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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
ラストウオー
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11-20 ゾオルSOS②

「軍団長、あと30分ほどで目的地に到着です」


ゾオル攻略軍の第一陣、魔軍兵士60万と多数の戦車を搭載した飛行船団の旗艦のブリッジにいたゴルゴーン第六軍団長に魔軍将校が知らせる。


「そうか。いよいよだな。ところで、先ほど同盟国軍のホワイトドラゴンの方はどうなった?」

「はっ。『ラーヴァ』(快速飛行戦闘船)が追いかけましたが、姿を消して逃げたようです。」

「逃げたか。まあ、いいか。たった一匹ではどうすることもできまい。

予定通り、ゾオルの西方50キロに到着後、ただちに部隊を降下し、『ヴィヤカラ・マハンナーガ』‐“空飛ぶ巨山”の援護のもと、ゾオルへ向けて進軍開始だ。

部隊を下し終わった船団は、すぐにアンターカ半島の基地へ引き返し、

第二陣の60万を乗せてゾオル南方30キロへ向かう」


「はっ。船団隠蔽の魔術を使っているザパータ(厭忌)の者たちは、3名を残して、

2名は船団とともに行動します」

「うむ。ザパータ(厭忌)の者たちが魔術で作りだした隠蔽用の雲は大いに役立った。

だが、司令部からの情報では、ザパータ(厭忌)の者たちのうち何人かは、

すでにエルフの魔術師たちに倒されたそうだ。攻略部隊の支援のために残る

ザパータ(厭忌)の者たちにも“油断は禁物”と伝えておけ!」

「了解しました!」


魔軍の大船団は徐々に高度を下げ始めた。



 *  *  *



 そのころ、ゾオルの南方にあるラガルでは、獣人族軍がディアボニクスの大群を相手に絶望的な戦いをくり広げていた。

 ラガルの人口は20万ほど。そこに2百万のディアボニクスの大群が押し寄せたのだ。

獣人族国軍司令部は二個師団、5万の兵士をラガル防衛のために送ったのだが、単純計算でも獣人族兵士1人あたり40匹のディアボニクスを相手にしなくてはならないのだ。

2、3匹を銃や機関銃で撃ち落しても、集団で行動するディアボニクスは、すぐに5、6匹で1人の兵士めがけて襲いかかる。


バン、バン、バン

バリバリバリバリ...

ギギーィ!ギャッ、ギャッ!

「ギャ―――!助けてくれ―――!」


バン、バン、バン

ギャッ、ギャッ!

ギギーィ!

「うわーっ!手を食いちぎられた――っ!」

「グワーっ!足を食いちぎられた―――!」


ほぼ一週間、なにも食わないで海を渡って来たディアボニクスたちは、2、3発銃で撃たれようが、空腹を満たしたいという生存本能のために、血まみれになっても獣人族兵士たちに襲いかかるのだ。それだけではない。兵士たちに撃ち落された仲間のディアボニクスさえも数匹で囲み、鋭い嘴で食いちぎり、鋭い爪で肉を引き裂いて貪っている。


 ラガルの市民たちは、みな戸や窓を頑丈に補強したり、しっかりと閉めて、家の中に引きこもって、外で起こっている阿鼻叫喚を身を縮め耳をふさいで聞いている、

 そんな市民の家にも空腹で血眼になったディアボニクスたちは、侵入しようとドアに体当たりをしたり、窓を鋭い爪で引っかいたりしていて、中にはとうとうドアを破られる家まで出始めており、そこでは目をそむけたくなるような悲惨なシーンが起こっていた。


「ナーガラジャ司令官、ラガルの防衛隊司令部から、《至急、援軍を送って欲しい。このままでは防衛隊は全滅だ》と悲痛な緊急連絡が入っています!」

「ジャバリュー参謀長、勇者王国からのエルフ魔術師たちの支援はまだなのかね?」

「はい。先ほどの連絡では、リョースアールヴ(光のエルフ)隊はゾオルに向かっている魔軍との戦いに備えて待機中とのことです」

「では... ラガルには支援は...」

さすがにいつも落ち着いているナーガラジャ司令官も落胆した表情を見せた。


「いえ、なんでも麒人軍団と白龍族を支援に寄こす、と言っています」

「麒人軍団??? な、なんだね、それは?それに白龍族?!」

「白龍族は白龍王の一族と思われますが、 麒人軍団というのは、私もはじめて聞きます」

「それで、何万人くらいの兵力なのかわかりますか?」

「5万の麒人軍団と白龍族が何名参加するかわからないそうです」

「わずか5万と数人の白龍族... これは首都防衛のために用意している部隊をドコデモゲートを使わせてもらって至急派遣するしか...」


悲痛な顔でナーガラジャ司令官が言いかけたとき、通信室から犬族将校が走って来た。

「司令官、参謀長、ラガルの防衛軍司令官から連絡です!《援軍到着す。形勢逆転しつつあり!》です!」

「なに? 5万の援軍が来て形勢が逆転しつつあると?」

「急いで、マソキの映像をこちらに回してくれ!」

「はいっ!」



 *  *  *



 時間を2時間ほど巻きもどそう。


 勇者王国の『(みやび)の間』。

白龍王ゴッドリュー157世、白龍王妃アシュマナーダ 、ズミレンママ、アズリンパパ、アナ、それとアーナンダと海龍女帝ニーニローリアたちは、マサさんの寿司をあらかた食い尽くし、ヤマト国から直送された最高の純米大吟醸酒をショウガ漬を肴に飲んでいた。


 そうそう、スケさんとカクさんも隅っこの方でアナが持ってきてくれた純米大吟醸酒を飲み交わしていた。二人のボディーガード龍王は、白龍王とアーナンダが苦手なのだ。


(レオ、ホワイトドラゴン偵察隊からの連絡では、百万匹のディアボニクスは、獣人族国の港町ラガルを襲うみたいよ!)

(なに、ラガルを?首都ゾオルも魔軍に攻撃される可能性が大きいんだろ?)

(そうよ。ラガルを見捨てるわけじゃないけど、どうしてもゾオル防衛が優先されるので、リョースアールヴ(光のエルフ)も仙人隊も動かせないわ!)

(うむ... 仙人隊には、新たな任務をしてもらおうと思っているしな...)

(仙人隊にあらたな任務?)

(まあ、それについては、後ほど、作戦司令部で話すけど... 問題はラガルだな...)


 話をやめて腕を組んで考えこんでいるレオに白龍王の念話が届いた。

(レオ殿... ラガルのことは、我々白龍族にまかせてくれんかね?)

(えっ、白龍王さん?“我々”って白龍族の方たちですか?)

(わたしの種族も参加いたします)

アズリンパパが会話に加わった。

(えっ、アズリンさんの種族?)

(パパの種族は麒人族なのよ!)

アナが会話に加わった。


(って... 白龍王さんもアナも、先ほどからのモモとオレの会話を聞いていたのですか?)

(あら、私も聞いておりましてよ)

(私も聞いています、レオさん)

白龍王妃アシュマナーダとズミレンママが話しかける。

(えーっ、じゃあ...)

(私も、ニーニも聞いています)

アーナンダがにっこり笑って横に座って日本酒を飲んでいる海龍女帝の顔を愛おしそうに見る。

(白龍族にとっては、そんなことはアサメシ前なんですよ...)

スケさんがすました顔をして念話で言い、カクさんも大きくうなずいている。


“そうだった... 白龍族って、アナを結婚させたくなかったズミレンママが入れ替わったり、消失したアズマ山麓を復元したり、過去の時間からモノや人を持ってこれる能力を持っているんだった...”

レオがそう考えたとたん、白龍王はじめ、白龍王妃、ズミレンママ、アズリンパパ、アナ、アーナンダ、ニーニローリア、スケさん、カクさんが一斉にレオの方を見てうなずいた。


(あちゃ――!白龍族は“心も読めるんだった!”)

(でも、だいじょうぶですよ、レオさま。ほかの白龍族はともかく、私はいらないことまで詮索しようなんてこれっぽちも思っていませんから!)

アナがニッコリと笑って言う。


「わかりました。では、イザベルやランたちにもわかるように、ここからは普通の会話をしましょう!」

「むろん、かまわん」

「いいですわ」

「レオさんのお好きなように!」


白龍族のトップたちが、レオのそばに集まって来た。


「で、あらためてお聞きしますけど、“我々”って白龍族の方たちなんですか?」

「うむ。白龍族の八大龍王と、ここにいるアズリューズ・リンウル=ヴィン(アズリンパパ)の一族、つまり麒人族の戦士たちじゃ!」

「えーっ、八大龍王って... オレはアーナンダさんとスケさんカクさんしか知らないんですけど...?」

「最初にアヌッタラ宮に来た時に、あの広間におったのじゃがな... 紹介もしなかったからな。みんな、出てきて紹介するがいい」



(みやび)の間』にその者たちは忽然と現れた。


「アナヴァタプタです。レオ殿、よろしく!」


金銀色に光る豪華なコスチュームを着た、がっしりとした体格の龍王から紹介がはじまった。

立派なアゴヒゲを生やしており、コスチュームの色彩もあって、かなりスタイリストのようだ。


ラベンダー色のコスチュームを着ているのは、きれいな顔をした女龍王だった。

男ばかりの龍王の中の紅一点というところか。


「ウパナンダです。よろしくね」


“かなりの美女だな…”


レオはスキル“美女審美眼”でウパナンダのサイズを測定する。


“身長166センチ、B89 - 59 – 90。Dカップだな... けっこうオレ好み!”


(あら、レオさまのお目にとまるなんて、光栄ですわ)

ウパナンダさんはレオを見てニッコリ笑ってウインクをした。


“レレレ... 読まれちゃったよ(汗たら~!)”


(レオさま...?なにを見ていらっしゃるんですか?)

アナから冷たい念話がじと~っと届く。


(あ、なんでもないよ。龍王にも美人がいるんだなって...)


(レオさま... ウワキはしないでくださいね?)

アナからダメ押しがはいる。


白龍奥さんはヤキモチ妬きではないが、レオに無制限で浮気を許しているわけではない。

それは、ほかの奥さんたちも同じだ。


青に鱗模様のはいったコスチュームを着た大男の龍王。


「サーガラ‐大海龍王です。よしなに!」


「えっ、大海龍王さんって言うと...」


そう言って、レオはアーナンダにベッタリの海龍女帝ニーニローリアを見た。


「ああ、ニーニは私の娘です」

「ニーニさんのお父さん?」

「あっはっは!ニーニは一生独身でいるかと心配していましたが、アーナンダという立派な龍王を見初めたようで、これで私も安心しました。親としては、いつまでも手元に置いておきたいのですがね...!」


快活に笑う大海龍王。

楽天的な性格の龍王さんなのだろう。


最後にすこしひょろっとした感じの体形がいやにスマートな龍王があいさつをした。


「マナスヴィンだ。よしなに!」

銀色のコスチュームを着ている。


「え... 一人、二人、三人... ここには四人しかいませんけど?アーナンダさんとスケさんカクさんを加えても七人ですよね?」

レオが八大龍王だから八人いるはずだが… と思って疑問を口にする。


「私も八大龍王の一人なのですよ!」

ズミレンママがDカップの胸を誇らしげに張って言う。


「えーっ、お義母(かあ)さんが八大龍王のひとり―――っ?!」

「そうよ。私の名前はウッパラカ・ズーラ・ズミレン・ゴッドリュー。

れっきとした八大龍王の一人よ!」

「だから、あんなスゴイ能力をもっているんだ...」


レオはズミレンママがアナと入れ替わったり、時間の速さを変える能力をもっていたことを思いだした。


「でも、どうしてズミレンママが白龍王さまの跡継ぎではなくて、アナが跡継ぎなんですか?」

前から思っていた疑問をレオは聞いてみた。


「それはじゃな... 白龍王は男でなければならんからじゃよ!」

白龍王が答える。

「男でなければならない...? でも、アナは女の子...」

「だから、あなたがアナに男の子を生ませれば、その子が次の白龍王になるというわけですよ!」

今度は 白龍王妃アシュマナーダ が答える。


「ふふふ... 期待していますわよ、アナにレオさん!」

ズミレンママがなんだかニヤニヤ笑っているのが気になったが、レオとアナが先ほど子作りに汗を流していたことを想像しながら言っているのだろうとレオは思っていた。


「わかりました。それでアズリンさんの麒人族戦士って、どれくらい参加していただけるのでしょうか?」

「麒人族からは5万の戦士が参加します」

「は?...」


“たったの5万?”


「レオ殿、“たったの5万”でも、麒人族の戦士はあなた方が言うところの“一騎当千”ですよ」

アズリンさんが、レオの心を読んだかのように‐実際は読んでいるのだろう‐控えめに言う。

アズリューズ(アズリンパパ)の言う通りだ、レオ殿。数が少ないからといって見くびってはいかん。現に『勇者グループ』は、少ない数でも魔軍を圧倒して来たではないか?」

白龍王がレオを諭すように言う。


「たしかに... 白龍王さんのおっしゃる通りです。どうもすみません」

レオは素直に謝る。

「麒人族は、あの『鬼人族の動乱』を収める戦いで、大きな貢献をした戦士の集団なのだよ、レオ殿。」


 鬼人族の動乱とは、ベンケイの祖先のドウジュ・シュテンが大王の時代、中央大陸征服を企て大きな戦いを起こした。ことになった大きな戦いを起こした、ミィテラの歴史上有名な『鬼人族動乱期』と呼ばれる騒乱期だ。


 今も昔も鬼人族の軍隊は最強であり、『鬼人族の動乱鬼』においても、鬼人族軍はその強さを発揮し、獣人族国はおろか、人族国にまでも広く攻め入ってそのテリトリーを拡大させていったのだ。

 このままでは中央大陸の諸種族は鬼人族によって滅ぼされてしまうと懸念(けねん)した獣人族と人族は使者を極地(きょくち)白麗(はくれい)山脈に住む白龍王(はくりゅうおう)に送り、助力を願い出たのだ。


 当時の白龍王‐ゴッドリュー156世‐は、息子のモモッタ・ロウ皇子に鬼人族討伐(とうばつ)を命じ、そのときに皇子とともに戦いに加わったのが、勇猛な麒人(きじん)族の戦士5万人だったのだ。

 モモッタ・ロウ皇子を総大将とし、麒人(きじん)族の戦士部隊、獣人族国の大猩々(ゴリラ)族戦士部隊と犬族の灰色狼戦士部隊の精強でもって、鬼人族軍をことごとく打ち破り、当時 人族の首都ガジーマがあったジアーボ湾にまで攻め入り、さすがのドウジュ・シュテン大王も降伏をしたのだった。


 余談だが、戦後処理のために首都ガジーマに滞在していたモモッタ・ロウ皇子は、彼の食事係だったドワーフ娘と恋に陥り、その愛の結晶の来孫(らいそん)がダルーシ・モモッタ・ロウ・バンディ、つまりレオの愛する“参謀室長”奥さんのモモなのだ。




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