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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
ラストウオー
488/526

12-02 ヴァシリーサの初恋

PVが4万を超えました。

いつも読んでくださっている方たちにお礼を申し上げます。

 作戦に関しては、勇者グループの中でもっとも発言力があり、みんなからもその意見がとても尊敬されているモモが“勇者グループのテラ出動”にゴーサインを出したことから、勇者グループは意気軒高となった。


 しかし、テラでの戦争に参加― アルマライト王国側について戦う― することは簡単ではない。


「第一に、長時間、テラには居れないということ。第二にテラでは魔法が使えないということ。第三に勇者王国軍だけでは、とても足りないだろうということね!」


「ウムム...」

「.........」

「.........」

「.........」


みんなだまってしまった。



 たしかにそうなのだ。

ミィテラの世界では魔軍との戦いが起こっているため、時間の流れる速さがテラの時間の流れの速さの3倍ほどになっていた。

 それぞれの世界に流れる時間の速さは、それぞれの世界固有の速さがあるのだが、各世界の時間の流れの速さの違いは、その世界に起こっている事象の濃度によって変わってくる。

 したがって、今、テラの世界でも戦いが行われ、時間が“濃密”になっていることから、たぶん、現在のミィテラの世界とテラの世界の時間の速度は1対1くらいになっているに違いない。


 それに、勇者グループを勇者グループたらしめている能力― レオのフラガラッハの剣、カイオの聖槍ガエ・ボルガ、イザベルのガンデーヴァの弓など、魔軍を恐れさせてきた宝具は、魔素がなければ百パーセント威力を発揮できないという問題もある。

 加えて勇者王国軍はわずか1万5千人にも満たないのだ。たしかに勇者王国軍はテラの世界のどこの国の軍隊も装備してないような近代兵器で装備されている。

機銃、戦車、飛翔弾、飛行機、マソキ‐魔法陣式映像音声送受信器‐などで装備されているが、戦車や飛行機は数量が少なく、自走飛翔弾発射車も200台程度では少なすぎるのだ。



「私もバルキュス司令官やイーデル主席参謀などとよく検討しますが、勇者グループもそれぞれよく考えてください」


モモの言葉で、この日の作戦会議は終わった。



その日は恒例の『金曜日のトンシー大先生宅での夕食会』の日だったが、トンシー大先生の家に出かける前のみんなの集合場所である『暖炉の部屋』にいるときも、トンシー大先生の家に着いてからも、ノーテンキなベンケイやニューフェイスであるセレシアとナユヤ以外は、みんな寡黙になって黙々とご馳走を食べるだけだった。


トンシー大先生は、自分のひ孫であるナユヤーを左に座らせ、人魚姫セレシアを右に座らせて上機嫌だった。レオはセレシアのとなりに座った。


「トンシーおじいちゃん、コレおいしいです!」

「そうか、そうか、ナユヤ!それはな、ビッグナスの木にカウという肉のうまい動物のタネを交配して作ったものだヨ。カウの肉に似た食感と味があるのが特徴だヨ」


「トンシー大先生、このカウの木のステーキというのは?」

「ああ、それはな、セレシアちゃん、ビッグナスの木にカウという肉のうまい動物のタネを交配して作ったものだヨ。カウの肉に似た食感と味があるのが特徴だヨ」


「このタマゴ焼もちょっと違いますね?」

趙青鈴(チョウセイレイ)の娘、玲玲(リンリン)が久しぶりに夕食会に参加している。

彼女はナンバ大学の最終学年で、興国のユウシャコ事業所で研修生として滞在していたのだ。


「ああ、玲玲(リンリン)は初めて食べているのかな? それはセキショク豆と言って、セキショクドリという鳥のタネをビッグナスと交配して作ったものだヨ。セキショクドリの肉に似た食感と味があるのが特徴だヨ」


 トンシー大先生も、レオの新しい奥さんや新しい恋人から、彼が懸命に開発した新種の食料が好評で上機嫌だ。大先生の甥トムもアイミのいとこメリッサと結婚して、去年かわいい子どもが生まれているし、今度はオマゾンでひ孫ナユヤーが見つかったのだ。

 それに大先生の長年の夢であった、“ミィテラの世界から飢餓を失くす”ための交配植物や新種植物や培養肉などの研究も、レオとユウシャコのおかげで世界各地で大規模栽培されており、食糧難を確実に減少しつつある。トンシー大先生は、これほどの幸福はないという大満喫の顔をしている。


「このご馳走、次回にどこかのご来賓をおもてなしするとに、ぜひ、使わせていただきたいですわ!」

元オラシア皇后で現在は勇者王国の儀典長であるヴェロニカ夫人も賛辞を惜しまない。

「本当においしいですわ、トンシー大先生さま!」

ヴェロニカママの横にいるヴァシリーサも料理のおいしさを褒める。


 ヴァシリーサはミハイロ元皇帝とヴェロニカ元皇后の愛娘だ。

元皇帝夫妻の末娘であるヴァシリーサは、今年18歳なったばかりでナンバ大学美術学部1年生だ。

 久しぶりに実家に帰って来て、久しぶりにトンシー大先生の家での夕食会に参加したのだが、ヴァシリーサは色白で翠色の目をもち、姉たちに負けないほどの美貌だ。

 髪の色が姉たちと違ってライトブラウンなのは父親似なのだろう。

彼女の姉たち、アナスターシャとミラーナはすでにレオの王妃となっている。

そして、ヴァシリーサがなんだかまぶしそうに自分をチラッチラッと見ているのにレオは気づいていた。


ほかの者は騙せても、レオの100倍視力はごまかせない。


(ヴァシリーサちゃん、ますます美人になったね!)

(はっ? だ、誰っ?)

(キミが今日、一瞬も目を離さなかった男だよ!)

(レ、レオさま!?)

(これは念話って言うんだよ)

(念話...姉たちから聞いたことがあります...)

(ふうむ...)

(ど、どうかされましたか?)

(いや、ヴァシリーサちゃんのおっぱい、大きくなったなと思って...)

(えっ?!)


思わず胸の大きく開いたタンクトップの前に手をかざして胸を隠す。


「あら、ヴァシリーサ、どうしたの?」

「うん。ちょっと喉に詰まっちゃって... ゴクゴク」

ヴェロニカママをうまくごまかし、はちみつレモン水を飲む。


「トンシー大先生の家の料理は美味しすぎるから、気をつけないと体重増えるわよ?」

「だいじょうぶよ、お母さま。私は若いから代謝が盛んだからそう簡単に太らないわ」

そう言いながら、イスから立ち、お手洗いに向かって歩きながら、ヴァシリーサはちらっと自分の胸を見た。


 たしかにここ数年で胸はかなり大きくなった。

タックトップの胸元からはこんもりとふくらんだ胸が見える。

男を魅了せずにはおれない美貌と胸の大きさだ。



 母親のヴェロニカが今日、トンシー大先生の家での夕食に誘ったとき、

「あなたももう18歳なのですから、いつまでも女子高生みたいな服装をしてないで、こういう席には、ちゃんとしたレディーらしい大人の恰好で行くのですよ」

と言って、新しい服を買うようにお金をくれたのだ。


 すぐに行きつけの『ユウラブ』ブランドのアパレル製品を製造・販売しているユーリンさんのお店に行って服を見てみたが、“どれも母親のヴェロニカが言っている服のイメージとは少し違う”と感じた。

 ユーリンさんに話すと、高級ファッションブランド『オリヴィーユ』のカタログを見せてくれた。


「うちでは『オリヴィーユ』ブランドの品物は置いてないけど、カタログを見て欲しいものがあるんだったら取り寄せてもらうわよ?」

ユーリンさんが見せてくれたカタログの中に、気に入った服を見つけたヴァシリーサは、カタログを借りて持ち帰り、ヴェロニカに見せると彼女からもOKが出た。


 すぐにユーリンさんのお店にもどって注文したいと言うと、届くのに急いでも20日ほどかかると言われた。

「困ったわ... こうなったら、お姉さんたちのでも借りようかしら...」


ユーリンさんのお店で思案顔のヴァシリーサの前に現れたのが、アイを連れてやって来たアウロラだった。

「あら、あなたはたしかヴェロニカさんの娘の...」

「はい。アウロラさん、アイちゃん、こんにちは!ヴァシリーサ です。お久しぶりですね!」

「あなたも今夕の夕食会で着る服を買いに来たの?」


そこで ヴァシリーサは『オリヴィーユ』のカタログで気に入った服を見つけたが、注文してから届くまでに日数がかかりすぎるのであきらめようと考えているということを話した。


「あら、そんなのゲート魔法で取りに行けばいいじゃないの?」

「え? ゲート魔法?」


 そういうわけで、アイちゃんのゲート魔法- この天才少女はママ似でもうこんなスゴイ魔法が使えるのだ― ホランス国の『オリヴィーユ』専門ブティックに行って、お気に入りの服を買ったのだった。


 アウロラの見立てで、カタログを見て気に入ったドレスではなく、Vネックの伸縮性のあるストレッチ生地製で体にぴったりフィットするピンクベージュのタンクトップに下は白のひざ下5センチのスカートを選んだ。そしてタンクトップに合わせる同色のカーディガンも買った。


「ヴァシリーサちゃん、すーごく大人っぽーい!」


「ヴァシリーサさん、ステキ!」


試着室 から出て来た試着室を見てアウローラとアイがおどろきの声をあげた。


 

 ヴァシリーサは元オラシア皇帝ポマロラの五女だ。

3年半ほど前、ポマロラがまだオラシアの皇帝だったとき、宰相のズダーリンが、当時17歳だった姉のミラーナを“妻に欲しい”とポマロラ皇帝に申し出て、ポマロラから拒否されると卑怯にも皇帝の三人の皇女‐アナスターシャとミラーナとヴァシリーサ‐を誘拐して自分のモノ(手慰み)にしようとした。

だが、間一髪でレオたち勇者グループに救い出された。

 オラシアではズダーリンが政権乗っ取りを企んでクーデーターを起こし、皇帝一家にも危険が迫ったため、レオたちは皇帝一家を勇者王国に亡命させ、それ以来、ポマロラ一家は勇者王国に住むようになっていた。


 その後、三女アナスターシャと四女ミラーナはレオと結婚し、王妃となり、長女ヴィクトリアはバルキュス勇者王国軍司令官と結婚し、大公妃となった。次女のエリザベータはベンケイの弟で勇者王国軍主席参謀のイーデルと結婚し公爵夫人となった。

 そして五女のヴァシリーサは、レオを初めて見たときから、彼に“恋をしていた”。

母親のヴェロニカも父親のミハイロもそれはよく知っており、自分の娘たちはすでに二人がレオの妻となっていることから、末娘のヴァシリーサもレオさまが妻に娶ってくれたら... と考えていた。


 自分たち一家をズダーリンの手から救ってくれ、勇者王国で平穏無事に暮らせるようにしてくれたレオ王には、感謝してもしきれないと思っていたのだ。その感謝の一環として、自分たちの娘が“何人であろうと”レオさまに気にいられ、妻にされるならこれに勝る恩返しはないと考えていた。


 ヴァシリーサは18歳になり、美しい娘に成長した。

ヴァシリーサは、ポマロラ夫妻の娘たちの中でもひときわ美しい娘だった。

オラシアで通っていた小学校時代も、伯爵とか男爵とかいう貴族の息子たちが列を作って告白をするくらいだったが、もちろん、皇女であった彼女には護衛を兼ねた厳しい監視役がついていることもあって、告白はすべて無視され、ラブレターはすべて破られていたのだが。


 そして15歳のときに、あのズダーリンによる“皇女誘拐事件”が起こり、レオを初めて見たヴァシリーサ は、彼の澄んだ茶色の目で見つめられて“恋に落ちて”しまったのだった。

なので、レオから念話で“美人になったね!”“おっぱい大きくなったね!”と言われてうれしかった。プリの町までわざわざこの服を買いに行っただけあったというものだ。


(レオさま... 私の胸だけを見ておられるのですか?)

(いや、君の全身を見ているよ...)

(えっ、全身?)

(うん。想像の中で真っ裸になっているヴァシリーサをね!)



 レオは念話でヴァシリーサのイメージを送って来た。

イメージのヴァシリーサは、裸でレオにやさしく抱かれており、レオは彼女の髪をやさしくなでながらキスをしていた。


(!...)


あまりにリアルすぎるイメージに驚くヴァシリーサ。

すると、イメージの中でレオはヴァシリーサの体をこちらに向かせ、その見事な胸をさわっているではないか!?


イメージの中の彼女は恍惚の表情をしている。


(レオさま... 恥ずかしいです...)

(オレはヴァシリーサが好きだよ)

(えっ?)

(思いっきり、その美しいカラダを抱きたい!)


次にレオが送って来たイメージは、ハダカのヴァシリーサが白い手と白い足をレオにからませているイメージだった?

気持ちよさげに首を大きくのけぞらせ、喘いでいる自分の白い胸がなぜか目に焼きついた。


(!!)



 ヴァシリーサは恥ずかしくなり、お手洗いに急いで行った。

化粧ルームで火照った顔を冷たい水で洗うと、トイレにはいった。

パンティを上げ、トイレの水を流しながら、頭の中は先ほどのレオとの念話のことでいっぱいだった。


“私を抱きたい”なんて...”


イメージの中で、レオに手足をからませていた自分を思い出して、ひとりで赤くなった。

そんなことを考えていたので、気がつくと5分くらい水を流していた。


あわてて水を止め、スカートをあらためてドアを開けて出ると、

そこにはなんとレオがいた!


「レ、レオさま?!こ、ここは女子用トイレ...」

「そうだよ。オレが最近リフォームさせたんだ。最近、トンシー大先生の家に来る者がふえたから、食堂を増築して、トイレもリフォームさせたんだよ。オシリ洗いホースの使い勝手はどうだった?よく洗らえたかい?」

「え ええ、よく洗えました。だけど、洗ったあとが困りました...」

「えっ、何が困ったの?まさかホースの先のノズルがオシリに喰いついたとか?」

「やだー、レオさま、そんなことはありません!ただ、水分を拭き取るのにトイレットペーパーをたくさん使ってしまったので...」

「ふうむ... なるほど、そうか。あとで│美雨メイユイに『ナンバ・インテリアデザインズ』の連中に改良を考えるように伝えてもらおう」

「それで、レオさまが女子トイレに来られたのは、女の子にあのホース洗浄機の使用感想を聞くためなのですか?」

「あ、いや、そうじゃないよ。さっき送ったイメージと同じことをするためだよ!」

「ええっ!」


次の瞬間、二人は『タゥルン湖畔』にいた。



挿絵(By みてみん)



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