第五十八話 作戦会議
「作戦は――」
俺は胸を張って言った。
「治った瞬間からしばらく盛れ期入って無双できるとかマジ神~☆です」
「……何だ、それは?」
王様が眉をひそめる。
「怪我を治した直後って、しばらく身体の調子が良くなるんですよ。だいたい一時間くらい」
「ほう」
「だから、各騎士団の団長と副団長には、先に怪我をしておいてもらいます」
「先に?」
宰相が聞き返す。
「はい。敵が来る前に治しちゃったら、一時間で切れちゃいますから」
「なるほど」
「敵が来たら僕が治す。治ったら、そのまま騎士団を率いて戦場へ」
「四騎士団の団長と副団長を、か」
「はい」
「戦場で怪我をした兵士は?」
「どんどん戻してもらいます。僕が治して、また戦場に戻ってもらいます」
ミルコ神父が頷いた。
「それなら、負傷者を戦力として再利用できるわけですね」
「そういうことです」
「四騎士団で当たれば、何とかなるかと」
王様が宰相を見る。
「どう思う?」
「十分、試す価値はあるかと」
「では、それでいこう」
あっさり決まった。
「ただ、治療するタイミングは戦場にいるブラッド団長に任せましょう」
「そうだな」
俺も頷いた。
戦場のことは、俺よりブラッド団長のほうがずっと詳しい。
敵が来たタイミングを見て、治療の指示を出してもらえばいい。
「しかし……」
宰相が少し考えてから口を開いた。
「多少強くなる程度で、本当に魔獣を壊滅させられるでしょうか?」
「うーん……」
俺は少し考えた。
「そういえば、元S級冒険者のカストロさんがドラゴンをスライムみたいに斬ってましたよ」
「……ドラゴンを?」
「はい。僕が治した後ですけど」
三人が固まった。
「……あのドラゴン討伐も、お前か?」
「いましたよ?」
「…………」
「カストロさんが凄かったんですよ」
ミルコ神父が苦笑する。
「それを基準にするのも、どうかと思いますが……」
「まあ、そうですね」
そんな話をしていると、魔獣の進行について確認が始まった。
「具体的に、どれくらいしたら魔獣が進行してくるか分かりますか?」
資料を確認していく。
現在の位置。
これまでの進行速度。
王都までの距離。
そして――
「おそらく三日後には、王都の北に敵が来ると思われます」
「三日後か」
王様が頷く。
「ならば明日、北へ向かえ」
「はい」
こうして、俺とロイドさん、スカーレットさんは、明日、北の戦場へ向かうことになった。
会議が終わると、ロイドさんは、
「私は少しやることがあります」
そう言って研究室へ向かっていった。
俺は部屋に戻る。
すると、そこにはスカーレットさんがいた。
「私は明日出発ですから、今日は王宮に泊まります」
「そうなんですね」
明日には出発。
それなら、今日はゆっくり休んだほうがいいだろう。
……ん?
王宮に泊まる。
ということは?
俺とスカーレットさんが、この部屋に二人。
もしかして――
添い寝イベントとか、ないかな。
いや、ないよな。
あるわけない。
そんな都合のいいイベントが、そう簡単に起きるはずがない。
「……」
スカーレットさんを見る。
「……何か?」
「いえ、何でもありません」
ですよね。
もちろん、何もありませんでした。
「では」
スカーレットさんが部屋を出ようとする。
「心配しないでください。多分、大丈夫ですから」
「はい」
「それでは、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
スカーレットさんを見送る。
さて。
俺も明日の準備をしないとな。
「……俺も魔法薬、たくさん作ろう」
明日に備えて、俺にできることをしておこう。




