↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/62

第二十五話 魔の森の異変?

 シリル様と街へ出かけてから、一ヶ月ほどが経った。


 その間、俺はいつも通り冒険者ギルドで働いていた。


 受付の仕事を手伝ったり、依頼の整理をしたり。


 時々、冒険者が負った簡単な怪我を治癒魔法で治したり。


 そんな毎日を過ごしているうちに、少しずつ仕事にも慣れてきた。


 特に受付の仕事については、最初から教えてくれていたシルヴィアさんから、


「もう一人で業務を任せても大丈夫ですね」


 と太鼓判を押してもらった。


 思えば、俺がこのギルドに初めて来たとき、ブレンダさんの治療を手伝ってくれたのもシルヴィアさんだった。


 そのときから何かと俺のことを気にかけてくれて、仕事も一つ一つ丁寧に教えてくれた。


 今では、一人で受付業務を任せてもらえるまでになった。


 改めて思う。


 シルヴィアさんは、とても綺麗な人だ。


 ……いや、仕事を一人で任せてもらえるようになったことを喜ぼう。


 そうこうしているうちに、ギルドの入口から見覚えのある四人が入ってきた。


 赤い連撃だ。


 依頼を終えて帰ってきたらしい。


「お疲れさまです」


 俺が声をかけると、ソードたちも軽く手を上げた。


 ただ、いつもと少し様子が違う。


 ソードはそのままギルドマスターの部屋へ向かっていった。


「あれ?」


 俺が見ていると、ブレンダがこちらへ歩いてくる。


「ケンジさん、依頼の報告をお願いします」


「あ、はい」


 ブレンダが俺の席までやってくる。


「ソードは?」


「ギルドマスターに報告です」


「何かあったんですか?」


「ええ。今回の依頼、魔の森の調査だったんですが……少し気になることがありまして」


「気になること?」


「はい」


 ブレンダは依頼書を机の上に置いた。


「魔物の数が、明らかに増えています」


「……魔物が?」


「それだけじゃありません。普段なら魔の森の奥にいるはずの魔物が、かなり浅い場所まで出てきていました」


「それって……」


「まだ断定はできません」


 ブレンダは少し声を落とした。


「ですが、スタンピートの前兆かもしれません」


「スタンピート……」


 その言葉を聞いて、俺は思わず聞き返した。


「それって、魔物が一斉に森から出てくるやつですよね?」


「はい。魔の森のように魔物が多く生息する場所では、時々起こると言われています」


「なるほど……」


 スタンピート。


 この世界に来てから、それなりにいろいろなことを経験してきた。


 でも、そんな大規模な魔物の暴走なんて話は初めて聞いた。


「なので、ソードが詳しい状況をギルドマスターに報告しています」


「なるほど」


 俺は依頼書に目を落とした。


 魔の森の調査。


 今回の依頼は、思っていたよりも大きな意味を持っていたらしい。


「じゃあ、報告書を確認しますね」


「お願いします」


 俺は報告書を確認していく。


 調査した場所。


 確認した魔物。


 魔物の数や種類。


 特に問題はなさそうだ。


 そのとき、ふとブレンダの手が目に入った。


「あれ?」


「どうしました?」


「手、怪我してません?」


 よく見ると、ブレンダの手の甲に小さな傷があった。


「ああ、これですか。ちょっと擦っただけです」


「よかったら、治しましょうか?」


「え?」


「そのくらいなら、すぐ治せますから」


「では……お願いしてもいいですか?」


「もちろんです」


 俺はごく自然な動作でブレンダの手を取った。


 そして、そのまま治癒魔法を使う。


「はい。これで大丈夫です」


「あ、本当だ。もう痛くない」


「よかったです」


 俺は何でもないことのように答えた。


 ……。


 ……。


 やったー。


 ブレンダさんの手をさわれた。


 しかも普通に。


 治療だから。


 これは治療だから仕方ない。


 むしろ治療をしてあげた俺、偉い。


 ……いや、何を考えてるんだ俺は。


「ケンジさん?」


「はい?」


「どうかしました?」


「あ、いえ。何でもありません」


 危ない。


 顔に出ていないよな?


 俺は平静を装いながら、報告書に目を戻した。


 そういえば、一ヶ月前に比べると、治癒魔法を使うことにもかなり慣れてきた気がする。


 簡単な怪我なら、ほとんど何も考えなくても治せる。


 便利な魔法だ。


 ……そして、ブレンダさんの手は柔らかかった。


 いや、だから何を考えてるんだ、俺は。


「報告書の内容は問題ありません」


「ありがとうございます」


 ブレンダは軽く頭を下げる。


「それでは、私はソードたちのところへ戻りますね」


「はい。お疲れさまでした」


 ブレンダがギルドマスターの部屋へ向かっていく。


 俺は報告書に目を戻した。


 魔の森で何が起きているのかは、まだ俺には分からない。


 ただ、ソードがギルドマスターに報告しているくらいだ。


 いつもの依頼とは、少し違うのだろう。


 そんなことを考えながら、ふと顔を上げる。


 シルヴィアさんと目が合った。


 ……やっぱり、シルヴィアさんは綺麗な人だ。


「ケンジ!」


 そのとき、ギルドマスターの部屋からカストロさんの声が響いた。


「はい!」


 俺は慌てて立ち上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。