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煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


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第四十五話 初めての魔力薬調合

「まずは、この二種類の薬草を使います」


リンダさんが、二つの薬草を見せてくれた。


「こちらがルーラル草。そして、こちらがモール草です」


「これを使うんですね」


「はい」


二種類の薬草を、鍋の中へ入れる。


そこへ――


「教会で清めてもらった聖水を入れます」


「聖水……」


俺は思わず反応した。


聖水。


……聖水があるなら、聖女がいてもいいんじゃないか?


いや、いるだろ。


こういう世界なんだから。


……たぶん、美人だよなぁ。


「ケンジさん?」


「あ、はい!」


危ない。


また考え事をしていた。


「では、これを煮込んでいきます」


鍋に火を入れる。


しばらくすると、薬草の香りが研究室に広がってきた。


「ここから魔力を込めながら混ぜます」


シルさんが説明する。


「魔力を込めると、色が変わっていきます」


「へえ」


ミルさんが鍋を混ぜる。


ゆっくりと魔力を込めていく。


すると、液体の色が少しずつ変わっていった。


「赤くなってきましたね」


「はい」


さらに混ぜる。


そして――


「赤になりました」


「成功です」


「これが初級の魔法薬です」


「おお……」


俺は素直に感心した。


これが魔法薬。


こうやって作るのか。


続いて、リンダさん。


リンクさん。


二人も同じように作っていく。


そして、どちらも成功。


「できました!」


「成功ですね」


みんな、普通に作れている。


すごいな。


そして――


「次はケンジさんですね」


「はい」


ついに俺の番が来た。


俺は鍋の前に立つ。


「同じように、魔力を込めながら混ぜてください」


「分かりました」


俺は鍋を混ぜる。


そして、魔力を流していく。


ゆっくり。


少しずつ。


「……」


「……」


すると――


「……ん?」


鼻のあたりに、何か違和感があった。


「……?」


次の瞬間。


鼻から――


青い液体が出た。


「え?」


俺自身が一番驚いた。


「……っ」


慌てて息を吸う。


すると――


ゴボッ!!


「ぶくぶくぶく……!」


まただ!!


また溺れた!!


俺は慌てて顔を上げる。


「ぷはっ!」


口から青い液体が出てきた。


「……」


「……」


「……」


研究室が静まり返る。


俺は鍋を見る。


赤くなるはずだった液体は、普通の色のままだった。


「……失敗ですね」


リンダさんが言った。


「……はい」


俺は素直に答えた。


周囲から視線を感じる。


なんというか――


すごく冷たい。


「……」


「……」


完全に、


「なんで魔法薬を作ってる途中で溺れるの?」


という目だ。


……恥ずかしい。


俺は俯いた。


「すみません……」


誰も何も言わない。


……。


俺、魔法薬作るの向いてないのかな。


そのとき。


ロイド室長が、俺の口から出た青い液体を見ていた。


「……」


ほんの一瞬。


ロイド室長の目が変わった。


だが、誰も気づかない。


ロイド室長は何気ない動作でスポイトを手に取る。


そして、みんなが鍋や俺の失敗に気を取られている間に――


青い液体を少しだけ吸い取った。


「……」


スポイトを手にしたまま、何事もなかったように戻る。


誰も気づいていない。


みんなは、ただ俺が途中でむせて魔法薬作りに失敗したと思っている。


「今日はここまでにしましょう」


「はい……」


俺は肩を落とした。


みんなは成功。


俺だけ失敗。


しかも途中で溺れた。


……最悪だ。


俺は気まずいまま、その場を離れた。


魔法薬、難しいなぁ。


そんなことを考えながら。


ロイド室長は、手の中のスポイトを見つめていた。

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