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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
ラストウオー
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11-23 ゾオルSOS⑤

 ドワーフ軍緊急展開部隊は、同日の午後5時から作戦を実施した。


 首都ゾオルの西部郊外にドコデモゲートでドワーフ国の駐屯地から『雷斧』部隊を移送するにあたっては、最初にリョースアールヴ(光のエルフ)によるドコデモゲートの設置からはじまった。 ゲート魔法のスペシャリスト、フィンラと予知能力のあるドロレス、それに強力な攻撃魔法が使えるセルジとマヌラと設置をする犬族将兵23名からなるドコデモゲート設置班は、小高い丘の上に出現した。

 すぐにマヌラがステルス魔法で全員を隠す。東側の方を双眼鏡で見ていた班長の犬族の少尉がみんなに指示を出す。

「よし、設置場所はこの丘の東の麓、あのあたりがいい。あそこだと最初に『雷斧』部隊の戦車が出現しても魔軍には気づかれない!」

「わかりました、カナーン少尉!」

よく訓練されている兵士たちは、ドコデモゲートの支柱や魔法陣が描かれた幕をロール状に巻いたものを担いで、少尉が示した場所に駆け下りて行く。

犬族だけあって走るのが早く、たちまち指定の場所にたどり着き、支柱を立てる穴を掘り、支柱を立て、地面に杭を打ってロープで三方から引っ張ると、たちまち幅5メートルのドコデモゲートを横一列に5つ組み立ててしまった。


ドコデモゲートを立ててしまった彼らは、すぐにドコデモゲートの警戒態勢に入る。

「少尉、ドコデモゲート設置完了です!」

「よし、軍曹、司令部にマソキで連絡しろ!」

「はっ!」


魔軍の先鋒部隊が土煙を巻き上げてゾオルへと続く街道を進んで来るのが見える。

距離は5千メートルもない。かなりの数の車両だ。大部隊であることは間違いない。


《作戦司令部、作戦司令部、こちらは『虹の橋1班』、応答願います》

《『虹の橋1班』、こちらは作戦司令部。どうぞ!》

《虹の橋を架け終わりました。当方異常なし。羊の群れは現在、4キロほど東から走って来ています!》

《虹の橋を架け終わった旨、了解!羊の群れ東に4キロ了解!ただちに『槌』を届ける。ただちに『槌』を届ける。『槌』が届くまで、その位置を確保すること。以上》

《了解。『槌』が届くまで位置を確保します!》

魔軍が傍聴していることも考えて、通信はすべて暗号で行われた。

『槌』は雷槌部隊のコードネームで、『羊』は魔軍部隊だ。そして『虹の橋』はドコデモゲートを意味する。


ドコデモゲートを設置している場所にまで移動したフィンラが、ゲートを作動させる呪文を唱えはじめる。さすがゲート魔法のスペシャリストだけあって、すぐに5つのドコデモゲートがオープンした。


 ドワーフ国ガラガス郊外にある、緊急展開部隊の駐屯所では、午前2時過ぎだというのに煌々と照明が灯されていた。広大な敷地内には数百台の戦車および車両が轟々とエンジン音を響かせていた。


「ロン司令官、勇者王国の作戦司令部から《『槌』送られたしと》の連絡が入りました!」

ドワーフ国陸軍の司令部にいたロンのもとに通信担当将校から連絡が届けられる。

「よし、『雷槌』部隊、出撃だ!」

「『雷槌』部隊、出動せよ!」

《こちらは『雷槌』部隊、ただいまより出撃します!》

撃てば響くように、それぞれの『雷槌』部隊の部隊長から返事が来る。


《ヤロウども、気を抜くなよー!敵は移送地点から4キロ以内だ。先頭車両から、構わずにぶっ放せ!》

砲塔のハッチを開いて身を乗り出して叫んでいるのは、『雷槌』部隊の部隊長 ドワ・デロリア・アンベルピーネ少将だ。名前が示す通り、女性軍人であり、名前の前に“ドワ”があるのは“勇敢な戦士”にドワーフ国王から与えられる称号だ。ドワーフ軍には女性が多く、戦いにおいても男にはひけは取らない。ヘルメットの下にある頭には、片耳がない。魔軍との戦いで片耳を失ったのだ。

《《《《《《《《《《《《オーウ!》》》》》》》》》》》》》》

部下たちから一斉に雄たけびがあがる。


デロリア少将のDY-5号戦車が、最初にドコデモゲートから飛び出すような勢いで走り出した。

《第一連隊、第二連隊は丘を右に回り込め。第三連隊、第四連隊は丘を左に回り込め。全軍、街道に出た時点で連隊ごとに横隊で前進。そして街道を進んで来る魔軍部隊を発見次第、交戦開始!》

少将から矢継ぎ早に命令が出される。

《《《《了解!》》》》

連隊長たちからの返事がマソキを介して受信される。


土煙を立て、最大速度で轟々とエンジン音をあげながら丘を回ったデロリア少将のDY-5号戦車は、前方から濛々と同じく土埃を上げながら夕暮れの中を迫って来る魔軍部隊を見た。

「砲手、敵までの距離は約3キロだ。2分後には射程距離に入るぞ!」

「はっ!ただいま距離2850メートルです!」


 ゾオル目指して進撃を続ける魔軍部隊。

ドゥルガ・ナーガ(飛行巡洋艦)とラーヴァ(快速飛行戦闘船)の猛攻撃によって、獣人族軍部隊は壊滅状たいにあり、ゾオル守備のために防衛陣を張っていた獣人族軍もズタズタにされていた。

 魔軍の先鋒部隊の指揮官は、“あと30分もすればゾオル市内に突入できる...”と『ヴャガラ』突撃戦車の上部機銃座に立って前方を見ながら考えていた。

午前中の戦いで、ゾオル攻略軍の頼みの綱であったドゥルガ・ナーガ(飛行巡洋艦)とラーヴァ(快速飛行戦闘船)は、そのほとんどが同盟国軍の小さいがとても速度の速い飛行新兵器に撃墜されてしまったのが気になるが、獣人族軍の抵抗はほぼないに等しい。 

街道や草原のいたるところに、破壊された獣人族軍の戦車や車両が炎上しており、獣人族兵士の遺体が転がっている。

 街道は前方に見える小高い丘を迂回している。そこをすぎればゾオルは目と鼻の先だ。

その丘の後ろから突如、戦車が飛び出して来た。

「なんだ、あれは?!」

先鋒部隊の指揮官は思わず声に出した。


麓の幅が200メートルほどある丘の後ろからは、左右に分かれて敵の戦車隊らしい部隊が土煙をあげて続々と出てくる。

《敵だ!戦闘用意!》

指揮官はマデンキ‐魔法式遠隔伝達器‐に向かって怒鳴る。

街道を縦隊になって進んでいた魔軍部隊は、すぐに後列のヴャガラ突撃戦車たちが、街道から出て逆V字型の突撃隊形になる。中央大陸攻略に備えてよく訓練された優秀な魔軍部隊なのだ。

《どこにあれだけの戦車を無傷で隠しておいたのかわからんが、射程距離にはいり次第、一斉射撃で攻撃する!》

《《《《《《《《《《《《《了解!》》》》》》》》》》》》》》

各戦車隊長から応答がある。


 先鋒部隊の指揮官は、敵の戦車が有効射程距離にはいるのを今か、今かと待ちながら、丘の後から続々と数を増しながら、こちらへ向かって来つつある戦車隊を見ていた。

次の瞬間、敵の戦車は停止したと思うとパッ!パッ!パッ!パッ!パッ!っと砲が閃くのが見えた。

“そんなバカな?まだ2千メートルはあるぞ?!”

2秒後、DY-5号戦車の放った100ミリ砲の徹甲弾は、指揮官の乗っているヴャガラ突撃戦車の装甲を貫き、指揮官の身体を二分し、さらに後続の2台の突撃戦車を貫通して行動不能にした。

5秒後に ドーン... ドドドドーン... ドドドドドドドドドーン!

と砲声が響いて来た。 


『雷槌』部隊の戦車隊はV字型に展開しつつ、両側から挟む形で前方から進んで来る魔軍部隊に集中攻撃を浴びせた。たちまち、数百台のヴャガラ突撃戦車が破壊され、火災を起こし炎上しはじめる戦車も続出する。

魔軍の先鋒部隊は進軍を停止し、大混乱に陥った。隊列から離れ、必死になって戦線を離脱しようとする戦車もいるが、そのほとんどが射程の大きいDY-5号戦車の強力な徹甲弾の餌食になる。

大混乱に陥っている魔軍先鋒部隊に接近した『雷槌』部隊は、DY-3号戦車も攻撃に加わって、情け容赦なく魔軍部隊を制圧していく。


 後続の魔軍部隊の指揮官は、先鋒部隊が攻撃を受けて甚大な損害を出していることを知ると、部隊の前進を停め、防衛体制をとるように命令した。

「どういうことだ? 獣人族軍の抵抗は、ドゥルガ・ナーガ(飛行巡洋艦)とラーヴァ(快速飛行戦闘船)の攻撃で取り除かれたのではないのか?」

夕暮れの迫る中で、前方10キロほどで起こっている戦闘‐それは戦闘というものではなく、どうやら一方的に同盟軍から攻撃を受けているようにしか見えない‐の様子を双眼鏡で見ていた。

マデンキ‐魔法式遠隔伝達器‐からも、先鋒部隊の魔軍将兵たちが悲痛な声で、助けを求める声や悲鳴などが聞こえて来るばかりだ。


 その魔軍部隊の上を飛んでいるホワイトドラゴンがいた。

ニムロ少尉の偵察隊第5班だ。魔軍部隊の状況を偵察する任務をあたえられて、ゾオル郊外西部の上空を飛んでいるのだ。もちろん、操縦士のアマリエ兵長がステルス魔法を使っているので、地上の魔軍からはホワイトドラゴンは見えない。

「やあ、ドワーフ軍の緊急展開部隊とやらは、すごい攻撃をしているな!魔軍の先鋒はほぼ全滅だな!」

「そうですね!でも、ニムロ少尉、『雷槌』部隊に後続部隊の状況をおよび位置を報告しませんと...」

「おっと、そうだった。任務、任務と... 」

ニムロ少尉はそう言うと、マソキに向かって連絡をはじめた。

《『雷槌』部隊部隊長、『雷槌』部隊部隊長、こちらはこちらはホワイトドラゴン偵察隊第5班、応答願います》

《おう、偵察隊第5班、こちらはデロリア部隊長だ!》

《魔軍の後続は、先鋒部隊より西方10キロの地点にて防御体制をとっています。敵陣形は、幅 千メートル、縦5千メートル!》

《おう、了解した!20分以内に飛翔弾攻撃を開始するから、そのまま上空で待機してくれ!》

《了解!》


ホワイトドラゴン偵察隊との交信を終えたデロリア少将は、チャンネルを切り替えると、ふたたびマソキに向かって怒鳴った。

《重戦車隊2千メートル前進!中戦車隊、両翼を固めろ!飛翔弾砲隊前へ!》

命令にしたがって、DY-5号戦車が前衛となって進み、DY-3号戦車が両翼を固め、その中をDY-3 H20型自走飛翔弾発射車が進み、破壊され炎上している魔軍先鋒部隊のそばまで接近する。

生き残っている魔軍兵士たちに向けて戦車の機関銃が火を吹き、片っぱしから倒していく。


《部隊停止!》

ギギィー…

ギギギィー…

金属が噛むような音をたてて急停止する戦車たち。


《飛翔弾砲隊前へ。攻撃目標は前方10キロから12キロ、幅500メートルだ。攻撃態勢をとれ!10分後に開始だ!》

150台のDY-3 H20型自走飛翔弾発射車が50台の横隊で3列並ぶ。

《飛翔弾砲隊、攻撃準備完了!》

飛翔弾砲隊の隊長からの連絡がデロリア少将にはいる。

《よし、攻撃開始だ!》

《了解。攻撃開始します!》


「飛翔弾発射!」

飛翔弾砲隊の隊長からの命令が下った。


シュバー!

シュバババババー!

シュババババババババババー!


一台の自走飛翔弾発射車から20発の直径150ミリ、全長2メートル近くの飛翔弾が連続して発射される。150台の自走飛翔弾発射車からは、それぞれ先ほどホワイトドラゴン偵察隊から送られて来た魔軍部隊の座標に合わせて発射角度と方位を決められた飛翔弾が尾部から炎を噴射しながら夕暮れの空に、まるで地上から斜めに走る流星雨のように打ち出されていく。


流星雨は曲線を描き、魔軍部隊の上に降り注いだ。

ズドドドドドーン!

ズドドドドドドドドドーン!

いたるところで爆発が起き、魔軍の戦車が吹き飛び、魔軍兵士の身体が四散する。

魔軍兵士たちは、安全なところに逃げようとするが、平野の真っただ中、なにもない。

ただ、戦車の中で自分の上に飛翔弾が落ちないことを祈るか、戦車の車体の下にもぐりこむだけだが、飛翔弾は爆発と同時に破片を広範囲に飛散させるため、ほとんど逃げ場はない。

あたり一面、たちまち阿鼻叫喚と化した。


《第一連隊、第二連隊は突撃、残った敵を蹴散らせ!第三連隊、第四連隊は待機!》

デロリア少将の命令が下り、部隊の半分が魔軍の先鋒隊の戦車などの残骸を乗り越えて突進し、後続部隊の掃討を開始した。

飛翔弾攻撃をまぬかれたヴャガラ突撃戦車の生き残りを発見次第、撃破していく。

ときたま、生き残りのヴャガラ突撃戦車が撃つが、DY-5号戦車の避弾経始を取り入れた分厚い傾斜装甲は75ミリ砲弾を撥ね返してしまう。


 午後8時過ぎ。

魔軍の先鋒部隊と後続部隊は全滅させられた。

破壊された魔軍の戦車数は800台を超えたが、魔軍将兵の死者数は魔族は死ぬと消滅してしまうので不明であったが、1万名以上が死んだと推定された。



《総司令部、総司令部、こちらは第六軍司令部、応答願います》

《第六軍司令部、こちらは総司令部、どうぞ》

《ゾオルまで20キロを余すところで、圧倒的に強力な敵と遭遇。先鋒部隊と後続部隊は全滅。当方の損失は車両800台、兵員3万以上!》

《強力な敵とは獣人族軍か? 獣人族軍なら、飛行艦隊の攻撃で壊滅状態になったのではないか?》

《確実な情報ではないが、おそらくドワーフ軍と思わる。新型の戦車を多く所有する精強部隊で、当方のヴャガラ突撃戦車は歯が立たない》

《..................》

魔軍総司令部の通信担当員は沈黙してしまった。





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