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煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


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第八話 治療完了……だと?!

「……いや」


俺は鼻を押さえながら、天井を見上げた。


「作れるけど……」


「出し方がこれって、どういうことだよ!!」


もちろん、返事はない。


俺はしばらく鼻を押さえていたが、仕方なく部屋を出た。


このまま一人で考えていても、何も分からない。


だったら、詳しそうな人に聞いてみるしかない。


教会に戻ると、神父がいた。


「あの、神父さん」


「はい。どうしました?」


「これなんですけど……」


俺は鼻から出てきた青みがかった液体を見せた。


「魔法薬だと思うんですが」


神父は液体を確認する。


しばらく眺めたあと、頷いた。


「……はい。間違いなく魔法薬です」


「やっぱり」


俺はホッとした。


「これで、子供たちの病気を治せますか?」


神父の表情が変わった。


「もちろんです」


「本当ですか?」


「はい」


神父は力強く頷いた。


「治癒魔法は子供には使えませんが、魔法薬なら問題ありません」


「そうなんですね」


「これなら……子供たちを治してあげられます」


神父は本当に嬉しそうだった。


「それなら、人数分作りますよ」


「よろしいのですか?」


「はい」


神父は少し考えてから口を開いた。


「ただ……」


「はい?」


「魔法薬は、とても高価なものです」


「高い?」


「ええ」


神父は少し申し訳なさそうに続けた。


「今回必要なのは十人分ほどになりますが……」


「はい」


「十人分の魔法薬となると、通常なら二千万ギザほどになるでしょう」


「…………」


俺は固まった。


「に、二千万……?」


「はい」


「ギザで?」


「はい」


「…………」


二千万。


数字だけなら分かる。


分かるが――。


「……高っ」


思わず口から出た。


ついこの前、村の人たちからもらった治療費が百万円……じゃなくて、百万ギザ。


それでも多すぎると思って、十万ギザだけ受け取った。


それが、魔法薬十人分で二千万ギザ。


「そんなにするんですか……」


「魔法薬は非常に貴重ですから」


「なるほど……」


俺は少し考えた。


だが。


「でも、子供たちが治るんですよね?」


「はい」


「じゃあ、使っちゃってください」


「……よろしいのですか?」


「はい」


俺は頷いた。


「せっかく作れるんですから」


神父はしばらく俺を見つめていた。


「……ありがとうございます」


「いえいえ」


俺としては、それくらいの感覚だった。


自分の鼻から出てくるものだし。


……まあ、二千万ギザと聞いたときは、ちょっとビビったけど。


「では、容器を用意します」


神父は教会の奥へ向かい、必要な数の容器を持ってきた。


「これで足りますか?」


「はい。大丈夫です」


俺は容器を受け取った。


「あの……」


「はい?」


「作っているところは、見ないでもらえますか?」


神父は少し不思議そうな顔をした。


「……分かりました」


「お願いします」


俺は容器を持って、自分の部屋へ戻った。


ドアを閉める。


「……よし」


誰もいないことを確認する。


俺は鼻を押さえた。


「魔法薬……」


念じる。


ぽたっ。


「……出た」


青い液体が鼻から垂れてくる。


俺は慌てて容器を近づける。


ぽたっ。


ぽたっ。


「…………」


俺は無言で作業を続けた。


「……なんで鼻なんだよ」


しばらくして、すべての容器がいっぱいになった。


「……できた」


俺は容器を並べる。


「よし」


俺はそれを神父のところへ持っていった。


「できました」


「ありがとうございます!」


神父は魔法薬を受け取ると、すぐに子供たちのところへ向かった。


俺は教会で待っていた。


しばらくすると、神父が戻ってきた。


「ケンジさん」


「はい?」


神父は満面の笑みだった。


「全員、治りました」


「……え?」


「子供たちです。みんな元気になりました」


「本当に?」


「はい」


神父は何度も頷いた。


「これで、村の子供たちを救うことができます」


「……そうですか」


俺も笑顔になる。


子供たちが元気になった。


それは本当に嬉しい。


……ただ。


「これで村の治療は、すべて終わりました」


「…………」


俺は一瞬、固まった。


「……全員?」


「はい」


「村の患者、もう全員ですか?」


「ええ。これで、今いる患者さんはすべて治療できました」


「…………」


(え?)


(じゃあ……)


(もう患者、いないの?)


(若い女性の患者も……?)


俺は神父を見る。


神父は嬉しそうに笑っている。


「本当にありがとうございました」


「いえ……」


俺も笑顔を返す。


(……終わった)


村のみんなが元気になった。


本当に良かった。


……良かったんだけど。


(もうちょっと、治療したかったな……)


そんなことを考えていると、神父が続けた。


「ただ、ひとつお願いがあります」


「はい?」


「今回、子供たちに魔法薬を使ったのは初めてです」


「はい」


「ですから、しばらく経過を見たいと思っています」


「経過観察ですか?」


「はい。数日は様子を見たほうがいいでしょう」


なるほど。


「それで、ケンジさんにも、もうしばらくこの村にいていただけると助かるのですが……」


「いいですよ」


俺は即答した。


「本当ですか?」


「もちろんです」


(……よし)


まだ、この村にいていいらしい。


もしかしたら、また誰か具合が悪くなるかもしれない。


「では、よろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


神父が頭を下げる。


俺も頭を下げた。


……うん。


もう少し、この村にいることになった。


それはそれで、悪くない。


……別に、患者を期待しているわけじゃないけど。

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