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煩悩だらけの異世界転移 ~裸が見たいだけなのに聖人扱いされています~  作者: kammy


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第十七話 気づいたら面接?!

「私の気が済みません」


 ブレンダさんが、真っ直ぐ俺を見る。


「助けていただいたのに、何もお返しをしないなんて……」


「いや、本当に気にしなくて大丈夫ですよ」


「ですが……あれほどの怪我を治していただいたんです。普通なら、少なくとも百万ギザはかかります」


「……そうなんですか」


 百万ギザ。


 その金額自体には驚かなかった。


 村にいた頃、マルコ神父から聞いていたからだ。


 普通の治癒魔法でも、一人百万ギザほどかかる。


 俺の治癒魔法が、この世界ではかなり高価なものだということは知っている。


「ですから、何でもします」


「何でも……」


 俺の頭に、いろいろなことが浮かんだ。


 いや。


 落ち着け。


 俺は紳士だ。


「……では、少し聞きたいことがあるんですが」


「はい。何でも聞いてください」


 俺はブレンダさんに、冒険者についていろいろと聞いた。


 冒険者はどんな仕事をするのか。


 どんな依頼が多いのか。


 ランクによって何が変わるのか。


 報酬はどうやって決まるのか。


 魔物を倒した場合、素材はどうするのか。


 そんなことを一通り聞いていった。


 そして最後に、ふと思ったことを聞いた。


「怪我をしたら、どうするんですか?」


「普通は医者に行きます」


「なるほど」


「軽い怪我なら薬で治しますし、魔法薬を使うこともあります。ただ、効果の高いものほど高価です」


「治癒魔法は?」


「教会などで受けられます。ただ、普通の治癒魔法では大きな怪我を完全に治すのは難しいですね。治りを早めたり、痛みを和らげたりする程度のものも多いです」


「なるほど……」


「失った腕を元に戻すとか、今回みたいな怪我を完全に治すなんてことは、普通はできません」


 やっぱり、俺の治癒魔法はかなり特殊らしい。


 そんなことを考えていると――


「何の騒ぎだ?」


 部屋の外から、低い声が聞こえた。


 振り返ると、そこには一人の大柄な男が立っていた。


「カストロ!」


 ギレンさんが声を上げる。


「……ギレン?」


 二人は顔を見合わせた。


「久しぶりだな」


「ああ。まさかここで会うとはな」


 二人は昔からの知り合いらしい。


 話を聞いていると、どうやら冒険者時代に同じパーティーを組んでいたこともあるらしい。


 しばらく昔話をしていたが、カストロさんがギレンさんの腕を見た。


「そういや、お前。腕、どうした?」


「あぁ、いい義手が手に入ってな」


「そうか。ずいぶん自然だな」


「ああ。調子いいぜ」


「そりゃよかった」


 カストロさんは、それ以上は聞かなかった。


 そして、今度は俺を見る。


「それで……こいつがブレンダを治したのか?」


「はい」


 ギレンさんが答える。


「こいつはケンジ。治癒魔法が使える」


「治癒魔法?」


 カストロさんが少し驚いた顔をする。


「はい」


「お前、これからも治癒魔法を使うつもりなのか?」


「はい。治せる人がいるなら、治したいです」


「……そうか」


 カストロさんは少し考えるように腕を組んだ。


「だがな。治癒魔法ってのは、善意だけで使い続けていいものでもない」


「?」


「医者には医者の仕事がある。教会には治癒魔法を使う人間がいる。魔法薬を売る商人だっている」


「はい」


「お前が無料で治療して回れば、本人たちは助かっても、面白くないと思う奴は出てくる」


「……なるほど」


「お前は治癒魔法の価値を知ってるんだろ?」


「はい。村で聞きました」


「だったら話は早い。それだけの価値があるものを、所属もなく、無料で使い続けるのは、善意だけでは済まなくなる」


 カストロさんは少し考えてから言った。


「冒険者ギルドに所属するって手もある」


「……冒険者ですか」


 正直、俺は冒険者になるつもりはなかった。


 魔物と戦いたいわけでもない。


 危険な依頼を受けたいわけでもない。


 俺はもっと、普通に暮らしたい。


「……まあ、冒険者にならなくてもいい」


「え?」


「うちの職員にならないか?」


「職員?」


「ああ。受付や雑用もある。ギルドの職員なら、治癒魔法を使える人間がいても、それほど不自然じゃない」


「……」


「職員が、たまたま治癒魔法も使える。そういうことにしておけばいい」


 なるほど。


 確かに、それなら変な揉め事も少なそうだ。


 それに――


 俺は受付の方を見る。


 受付嬢さんたちが何人か働いている。


 ……みんな可愛い。


 毎日ここに来ることになる。


 仕事で自然に話すこともできる。


 仲良くなれる可能性だってある。


 これは……。


「……お願いします」


 俺は即答した。


 受付嬢さん、みんな可愛い。

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