第三十八話 魔法研究室初日
王都に戻ってきた俺は、魔法研究室のロイド室長の部屋にいた。
ロイド室長が来るのを待っている。
「……昨日、盛大にお別れして、第一部完みたいになったのに、なんでいるんですか?」
「第一部完が何なのかは分かりませんけど……いてはまずいですか?」
「いや、まずくはないですけど……」
昨日の別れが、ちょっと大げさだっただけだ。
まあ、美人のウィルチさんと会えるのは嬉しいからな。
「まあ、いいか」
「はい」
そんな話をしていると、部屋の扉が開いた。
「待たせたな!」
ロイド室長が入ってきた。
「おはようございます、ロイド室長」
「おはよう。ケンジ君、無事に戻ってきたようだな」
「はい」
ロイド室長は俺たちを見る。
「……ところで、ウィルチはなぜここにいるんだ?」
「ソードたちは王都で用事があるので、別行動になったんです」
「なるほど」
「私は特に予定もなかったので、ケンジさんについてきました」
「暇だったんです」
「おい」
思わず突っ込んでしまう。
「まあ、いいじゃないですか」
ウィルチさんは笑った。
まあ……美人が一人増えるなら、俺としても文句はない。
「それじゃあ、ケンジ君」
「はい」
「君の住む場所だが、王宮内に部屋を用意してある」
「王宮内ですか?」
「ああ。研究室からもそう遠くない。荷物を置いたら、戻ってきてくれ」
「わかりました」
まさか王宮に住むことになるとは思わなかった。
なんだか、とんでもないところに来てしまった気がする。
「そして今日は、君の実力を見せてもらいたい」
「実力、ですか?」
「ああ」
ロイド室長は楽しそうに笑った。
「君がどれほどの魔法を使えるのか、実際に見てみたい」
「なるほど……」
「そこで、今日は軍の訓練施設を借りることにした」
「軍の訓練施設……」
なんだか急に話が大きくなってきたな。
「治癒魔法の研究をするにしても、まずは君自身の魔法について知っておきたい」
「わかりました」
「では、荷物を置いたらすぐに向かおう」
「はい」
「本当ですか?」
ウィルチさんの声が弾んだ。
「ケンジさんの魔法が見られるんですね!」
「ああ。そういうことになるな」
「楽しみです!」
ウィルチさんの目が輝いている。
どうやら、本当に俺の魔法に興味があるらしい。
そんなに期待されると、ちょっと緊張するな。
……まあ。
俺としても嬉しい。
何しろ、美人のウィルチさんと一緒にいられるんだから。
俺も密かにウキウキしていた。
「じゃあ、さっそく行きましょう!」
「はい!」
なぜか俺たちは、二人とも楽しそうにしていた。




