第十九話 同行依頼?!
Aランクの依頼が掲示されると、該当するランクの冒険者には通知が届く仕組みになっているらしい。
翌日。
ギルドに、ブレンダさんたちのパーティーがやってきた。
昨日の依頼を受けに来たようだ。
「Aランク依頼の件で来ました」
「承知しました。では、こちらへお願いします」
受付嬢さんがそう言って、パーティーをギルドの奥へ案内する。
Aランクの依頼ともなると、依頼内容には貴族が関わっていることもある。
そのため、一般の依頼とは違い、奥の部屋で詳しい説明をすることになっているらしい。
俺は受付で別の仕事をしていた。
ブレンダさんたちが部屋の中へ入っていく。
……やっぱりブレンダさん、綺麗だなぁ。
それに、他の二人も美人だよねー。
いや、仕事中だ。
そんなことを考えていると、
「ケンジさん」
「はい?」
「カストロさんがお呼びです」
「俺ですか?」
「はい。奥の部屋へお願いします」
……なんで俺?
奥の部屋に入ると、カストロさんとブレンダさんたちが待っていた。
改めて見ると、四人のパーティーだった。
女戦士のブレンダさん。
男性剣士のソードさん。
女性魔法使いのウィルチさん。
女性斥候のシードさん。
この四人で組んでいるAランクパーティー。
その名も――
「赤の連撃」
リーダーを務めるのは、男性剣士のソードさん。
ブレンダさんが怪我をしたとき、真っ先に治療を願い出ていたのもソードさんだった。
だから、リーダーがソードさんだということには納得できた。
「ケンジ、来たか」
「はい」
カストロさんが俺を見る。
「今回の依頼のことで来てもらった」
「俺がですか?」
「ああ。率直に聞く。お前、呪いを解けるか?」
「……呪いですか?」
俺は少し考えてから答えた。
「俺が治せるのは、病気と怪我です。呪いというものは、今回初めて聞きましたし……正直、解けるかどうかは分かりません」
「そうだろうな」
カストロさんが頷く。
すると、魔法使いのウィルチさんが身を乗り出してきた。
「でも、治癒魔法って、魔力を使って体を正常な状態に戻す魔法ですよね?」
「はい」
「それなら、呪いの除去と考え方が近い部分はあると思います」
「そうなんですか?」
「もちろん、同じものではありません。私も呪いについて詳しいわけではありませんし、治せるとは言えません」
そう言いながらも、ウィルチさんの目は妙に輝いていた。
「それより……」
「はい?」
「ケンジさんの治癒魔法、ぜひ見てみたいです!」
「……」
「治癒魔法って、普通は教会の方が使うものですから。これほど強力な治癒魔法を使える人が、こんなところにいるなんて……」
ウィルチさんは、どんどん俺との距離を詰めてくる。
「一緒に来てもらえませんか?」
そう言って、俺の手を握った。
さらに顔まで近づけてくる。
「ぜひ、お願いします!」
「……」
俺は真顔を保っていた。
だが、内心は。
(近い)
(顔が近い)
(手、握られてる)
(……そんなに言われては)
「お願いします!」
「はい!」
気づいたら返事をしていた。
しかも、食い気味だった。
「……」
部屋が静かになった。
しまった。
ちょっと早すぎたか?
「……分かりました」
今さら取り繕って、静かに頷く。
「本当ですか!」
「はい」
ウィルチさんが嬉しそうに笑う。
俺も平静を装って頷いた。
もちろん、治癒魔法を見てもらうためだ。
決して、女性に手を握られてお願いされたからではない。
……返事が早かったのも、たまたまだ。
たぶん。




