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 ルイ先生が来てから、ザリア家では、私の後をルイ先生が、その後をエドワードがついて歩く姿が、日常になった。


 毎日、朝食、座学、ダンス、昼食、座学、ダンス……なんだか、休む暇もない。一度、先生にも休む時間が必要では? と聞いたら、余裕ですねとにっこり言われ、震えた。


「なんだか綺麗になったね」


 ティータイムに頻繁に現れるようになったレオノールが、笑顔で話す。

 エドワードは、レオノールが来るたびに呟く甘いセリフに、またかと嫌な顔をしている。


「やつれた、の間違いでは?」


 ルイ先生は、今は影のように静かだが、後でダメ出しの嵐だろう。気を張りながら、答える。


「すっきり引き締まった感じがするよ。ますます近寄りがたい雰囲気の美人さんになったね」


 サラサラとした髪を耳にかけ、笑顔で見つめてきた。……綺麗だなあ。


「レオさまのほうが綺麗です」


 思わず言った。あ、男性に綺麗って変かな?

 僕は、僕は? と、アピールするエドワードの頭を、思わず撫でた。


「ありがとう……そういえば、ロラン殿下とは会ってるの?」


 レオノールは、気にせずお礼を言うと、聞いてきた。


「ロラン殿下とは、来週の夜会で、パートナーになっていただくことになっています。それまでに、もう少しダンスが上手くなっているといいのですが……」


 ルイ先生の鬼の特訓により、体は筋肉痛でぼろぼろだ。下手をすると、ギシギシとロボットダンスを披露する羽目になるかもしれない。


「そうなんだ……うーん……ルーは、大変だよね」


 レオノールは、少し真面目な顔になると言った。


「その辺のフワフワしたお嬢様なら、多少わがままでも、マナーがなってなくても、困った子だなーで済むのに。ルーは、本当に、厳しいくらい、美人だからね。同じことをしたら、傲慢だって印象になっちゃうよね。」


「ルーが、正当に評価されるには、マナーも、ダンスも、全ての所作を美しく、見るもの全てを圧倒する完璧な美しさを表現するしかないんじゃないかな。……ルイ先生も、それがわかっているから厳しいんだろうね」


「そうだ……この後のダンスの練習、よかったら少し相手をしようか。少しは助けになると思うよ」


 レオノールは、そう言うと、突然、立ち上がって紳士の礼をした。


「……お嬢様、私と踊っていただけますか?」


 突然の誘いに、思わず胸がときめいた。いやいや、ときめいてどうする、と自分に言い聞かせるが、顔は構わず赤くなる。


「あの、……はい。」


 おずおずと、手を差し出す。


「よかった。では、行きましょう」


 レオノールは、私の手を取ると、私の顔を見ながら笑顔で歩き出した。


「あの、……あまり見つめないでください。あと、私、ダンス下手ですよ?」


「大丈夫。足を踏んでもいいよ」


 レオノールは、機嫌よく答えた。


「……僕も、いるんですけど」


 エドワードは、ため息をつきながら、2人の後をついていく。

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