京介の兄貴は、なんやかやと大人たちを説得して、すべての責任を僕らにおしつけていた。また、京介の携帯電話は、あのどたばたの間に火花の群れの中に落下し、無限に続く閃光に焼きつくされて使い物にならなくなっていた。
僕らの夏の冒険は結局、僕の右腕にひどい火傷あとだけを残しただけで終わった。僕は、もう火花のそばには近寄るまいと心から思った。




