62 久々アイシャ
俺達が村についた頃、神界の一室でアイシャは書類整理に追われていた。
「先輩、先輩、聞いてますか?私、なんで書類整理しないと行けないのですか?」
書類整理に飽きてきたアイシャは先輩と呼ばれる女神に聞いた。
「バカモン、この世界をお前に任せてから何千年だ?その間お前は書類整理を一度でもしたか?それどころか事務所の掃除もしとらんだろ。いくらクリーンが有っても整理、整頓は自分でやらなければならないのだ。何のために5Sの講習を受けていたんだ。大体な最近の若いものは、」
話が長くなりそうなのでアイシャは書類を片付けるふりをしながら先輩から距離を取った。しばらくして、またアイシャが先輩に聞いた。
「先輩、さっきから鳴っている警報はなんですか?うるさいんですけど。」
すると先輩は
「お前な、何千年もこの世界を見てきたのにまだ覚えていないのか?この時期に警報がなるのはスタンピードが発生しているからだろうが毎年毎年この時期になると各地でスタンピードが起こっているだろう。そんな事見ないでも分かるわ。」
「すみませんでした。」
アイシャは上辺だけで謝り、作業を続けながら弘隆さん達大丈夫かな。あれから先輩に捕まり一回も下界を見てないな、早く先輩帰らないかな。帰ったら下界に遊びに行こう。などと考えていた。
警報が鳴っている端末には無数の「スタンピード発生中」が並んでいる中に「規格外成長個体有り要注意」の表示が紛れ込んでいた。
俺達は村に着いた。いや、正確には村の上空に着いたが正しい。リザレフが村に近づくにつれ、村の方から悲鳴が聞こえてきた。初め、村で何か有ったのか心配だったが違った。村の人はリザレフの姿を見て、悲鳴を上げ逃げ回っていたのだ。ハイ、失敗しました。ランクSの魔獣、馬鹿でっかいエンシェントドラゴンが村の方に近づいて来てるんだ、大騒ぎになるわな。それに背中に乗っている俺達なんて見えるはずもないわな。俺は慌てて【転移】で籠城の準備をしている、ギルマスのチカノーヴァの所に移動した。
チカノーヴァは突然現れた物に驚いていたが俺だと分かると
「おおっ、ヒロタカか無事だったんだな、帰ってきてすまないが今それどころでは無いんだ。エンシェントドラゴンが村に来てな。あやつら普段は大人しいのになんでこんなタイミングで村に来るんだ。こっちはスタンピードで忙しいのに。」
チカノーヴァは愚痴混じりに説明してくれた。
「それがなんですけど、あのエンシェントドラゴンは私の知り合いでして危害を加えることはありません。私達を運んでくれただけです。妻がエンシェントドラゴンに乗りたいって言うもんですから無理言って乗せて帰ってきたんですよ。」
チカノーヴァの目が点になっていた。そして、俺は取って付けたかのように
「それと、スタンピードは終わりました。全部倒しました。ランクSランクAの魔獣は私が確保しましたが残りは全て倒したままなのでご入用でしたらお使い下さい。」
そう言うとチカノーヴァの顔がニコッとなった。
「ほ、本当か、本当にあの大群を一人で倒したのか?」
「ハイ、倒しましたが何か?」
「イ、イヤ何もない。ありがとう。村には何も被害がなく最高の結果になった。感謝する。ありがとう。それに魔獣まで頂いて、本来なら全てヒロタカが持っていっていいのに。すまない、大至急回収部隊を編成する。」
チカノーヴァは謝ったり感謝したり大忙しだ。
「気にしないで下さい。こちらもランクSとランクAの魔獣を頂いたので。」
俺は照れ隠しに頭をポリポリとかきながら言った。
「それとすまないがヒロタカはしばらくこの村に滞在していて欲しい。無理を言ってすまない。」
「あっ、その事なんですが今は村の中には住んでいないんですよ。村外れの森の中に家を建てて住んでいますので。」
「そうだったのか、すまないな。大至急村の中に場所を用意する。」
俺はまさかこんなに話をするとは思っていなかったので空中に待機させているリザレフの事を忘れていた。
「すみません、エンシェントドラゴンを村外れに下ろして帰ってもらいますね。」
そう言うと「すまない」と言った。なんかチカノーヴァさん謝ってばっかりだ。
俺は【転移】でリザレフの背中に行き。リザレフに村外れの空き地に降りてもらった。




