11-09 死闘①
『踊り子星作戦』チームの指揮官に任命されたラン。
ランは、2週間前の魔大陸への偵察作戦での経験を買われて、今回の急襲作戦の指揮官に選ばれたのだ。
勇者グループ、アウロラとバルキュス司令官やイーデル主席参謀などが参加して行われた作戦会議では、次のことが決定された。
1、リョースアールヴは、攻撃力の優れている者、防御の優れている者、予知能力をもっている者を優先的に選ぶ。
2、ナンバ・ラボが開発した超短波探知機、熱源探知機をもって行き、魔軍の動きを予測する。
3、決して無理をしない。魔軍の戦力が大きすぎる場合は躊躇せずに離脱する。
4、『踊り子星作戦チーム』が危機に陥った場合は、緊急に救出部隊を派遣する。
救出部隊は、勇猛隊、仙人隊、待機中のリョースアールヴ隊となる。
アウロラは、『踊り子星作戦』に参加するリョースアールヴ隊のチームリーダーに任命されると、すぐにリョースアールヴ隊員全員に反射神経と動体視力の猛訓練をはじめた。それも魔法の訓練が終わったあとの夕食後にだ。
それとともに、ザパータの者たちに心を操作されないように、必死になって魔族の古代魔術書を読み漁っていた。
そして、この作業には、元│靉靆の子たち‐今はリニョルフと呼ばれるようになった彼らも自発的に協力を申し出て、年長組を主として対策を模索していた。
魔大陸地図
一週間後、『踊り子星作戦』チームは、夜明けとともに、スケさんの瞬間転移で魔大陸のジーマラ・ゴカラ演習場に出現した。
(えーっ?! これはなに? あれだけ、たくさんあった飛行輸送船、どこに行ったのォ?)
ミユが念話で驚いた口調でしゃべっている。
(本当にどこにもって行ったんでしょう?この前来たときは、見渡す限りあったのに...)
アナも双眼鏡でジーマラ・ゴカラ演習場の周辺を見ながらおどろいている。
(この前、私たちが偵察に来たので、魔軍は同盟国軍による攻撃を予測して、どこかに移動したのに違いないわ...)
ランが腕を組みながら、唇を噛みしめて念話でつぶやく。
今回の作戦では、会話する声や連絡をする声を魔軍の警備隊が使うヒエーナ(魔軍の警備獣)にさとられないように、すべて念話で行うことが決められていた。
3キロほどの距離のところに見える魔軍の演習場の敷地内には、10隻ほどの単胴の大型飛行輸送船しか見えない。小型の護衛用飛行船らしいものも、わずか30隻ほどしかない。
(どうするの、ラン?この前、魔軍の参謀を捕えたように、警備兵か演習場の将校でも捕虜にして聞き出す?)
イザベルがちょっと心配そうな顔をして念話で聞く。
□ □ □ □
昨日の夕方。
ライトパレスの『孔雀の間』と呼ばれるホールで壮行会が行われた。
レオの発案で、『踊り子星作戦』の参加者に、ご馳走と飲み物をふるまうことにしたのだ。
『踊り子星作戦』参加者:
指揮官:ラン。
勇者グループのイザベル、エマ、ミユ、アナとボディーガード龍王の二人。
リョースアールヴは、アウロラがチーフリーダー。
以下、アレク、ロベオ、ジョノン、ツーモル、ミッキオ、ロッキラ、ペタラ、ヨシュミ、ロザリン、タンヤ、ターブ、ミルラ、アエリ、プーラ、スージ、エデュ、ドロレス、セルジ、マヌラ、イータロの20名だが、全員、神衛士や聖衛隊出身のリョースアールヴたち。
ミッチェラ、アルウェン、イドリルなど、16歳にもなってないニューエルフと呼ばれる少年・少女たちは今回の作戦に加えられなかった。
ミッチェラやルーエン、ローリアなどは「なぜ参加できないのですか!」とアイミ先生とアウロラ先生に食ってかかったくらいだった。
しかし、勇者王国では、原則として16歳以下は一人前とは認めないし、結婚も本人の意思ではできないのだ。
ましてや、魔軍やザパータの者たちとの戦いで命を落とすかも知れない危険な作戦に、未成年を連れて行くことはレオたちも認めなかった。
神衛士や聖衛隊出身の者たちも、全員が選ばれたわけではない。
ザパータの者たちや魔軍の防衛隊などと激しい戦闘が予想されたため、魔法能力の高い者しか選ばれなかったのだ。
アウロラは、特に強力な攻撃魔法、防御魔法、それに予知が出来る者を選んだ。
カティアも外された。彼女は妊娠していることが判明したからだ。
「さあ、魔大陸に行って“腹がへったから魔軍相手に戦うのに力がでないよ!”と言わないように、たくさん食べてくれ!」
レオの簡単なスピーチで、『踊り子星作戦』に参加する者たちは、ほかの勇者グループ、レオの王妃と恋人たち、カイオ副王とメイ王妃たち、勇者王国軍の主だった者たちとの夕食をはじめた。
作戦に参加する者たちの家族や恋人なども招待されており、『孔雀の間』は300人ほどの人であふれていた。
「いいこと、レン。お母さんは王国の大事な仕事で数日家にいなくなるけど、お父さんはいるし、ノブノブおじいちゃんも明日にはこちらに来てくれるって言っているから、いい子にしているのよ?」
ランが一人息子のレンと話している。
「ダイジョウブだよ、おかあさん!ぼく、その間にシュンカンイドウとネンドウのくんれんをして、おかあさんみたい強くなって、おどろかせるんだ!」
こちらではイザベルがしゃがんで一人娘のマリステラを話している。
「マリベル、ママは王国とミィテラの世界の平和のための任務に行くけど、ちゃんとフィラ先生やパパの言うことを聞いて、いい子でいるのよ?」
「しんぱいしないで、ママ。わたし、アイちゃんや明美ちゃんと、ほかの子どもたちのメンドウをちゃんとみるからダイジョウブよ!」
ちょっと離れたところでは、ジャバリュー将軍とフィラさんが、ミユといっしょに座って料理を食べ名がら話している。
ミユの二人の子ども ジオンとマユラは、それぞれおじいちゃんの両膝に乗って、フィラさんの膝に乗っているイレーネとジョエルといっしょうけんめいに おしゃべりをしたり、料理を食べさせてもらったりしている。
「ミューロィナ、おまえも19歳になったか。天国にいるマリヒメ母さんも、きっとよろこんでいるだろうな。こんなに立派になって、王妃にまでなって元気な子どもを二人も産んだのだからな!」
「ふふふ。わたしもフィラさんに負けないように、もっと子どもを作るわ!」
「あら、じゃあ私とあなた、どちらがたくさん子どもを産むか競争しましょう!」
「いいわよ。わたしはあと四人は産むから!」
「じゃあ、私はいま妊娠している子のほかに四人産むわ!」
「おいおい... フィラちゃん...」
たらーっと汗を流すジャバリュー将軍だった。
「ロラちゃん、そろそろレオさまと結婚したらどう?」
「いえ、わたしはまだ当分の間、ユーリンさんの娘として甘えていたいと思っています」
「あらあら、ずいぶんママが気に入ったようね?」
アウロラはアイミ、メイ、それにメイの両親であるジャックさんとユーリンさんといっしょに楽しくおしゃべりをしている。
「ロラちゃんは、誰かさんと違ってよく親の言うことを聞くし、部屋もいつもきれいにしているから私もすごく気に入っているのよ」
「なにそれ、ママ? まるで、私がママの言うことを聞かないで、いつも部屋を散らかしていたみたいな言い方じゃない?」
「あら、だって、“カイオさまと冒険よ!”とか“勇者グループの任務よ!”とか言って、いつもカイオさんにベッタリで家にはほとんど寄らず、家にいるときはよごれたパンティやブラを部屋中にあちこち置きっぱなしにしていたのは誰? あれじゃあカイオさんを一度も家に呼ばなかったのもわかるわ」
「ママ!それをここで言うの?!」
「なに言っているの?あなたが“私はいい娘で、部屋もいつも整理していましたよ”なんて顔をしているからよ!」
「あーっはっははっは!」
アウロラがこらえ切れずに吹き出した。
「わーっはっはっは!」
「ほーっほっほっほ!」
「ウフフフフフ!」
「ママ、ひどーい!ハハハハハ!」
一方、こちらは白龍王の孫娘のアナ。
白龍王は、あまりあちこち出かけないのだが、勇者王国にはちょくちょく顔を出す。
なんでも、レオがナンバ市の一流寿司店から引き抜いた寿司職人の寿司が大好きなのだそうだ。
今日も人族の老人に化けて、古代ローマ人が来ていたようなキトンを着て、特別に設けられたカウンター席にアナといっしょに座って、職人のにぎる寿司をおいしそうに食べている。
そして、これもいつも通り(?)、シーノは白龍王の右ひざの上に座って寿司をパクついており、エマは左ひざに座っている。
白龍王の左となりには ズミレンママ、そのとなりにはアズリンパパが少々かしこまって座っており、白龍王の右に座っているアナのとなりには、なんとアーナンダが見目麗しい落ち着いた感じの美女と仲睦まじく座っているではないか。
「それにしてもニーニをここに連れて来れたとは。アーナンダ、おぬしもなかなかやるのう?」
「はい。ニーニが食べたことのない、うまい魚料理があると言ったら、よろこんで来ました」
「ほほーぅ... 美女を釣るには食い物が一番か...」
「ゴッドリューさま、嫌ですわ。まるで私がおいしい料理に目がないような言い方をして...」
ちょっとにらむようなしぐさもお色気たっぷりの美女。
身体にぴったりフィットした、ピカピカ光沢のあるマリンブルー色のドレスを着ており、いやでもそのプロポーションの良さが目立つ。
ニーニと愛称で呼ばれている美女は、海女帝と呼ばれ龍族からも一目おかれているニーニ・ローリアだ。
どうやら海女帝はアーナンダにゾッコンらしい。
寿司職人がカウンターに出す寿司を、上手に箸を使ってアーナンダに食べさせている。
「おじいちゃん、今日もおばあちゃん来なかったね?」
「ああ、あいつはな... さすがズミレンの母親だけあって、よく旅をするのだ」
「私の結婚式にも来てくれなかったし...」
「この間、私が留守のときにアヌッタラ宮に急に現れたらしい」
「えーっ、それいつ?」
「おまえが精霊界に行って傷だらけになって帰って来てからすぐだったそうだ。
ズミレンから、おまえがボロボロになって帰って来たと聞いて、すごく憤慨して
“わたしの可愛い孫に怪我をさせた奴らは、私が根絶やしにしてあげるわ!”
とか言って、すごい剣幕で出て行ったそうだ」
「お、おじいちゃん、私、そんな話だれからも聞いてないわ!?」
「たいしたことではないから、私も忘れておったよ。
ズミレンもあの時、おまえにひどい仕打ちをしたのを後悔していたので、
何も言わなかったんじゃろ...」
レオはと言うと、彼は作戦に参加するメンバーたちひとり一人と話して回っていた。
それがすむと、寿司のカウンター席からはもっとも遠いテーブルに座って料理を食べていたスケさんとカクさん‐アナのボディーガード龍王のテーブルに行って座った。
スケさんには、レオはいつもデートのときに瞬間転移であちこちに移動してもらっているので恩がある。しかし、スケさんは人がいいのか、「そんなことは気にする必要ありませんよ!」といつもニコニコ笑うだけなので、せめてこういう時でも席をいっしょにしてお礼の気持ちを示したいとレオは思ったのだ。
カクさんは、いつも通り不愛想な顔だが、別に怒っているわけではない。
今度の作戦では、スケさんの瞬間転移とカクさんのシーノ並みの防御バリアーがたよりなので、それもあって、勇者王国の王として、あらためて「よろしくお願いします」と頭を下げに行ったのだ。
八大龍王の二人が、白龍王のいるところからもっとも遠いところに座っているわけは、
イーストランジア戦役のおり、老魔女ダイモヴァンが精霊界から召喚した精霊族の巨人たちを
スケさんとカクさんがフリーズして、アヌッタラ宮の白龍王お気に入りの庭園に送りこんで白龍王を激怒させ、十万年冬眠させられるところだったのをアナの知恵で助けてもらったという経緯があり、以来、白龍王にまた怒られないかとビクビクしており、“触らぬ神に祟りなし ”で、できるだけ距離をとっているのだ。
それにアーナンダともちょっとした“いざこざ”があり、立腹したアーナンダに羽毛を鼻に生やされたこともあって‐スケさんとカクさんは、いまだに鼻の孔から羽毛を生やしている‐アーナンダも苦手な一人となっているのだ。
アーナンダもスケさん(九頭龍王ヴァースキ)もカクさん(視毒龍王タクシャカ)も八大龍王と呼ばれる、龍族の中でも最強クラスの龍王なのだが、八大龍王のトップの位置を占めるアーナンダとの能力・力の差はとほうもなく大きいのだ。
□ □ □ □
(タンヤ、スージ、電波探知機レーダーと熱源探知機の方はどう?異常はない?)
(敵の姿は見えません!)
(別段、異常ありません!)
ランの問いかけに、ナンバ・ラボが開発した最新型の探知装置のモニターを見ていた二人が答える。
電波探知機は、電波を発射して遠方にある物体を探知できる最新機器で、魔軍の飛行船の行動をモニターできる装置。熱源探知機は、赤外線により熱を出す物体を探知するもので、透明化魔術で姿が見えない魔術師などを発見するものだ。
どちらも、レオのアイデアを聞いたトム、ユーカワ、サムたち天才少年とナンバ・ラボの優秀な技術者たちが開発したものだ。
(では、アレク、ロベオ、ロッキラ、セルジ、プーラの第一班は、ミユちゃんとエマちゃんを護衛してステルス魔法を使ってゲート魔法で演習場の建物に飛んでちょうだい。
そして手筈通りに魔軍の将校を捕えて聞き出して!それで情報を得られ次第、第二班のターブ、ミルラ、ジョノン、ツーモル、ロザリンはイザベルとともに演習場に残っているすべての飛行輸送船と護衛飛行船を破壊。
第三班のアエリ、ミッキオ、ヨシュミ、エデュ、マヌラは予備戦力として待機。
ドロレス と ペタラ は予知に集中して。イータロ はここの防御!)
(((((((((((了解!)))))))))))))
(私はアールかビーナを連れて来たかったわ...)
イザベルが所在なさげに、地面に腹ばいになったままつぶやく。
イーストランジア戦役では、イザベルはホワイトドラゴンのアールやビーナに乗って魔軍を攻撃したのだ。アールもビーナも翼長30メートルほどある巨大な獣であり目立ちすぎるので、連れて来なかったのだ。
(ホワイトドラゴンは、必要じゃないと思うけど、もし、要るようになったらすぐにゲート魔法で連れて来れるようになっているわ。それにビーナは今、子育て中でしょう?)
(ビーナは、カヴェルナッス洞窟群で発見されたホワイトドラゴンたちのボスだったグルットといっしょになって、現在、5匹のちびっこホワイトドラゴンを子育て中よ)
カヴェルナッス洞窟群の中でグルッタと呼ばれていた大きな洞窟の中で、魔軍が飼育していた32匹のホワイトドラゴンが見つかり、その後、エルフ国内で大事に飼われることになり、エルフ軍や勇者王国軍が成獣を偵察などに使うようになっていた。
(こちらミユ。演習場の建物にうまく侵入できました。今のところは魔兵3人ほどしか見つかっていません。捜索を続けます!)
(こちら、ラン。了解したわ。気をつけてね!)
(ランさん、了解です!)
(警報!警報!何か、大きな危険が迫っています!)
(警報!周囲から敵が迫っています!)
ドロレスと ペタラがほぼ同時に叫ぶような念話を発した。
(タンヤ、スージ、電波探知機レーダーと熱源探知機の方は何も捉えてないの?)
(なにも見えません...)
(こちらも何の熱源も見つかっていません...)
電波探知機のモニターを見ていたタンヤと熱源探知機のモニターを見ていたスージが、頭を横にふりランに応える。
(ミユ、そちらも気をつけて!こちらは今から戦闘状態になるわ!)
(わかりました!そちらも気をつけてください!)
スケさん、カクさんが身構える。
アナも最大警戒態勢に入り、翼を出していつでも高速で飛べるようにしている。
イザベルが立ち上がり、ガンデーヴァの弓を構え、油断なく周りを見る。
エマもイザベルと背中合わせになり、シェキナーの弓の弦をギリギリと引き絞る。
弓にはすでに電光の矢がつがえられている。
予備選力として待機していた、リョースアールヴ第三班のアエリ、ミッキオ、ヨシュミ、エデュ、マヌラたちが、ステルス魔法で一瞬に姿を隠し、高速で上空に舞い上がる。
防御魔術が使えるドロレスがバリアーを張り、スージがランたち全員をステルス魔法で隠す。
(周囲から脅威が迫っています!)
ペタラ が叫ぶような念話を放つ。
(敵が急速に接近中...)
ドロレスが悲鳴を上げるようにアラートを発した直後、
魔族たちは現れた。
常人の数倍の反射能力をもつスケさんとカクさんが、それぞれ攻撃と防御バリアーを張ろうと魔族の方を見たのが致命的となった。
スケさんもカクさんも一瞬で石化した。
そこに現れた、真っ赤な長い髪に真っ白な顔の女魔族が手にもっている小さな盾には、凄まじい形相をした蛇髪をもつ女邪神の顔があり、爛々と光る目で睨んでいた。
「カクさん、スケさん!」
スケさんカクさんより一瞬遅れてその女魔族の出現に気づいたアナが、白銀色のワンドで攻撃するより早く、もう一人の女魔族‐こちらは漆黒の皺だらけの老女だった‐が現われ、両手をアナに向けてXの字に切った。
ズバ――ッ!
アナの体が四つに分断され、血しぶきをあげて転がる。
何が起こったのかわからないような表情のアナの頭が、胸が、下半身、四肢とともにゴロン、ゴロンと地面に転がる。
「アナ―――――ァ!」
叫んでアナに駆け寄ろうとしたランも、瞬時に切断された。
ランの頭と切断された体が切断面から血を吹き出しながら、ゴロゴロっとアナの頭や四肢のそばに転がる。
タンヤ、スージ、ドロレスとペタラも、凄まじい形相をした蛇髪をもつ女邪神の顔がある小さな盾を見た瞬間のポーズのまま石化している。
「ふふふ。なんともたあいない者たちね...」
石化したランたちやリョースアールヴたちを見ながら笑っているのはアニュイパラン。手にもっているのは、見たものを石に変えるメデューサの盾だ。
「この娘は白龍族だね...」
地面に転がっているアナの頭を靴で転がし顔を見ながら、ぼそっと言う漆黒の肌の女魔術師。
「ズァライラ... その娘は、たぶん白龍王の身内だよ」
アニュイパランがちょっとおどろいた顔で言う。
「白龍王の身内... ちょっとマズかったかね?」
「戦いだもの。殺すか殺されるかよ!」
「それもそうだねェ」
「それにしてもザパータの者たちの実力ってすごいわね。
このエルフたちの予知能力の裏をかくことができるんだから...」
「イッヒッヒヒヒ... こんなのは序の口ですよ、アニュイパラン。
見ていてごらんなさい。ヴァシラやグァロイギィたちが、どんな魔術を使うか。
必ずやダイモヴァンの無念を晴らしてみせますよ。イッヒッヒッヒ...」
さすがの アニュイパランでさえゾッとするようなザパータ、ズァライラの言葉だった。




