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煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


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第二十七話 作戦会議

 「……眠い」


 朝。


 俺は目をこすりながら、ギルドへ向かった。


 昨日は少し寝るのが遅くなってしまった。


「ケンジさん、眠そうですね」


 ギルドに着くと、シルヴィアさんが声をかけてきた。


「ええ、ちょっと寝不足で」


「昨日は早く眠らなかったんですか?」


「まあ……ちょっと」


「そうですか」


 シルヴィアさんが心配そうに俺を見る。


「でも、大丈夫ですよ」


「なら、いいんですけど……」


 俺は持ってきた荷物を確認した。


「それより、魔法薬を用意しておきました」


「本当ですか?」


「はい。原液だと強すぎるので、三分の一くらいに薄めています」


「三分の一……」


 シルヴィアさんが少し驚いた顔をする。


「あの後に用意したんですか?」


「はい」


「いつの間に……」


「まあ、ちょっと頑張りました」


 実は、魔法薬そのものはそれほど時間がかかったわけではない。


 作り終わったのは、思っていたより早かった。


 じゃあ、なぜ眠いのか。


 理由は別にある。


 昨日、シルヴィアさんもギルドに泊まっていたのだ。


 同じ建物にシルヴィアさんがいる。


 そう思うと、なんだか落ち着かなかった。


 今頃、シルヴィアさんは何をしているんだろう。


 明日は朝から一緒に魔の森へ行くんだよな。


 そんなことを考えているうちに、なかなか眠れなくなってしまった。


 ……我ながら、何をやっているんだ。


「ケンジさん?」


「はい!」


「どうかしました?」


「いえ、なんでもありません」


 俺は慌てて荷物を持ち直した。


 今日も頑張ろう。


 シルヴィアさんと一緒だし。


 ……ちょっと楽しみだ。


     ◇


 その後、俺たちは準備していた荷物を持って、魔の森の入口へ向かった。


 しばらく歩くと、昨日から準備が進められていたキャンプ地が見えてきた。


 簡易的なテントや小屋がいくつも建てられている。


 すでに何人もの冒険者が集まっていた。


「全員、集まってくれ!」


 カストロさんの声が響く。


 俺とシルヴィアさんも、その場へ向かった。


 そこには、赤い連撃のソード、ブレンダ、ウィルチ、シード。


 そしてギレンさんの姿もあった。


 もちろん、カストロさんもいる。


 ほかにも、今回の調査に参加するC級以上の冒険者たちが集まっていた。


「今回の作戦を説明する」


 カストロさんが周囲を見渡す。


「まず、C級冒険者たちは、この入口付近で待機してもらう」


 冒険者たちが黙って話を聞く。


「魔の森の奥から魔物が流れてきた場合は、ここで倒してくれ。入口まで魔物を通さないことを優先する」


「はい!」


 何人かの冒険者が返事をする。


「そして、赤い連撃とカストロ、ギレンは森の奥へ進む」


 ソードたちが頷く。


「目的は、今回の異変の原因を特定することだ。原因が分かれば、可能な限りその場で排除する」


「了解した」


 ソードが答えた。


 ギレンさんも黙って頷いている。


 やっぱり、かなり大掛かりな調査だ。


 魔物が増えているだけなら、討伐すればいい。


 でも、今回は明らかに様子がおかしい。


 原因が別にあるなら、それをどうにかしない限り、この状況は終わらない。


「ケンジとシルヴィアは、予定通り治療を頼む」


「はい」


「分かりました」


 俺とシルヴィアさんが返事をする。


「ここに治療用の小屋を用意してある。負傷者が出たら、まずそこへ運ぶ。二人で対応してくれ」


「分かりました」


「それから、無理はするな」


 カストロさんが俺を見る。


「何かあれば、治療を優先してくれ」


「はい」


 俺は頷いた。


 そして、準備が整う。


 赤い連撃とギレンさん、カストロさんが森へ向かって歩き始めた。


「気をつけてくださいね」


 俺が声をかける。


「ケンジ、ここは頼んだぞ」


 ギレンさんが振り返った。


「はい!」


 ギレンさんたちは、そのまま魔の森の中へ入っていった。


 俺はその背中を見送る。


 森の奥からは、なんとも言えない嫌な気配がする。


 以前、キラー伯爵家へ向かったときに感じたものと、少し似ている。


 ……一体、何が起きているんだろう。


「ケンジさん」


「はい?」


 隣からシルヴィアさんの声がした。


「じゃあ、治療用の小屋に行きましょう」


「はい!」


 俺はすぐに返事をした。


 シルヴィアさんと二人で、治療用の小屋へ向かう。


 ……なんだろう。


 魔の森では、何か大変なことが起きている。


 魔物も増えている。


 森の奥では、カストロさんたちが原因を探している。


 それなのに――。


 俺は、なんだか妙にウキウキしていた。


 だって、ここからはシルヴィアさんと二人で治療担当だ。


 しかも、治療用の小屋。


 ……なんか、いい響きだ。


 俺は自然と歩く速度を上げてしまう。


「ケンジさん、ちょっと待ってください」


「あ、すみません」


 俺は立ち止まった。


 ……危ない。


 浮かれすぎだ。


 でも――。


 今日一日、シルヴィアさんと一緒に仕事ができる。


 そう思うと、やっぱり嬉しかった。


 俺はニヤニヤしそうになる顔を必死に隠しながら、シルヴィアさんの隣を歩いた。


 ……今日は、いい日になりそうだ。

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