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DK世界に行ったら100倍がんばる!  作者: 独瓈夢
ラストウオー
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11-13 白龍王妃の怒り②

「イッヒッヒヒ... どうした? 魔素切れかね?」


アウロラを追い詰めたと思った厭忌(えんき)の者ズァライラが、勝ち誇ったように言う。


「いいえ。あなたが来るのを待っていたのよ。わたしのお友だちへしたことの“おとしまえ”をキッチリとつけてもらうためにね!」


「お友だち?... ... 小娘、おまえはエルフではないね? 

そのオーラはエルフのものではない... 


魔族のオーラに似ているが、それとも違う。小娘、おまえは一体だれじゃ?」

「わたしは、アウロラ・ニルミッタ・ヴィンディーネ・ハゴピアンよ!」


「ニルミッタ...? おまえは、エルフどもに殺されたダイモヴァン の弟子じゃな? 色が白くなり、しっぽもないので気がつかんかったが...」


「種族が発するオーラを識別できるなんて、だてに長生きしてないわね? 

そうよ。私は元靉靆の者、ダイモヴァン師匠の一番弟子のニルミッタよ! 

ただし、訂正しておくけど、師匠を殺したのはエルフでもなければ勇者たちでもないわ」

「ふん。なにをいまさら...」


「わたしは、創造主さまのおかげで、ふつうの生活ができるようになったのよ。

そして、エルフや勇者たちは、元靉靆の者だったわたしを、両腕を広げて受け入れてくれた。

そのように優しい人たちを苦しめたり、殺したりする者は、元同朋であろうとも容赦することはできない」

「ふふん。小娘がうまくエルフどもに丸め込まれて... それで容赦できなければどうする? アタシを殺すかね? イッヒッヒヒ...」


「いえ、あなたにも改心の選択をあげるわ。魔族であることをやめろとは言わないけど、

魔王の手先になって、エルフやミィテラの人々を苦しめたり、殺したりするのをやめなさい」


「やめなければ?」


「...... 二度とそんなことができないようにするしかないわね」



「ごたくはもう結構。死ね――――っ!」 


ズァライラは叫ぶと、両手をアウロラ向けて瞬時にXの字に切った。


空気の振動によって物体を切り刻む超音波の波がアウロラを直撃した。

防御バリアーを張るひまもないほどの早業だった。


“やった!”


とズァライラは思ったが、空気の振動の波はアウロラに当たる寸前にかき消されていた。


「!?」


ふたたび魔素を集中して、空気の高速振動の波をアウロラに放つ。


「!」


やはり利かない。


アウロラは平然としている。


「こ、小娘、なにをした? 防御魔法か?」


「これは“無効化魔法”よ。どのような魔法攻撃でも中和してしまうのよ」


「小癪な... その無効化魔法が利かない、最大効果の殺人波を防いでみるがいい。食らえ――――っ!」


ズァライラは叫びながら、あるったけの魔力をこめて殺人振動波を放った。


バシ――ッ!!


「ギェ――――!」


ズァライラの体は八つに分断されて、血しぶきをあげて落ちていった。


その驚愕で見開いた目は、なぜアウロラに放った最大威力の殺人振動波が自分にもどったのか不可解という目だった。



 アウロラが使ったのは、“還着(かんちゃく)魔法”だった。

“無効化魔法”が、あらゆる魔法を中和する魔法なら、“還着(かんちゃく)魔法”は、あらゆる攻撃魔法を放った者に返すという魔術者にとってはもっとも恐ろしい反撃魔法だった。

 天才魔術師であるアウロラは、無効化魔法と還着(かんちゃく)魔法を習得していたのだ。



「ロラちゃん、すごい... あのお婆ちゃん魔術師を倒しちゃったわ...」

さすがのアイミも驚いている。


「アイミさん、あの娘の魔術に驚いているヒマはありませんよ。すぐそこに、ヴァースキ(スケさん)タクシャカ(カクさん)、それにそこいいるエルフたちを石に変えた魔族が来ていますよ」

白龍王妃アシュマナーダが落ち着いた声で言う。


「おばあちゃん、そいつは私にやっつけさせて!」

「いや、キュリアナ、この魔族はあなたにも難しいわ。

目をふさがないと石にされるし、目をつぶっていては満足に戦えませんからね...」

「でも、アイミさんは...?」

「ふふ。このエルフ女王は、前に石にされたことがあって、その対策を知っているのですよ」

「対策?」



 一陣の風が吹き、乾いた土が舞い上がった。


「誰が、前に私に石にされたって?...」


そう言いながら、真っ赤な髪を長く背中まで伸ばした長身の女魔族が現われた。

袖と襟に金糸の華麗な飾りのついた赤い貴族服に真っ黒なのマント‐裏地が真っ赤‐を羽織っている。


魔王の恋人アニュイパランだ。


恐れるものは何もない、といった自信満々の顔だが― 

アイミたちがおどろくほどの美女だった!


アニュイパランは、黒に金の縁取りのある薄いバッグから、赤いビロードにつつまれたものを出した。

赤いビロードの下には、見たものを石に変えてしまう恐ろしいメデューサの盾があった。

アニュイパランはいつでもそのビロードをとれるように布の上を手でつまんでいる。


「私ですわ。魔王の恋人アニュイパランさん!」


「誰だい、おまえは?......... ああ、そうか、おまえは、カーマダトゥーの宮殿で勇者と呼ばれる人族の男をかばって石になった、エルフの魔術師!」


「私はアイミ・キャロール・テフ・アルマライト。勇者王国の王妃であり、新しいエルフ女王です」


「...... どうしてメデューサの呪いを解いたのか知らないけど、今度は石に変えたあとで元にもどらないように、粉々に砕いてやるわ、エルフの女王様とやら!」


「アニュイパラン、やめなさい。理由もなく人々を石に変えるのは!」


「理由?理由はあるわよ。おろかな者どもが、この盾を見て恐怖にひきつった顔で石に変わるのを見るのが楽しみ、という理由がね!」


「アニュイパラン、あなたは、身近な人が石に変えられた人を見たことがありますか?」


「あーっはっはっは!なにを言っているの、エルフの女王とやら? 

石に変えられるのはマヌケでドジな者ばかりで、ノーブレ・デーモン(高貴な魔族)にそんなマヌケやドジはいないわ!マヌケでドジなのは、おまえたちだけだ―――っ!」


アニュイパランはパッと赤いビロードをとった。

ひと目でも見た者を瞬時に石にしてしまう、(おぞ)ましいメデューサの首がついた盾が現れ、ギラギラと輝く目でアイミを睨んだ... 


   メデューサの盾

挿絵(By みてみん)


「ヒッ!?」

 

メデューサのギラギラと輝く目を瞬時に見たアニュイパランが、恐怖で目を見開いた― 


直後にアニュイパランは、恐怖に歪んだ表情のまま石になっていた。


アイミの前にはミラーバリアーが輝いており、石と化したアニュイパランが映っていた。

メデューサの盾は、アニュイパランの手から落ち、地面に顔を下にして転がっている。



 アイミは、レオたち勇者グループが、魔王がアルフヘイム宮殿をカーマダトゥー宮殿と名前を変えて居城としてしていたところに攻めこんだ時、レオをアニュイパランのメデューサの盾から守って石になった。

 幸いにもアイホおばあちゃんが、エルフの古代魔術を使ってもとの体にもどしてくれたが、そのエピソードのあとで、アイミは仲間が誰もアニュイパランのメデューサの盾の犠牲にならないように対策を研究したのだ。


 勉強好き、研究好きで真面目なアイミは、メデューサの盾の威力はその目にあることがわかっていた。

 メデューサの目を見た者は、その呪いによって石化するのだ。

ならば、メデューサの目を見なければいいが、それでは戦えない。


“では、どうすればいいの?”


 アイミは自問した。


 最初はわからなかった。


何日も、何週間も、何か月も、王妃として暮らしながら、巫女としての職務を果たしながら、

レオの奥さんとして愛され、愛しながら。

子を産み、子育てをしながら…



 そして、最初に産んだふたごのうち、女の子のアイがアイミのように魔術師の素質をもっていることを発見し、よろこんだ。

 男の子のミオンが、髪と目はママそっくりながら、まったく魔術師の素質がないことを知り、ちょっぴり残念に感じた。

 だが、ミオンが愛する夫であるレオのようにふつうの人族、いや、エルフ、いや、ハーフ... まあ、この際、どうでもいいが― であることをうれしく思った。


 アイミより先に妊娠したイザベルがマリステラを産み、ランがレンを産み、モモがタロウ、ミユがジオンとマユラ、と次々とレオの妻たちは子どもを産んだ。

 生まれて来た子どもたちの中は、母親の能力を継いで生まれた子もいた。

 アイが魔術師の素質をもって生まれたように、ランの子どものレンも母親のように瞬間移動と念動力を使えた。


 そしてレンはワンパクだった。

『王子と王女さまのお城』保育園に入園すると、レンのワンパクさは全開になり、毎日、女の子のパンツをまくるようになった。それもカワイイ子だけを選んで。


 アイはママ似で、メチャかわいいので、毎日レンのターゲットにされた。

 そして、アイはレンのエッチ行為から自分を守る方法を見つけたのだ。

それは、レンがアイを次のターゲットにするのを妹ミアの“予知”能力で知ると、なんと“鏡像魔法”でフィラ園長先生に化けたのだ。


 レオはいつも通り、瞬間移動でアイの後に来てスカートをめくると、そこには斑点のある太いしっぽと大きなオシリがあり、驚いて見上げると、怖い顔をした園長先生がいた。


「レン君、女の子のパンツをめくってはダメよ!」

「ヒェ――――っ!」


驚きのあまり尻もちをついたレンだった。


そのことをアイがオクタゴンハウスに帰ってから、アイミに話してくれたことにより、メデューサの盾への対策アイデアが閃いたのだ。


“メデューサの目を映す鏡があればいい!”


 それからアイミは、バリアーの張り方をいろいろと工夫して、シーノが使う光遮断バリアーにヒントを得て、光を完全に反射するバリアーを完成させたのだった。

 しかし、反射バリアーを張るだけではダメなのだ。バリアーを張るための詠唱に時間をかけていては、メデューサの目から守れない。

 メデューサの盾が向けられ、石化される直前に反射バリアーを瞬時に作動させなければ意味がないのだ。


 この問題のクリアは難しかった。

アイミのメデューサの盾対策のことを知ったアウロラは、反射バリアーの立ち上げに時間がかかるのがネックになっていると聞くと


「じゃあ、わたしの使う“増幅魔法(ブースト)”を使って、立ち上げ速度を上げればいいじゃないですか? アイミさんは、魔法をコピーするのが得意なんでしょ?」


 そして、アイミの膨大な魔素量を瞬時に“増幅魔法(ブースト)”を使って大量に反射バリアーに注入することで、百分の一秒という短時間で立ち上げることが可能になった。

 アウロラと“増幅魔法(ブースト)”を使って反射バリアーのテストを何度も何度も繰り返した。


「アイミさん、すごいです!こんなこと、アイミさんしか出来ません!」

とアウロラが驚くほどの速さで反射バリアーを張れたのだ。




「ズミレン、早く、そのおぞましい盾に布をかぶせなさい」

白龍王妃がアズリンママに命令する。


「は、はい、お母さま」


ズミレンママは顔をそむけながら、アニュイパランが落とした赤いビロードの布をかけ、汚物でももつようにくるんで持ち上げる。


「お、お母さま... これ、どういたしましょうか?」


プラキルスタ(白龍王)に、“あなたを愛してやまないアシュマナーダからより...”というメッセージをつけて送ってあげなさい」


「えっ... そんなことをしたら、お父さまが石に...(汗たら~!)」


「ほほほ... これくらいで石になる程度の白龍王なら、間男の方がマシね」


「ま、間男ォ...!」

真っ青になるズミレンママ。


「それで、この女魔族の石像はどうされますか?」

アズリンパパが遠慮がちに聞く。


アシュマナーダが“白龍王の自慢するガーデンにでも置いて来なさい”と言わないか心配なのだ。

白龍王の娘婿のアズリンパパは、そんなことをして白龍王の顰蹙(ひんしゅく)を買いたくないのだ。かと言って、姑である白龍妃の命令することに背くとあとで大変だ。


娘婿とか養子とかの立場は難しいのだ。


「そうね... ヴァースキ(スケさん)に魔王の庭園にでももって行ってもらいなさい)


思わずホッとしたアズリンパパだった。




 *  *  *



「アサグ参謀長殿、同盟国軍の増援部隊が出現したようです。戦車隊と髑髏(ドクロ)部隊が苦戦しています!」

「なに? 増援部隊? 兵力はどれほどだ?」

「はい。エルフの魔術師部隊が4、50名と地上戦闘員が10名ほどです」

グヴァシル将軍(防衛軍司令官)、至急、制圧部隊を!」

「はっ。ただちに一個連隊を送ります」

『ラーヴァ』(快速飛行戦闘船)も必要なら出撃させろ。

戦力を惜しむ必要はない!魔大陸に侵入した者は一人も生かして帰すな!」

「わかりました」


 アサグが命令を下すのを見ていた魔王。

「それで『炎の地獄作戦』の方は、どうなっている?」


「はっ。ゴルゴーン軍団長の新設第六軍の第一陣60万がゾオル郊外50キロの地点に明朝8時に到達予定。船団はゾオル攻撃支援のための『ドゥルガ・ナーガ』(飛行輸送巡洋艦)を残してアンターカ半島に引き返し、第二陣60万を乗せて、ふたたびゾオルにもどります」


「すべて予定通りだな。それで陽動作戦の方はどうだ?」

「はい。これもゾオル南東の港湾都市ラガルを 明朝5時に襲撃すべく向かっています」

「そうか。獣人族国のあの牛頭の王の慌てふためく顔が見えるようだ。ワーッハッハッハ!」



 魔王が大笑いをし、レオたちが新たな魔軍部隊の接近に構えていたころ、夜明け前の暗い魔海峡の上空には魔軍の大船団が、一路、獣人族国の首都ゾオルを目指して隊列を組んで飛行していた。

 そして、その大船団のはるか前方には、おびただしい、数えきれないほどの得体の知れないモノの群れが獣人族国を目指して飛んでいた。

あとからあとから、続々と続くそれらは、夜明け前の空に輝く星のきらめきさえ覆い隠すほどの数だった。



 *  *  *



「ママ、マオトコってなに?」

それまで、アイミとアニュイパランの戦いを見ていたアナが、おばあちゃんとアズリンママのやりとりを見て聞く。


「え... そ、それは...」

アズリンママも答えようがなく、口ごもる。


「アナちゃん、間男って、結婚している女性が作る恋人のことよ」

アイミがさらっと教える。


「えっ...? 結婚している女性が作る恋人?」

しばらく考えていたアナ。


ジロリとアシュマナーダおばあちゃんを見る。

「な、なんですか、キュリアナ? なぜ、私をそんな目で見ているの?」

「おばあちゃんは、おじいちゃんを捨ててマオトコと暮らすの?」

「冗談に決まっているでしょう!それより、また新手の魔軍がこちらに向かって来ていますよ!」

話をそらすつもりか、白龍妃が敵が迫って来ていることを告げる。



 レオたちは応援に駆けつけたミッチェラたちニューエルフのリョースアールヴ(光のエルフ)たちの活躍もあって、魔軍戦車隊と騎兵隊を殲滅しつつあった。

 ベンケイとオリヴィアも、それぞれ魔石エンチャントでパワーアップしたグレイブとシグルズの剣で、リョースアールヴ(光のエルフ)たちに負けじと大奮闘している。


 シーノは、本来の姿‐金色の光を放つホタルのような形‐で、分身して、レオやベンケイやオリヴィアを守っている。

 シーノは少女の体を創造主からもらった時、「みんなを守るのですよ」と言われたのだ。


 レオは100倍速で移動しながら、魔軍戦車を片っぱしからたたき切っている。

100倍力を持ち、フラガラッハの剣を手にしたレオにとって戦車の装甲などは紙にも等しい。

 ベンケイも、今までに倒した名だたる魔将の魔石を6個ほど

はめ込んだ(エンチャントした)グレイブで、戦車を木っ端みじんにしている。

かたやオリヴィアは、経験値が上がったことで威力が増したシグルズの剣で、髑髏(ドクロ)部隊の騎馬隊を一振りごとに10騎も20騎も倒している。



「新手が来るわよ!」


白龍妃の声の直後に西の空にゴマ粒のような点々が数十現れ、エンジン音とともにどんどん近づいて来た。


「今度は、私の番よ!アニュイパランはアイミさんがやっつけてくれたから、これは私がやつけるわ!」


 アナが叫ぶ。


見る見る間にアナの体が輝きをはじめた。

そして、10メートルを超す白龍の姿になった。


全身を大理石のような燐に包まれ、6メートルを超す羽を広げると強く羽ばたき、

一直線に接近する魔軍の『ラーヴァ』(快速飛行戦闘船)の編隊めがけて飛んで行った。



そして、地上にいるレオたちの前には、厭忌(えんき)の者たちの瞬間大量移動魔術で、魔大陸防衛軍の大軍が 出現した。


「仙人隊、かかれー!」


ゲート魔法で駆けつけたニューエルフ主体のリョースアールヴ(光のエルフ)たちの活躍の様子をホワイトドラゴンの上で観戦していた仙人隊は飛びあがらんばかりに喜んで、攻撃を開始した。





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