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煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


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第九話 魔法薬の実験

治療が終わってから、四日が経った。


幸いなことに、子供たちの病気がぶり返すこともなかった。


村もすっかり落ち着きを取り戻している。


そして、この四日間。


俺の生活にも、少し変化があった。


「ケンジさん、どうぞ」


「ありがとうございます」


食事の時間になると、村の人たちが肉や野菜を持ってきてくれるようになったのだ。


おかげで、毎日の食事が少しずつ豪華になっている。


「……うまい」


肉を口に運ぶ。


「うん。やっぱり肉はいいな」


パンとスープだけだった頃と比べると、かなり満足度が違う。


俺がそんなことを考えていると、神父さんが言った。


「スープとパンだけでは飽きてしまいますよね」


「……」


俺は神父さんを見る。


「……神父さん、根に持ってたのね」


「何のことでしょう?」


「いや、なんでもないです」


神父さんは何食わぬ顔で食事を続けている。


……絶対、覚えてる。


まあ、食事が豪華になったんだから文句はない。


俺はありがたく肉をいただいた。


そして――。


食事以外にも、ここ数日の間に俺が続けていることがある。


それは、魔法薬の観察だった。


俺は教会の庭にしゃがみ込んでいた。


「……」


目の前には、いくつかの植物が植えられている。


俺は小さな容器を取り出した。


中には、俺が作った魔法薬が入っている。


この魔法薬を、四日前から少しずつ植物にかけている。


きっかけは単純だった。


人間の病気を治せる。


だったら――。


「聖女的なアレなんだから、植物にも効くはずだよな」


……理屈はよく分からない。


植物について詳しいわけでもない。


ただ、なんとなくそう思ったのだ。


最初の日は、ほとんど変化がなかった。


二日目。


少しだけ葉が大きくなった気がした。


三日目。


明らかに茎が伸びていた。


そして――。


四日目。


「……」


俺は庭を見渡した。


「……すごいことになってるな」


四日前とは、明らかに違う。


葉は大きくなっている。


茎も伸びている。


そして何より――。


朝顔のような花が、見事に満開になっていた。


「…………」


俺はしばらく黙って花を眺めた。


「……いや、こんなに咲く?」


さすがにおかしい。


俺は植物を育てようとしていたわけじゃない。


ただ、魔法薬を少しかけていただけだ。


それなのに――。


「……めちゃくちゃ効いてるじゃん」


そこへ、神父さんが庭にやってきた。


「ケンジさん?」


「神父さん」


神父さんは俺の横に立ち、庭を見渡す。


そして――。


「…………」


絶句した。


「…………」


俺も何も言わない。


神父さんは、しばらくの間、満開になった花を見つめていた。


やがて。


「……ケンジさん」


「はい」


「……何をしたんです?」


「魔法薬を、かけてみたのですが」


「…………」


神父さんが固まった。


「……魔法薬を?」


「はい」


「…………」


「少しだけですけど」


神父さんは、もう一度庭を見る。


「……あの高価な魔法薬を?」


「はい」


「…………」


また絶句した。


俺は少し気まずくなって、花を見る。


神父さんは、しばらくしてから静かに口を開いた。


「この花は、夏前に咲くものですよ」


「……夏前?」


「ええ」


神父さんは花を見つめたまま続ける。


「今からですと……八ヶ月ほど先になります」


「…………」


俺は黙って花を見る。


満開だ。


どう見ても、満開だ。


「…………」


そして、俺は思った。


やっぱり――。


「俺の治癒魔法、チートだったー!!」

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