43 精算
俺達はタニエの服屋さんを出て、冒険者ギルドに向かった。
歩いて行こうとすると、
「ヒロヒロ、歩いていくの?【転移】使わないの?」
流石に昼から【転移】したら目立つでしょ
「はい、歩いていきます。健康のためです。」
わけの分からない言い訳に美恵は納得し、歩き出した。
噴水を通り過ぎ冒険者ギルドの別館着いた。
別館に入ると、受付のシャルロッテと目が会った。
「いらっしゃいませ、ヒロタカさん。ゴールデンニードルベアの解体は終わり、いつでも精算出来ます。」
ちょっと早めに来てしまったが。大丈夫だった。
「ありがとう、じゃ、精算していこうかな。」
「それでは一度3番の部屋にお願いします。」
そう言われると一行は3番の部屋に入った。そこには肉の塊が置いてあった。よく見ると骨は外してあった。肉を見ているとレイモンドが部屋に入ってきた。
「おまたせヒロタカさん、食肉以外は買取で良かったんだよね。」
「はい、いいです。」
俺は気になったことを聞いてみた。
「肉についていた骨はどうしたのですか?」
そう言うとレイモンドは
「骨ね、骨は大事だよ。いい材料になる。特にランクAの魔獣だからね。あの骨は硬いよ、それに軽い。あのガタイの魔獣を支える足の骨だよ。生半可な強度じゃ支えきれないよ。だから、武器、防具、装飾品、その他いろいろ、使いみちはたっぷりさ。あいつの中で捨てる物は、ほぼ無いな。消化器官の内蔵物だけは捨てるけどね。」
レイモンドはうまい言い方で教えてくれた。
「あー、う○こよ。勇気、分かった。」
美恵が大きな声で嬉しそうに勇気に説明していた。そこはもっと、小声でお願いします。
「それでだ、食べられる部位の肉を此処に残してある。重さにして約3トンぐらいかな。」
肉は山の様に積んで有った。今まで生きてきて、肉をこんな風に積んだのは初めて見た。
逸樹、勇気は何の興味もないのか退屈そうにしている。それに引き換え美恵、ウルメラ、オリビエはなんかニンマリしている。3人共肉食系女子か。
「普通なら保存しておくのが無理だから売り払うのだが、ヒロタカさんは違ったな。【アイテムボックス】持ちだったよな。【アイテムボックス】は時間経過なしだから鮮度はバッチリか。俺も欲しいぜ。あと、精算だがえっと、」
レイモンドは紙を見ながら、
「えっと、ゴールデンニードルベアの魔石が大金貨1枚だな、それと他の素材が諸々で大金貨7枚だな。素材自体が綺麗で、鮮度もバッチリだったから、この値段だ。まるまるだったら、白金貨だったんだがな。そしてクレイジーシープとビッグスパイダーの魔石が大銅貨3枚づつ、素材が、銀貨3枚つづ、それで、ニードルベアの魔石が2匹で大銀貨1枚、素材が、大銀貨2枚だな」
レイモンドは平然と言うが、魔石が1千万円で、素材が7千万って、どうよ。訳わからん。ランクAの魔獣って、そんなに倒せないのか?
「ウルメラ、ランクAの魔獣って倒せないのか?」
「そうですね、ランクBの冒険者でしたら人数を掛けて、挑めば倒すことは出来ます。が、被害も大きいですね。普通はその依頼は受けません。よく考えて下さい、ランクSの魔獣ですと町が壊滅します。そのランクの一つ下ですよ。」
言われてみるとそうだな。
「ありがとう、それとごめんね。嫌なこと思い出させて。」
ウルメラはニコッと笑って、
「大丈夫ですよ。これぐらいでへこたれていたら。冒険者ヤッていけませんから。」
と、言ってくれた。十六夜に聞いておいたら良かったとちょっと後悔した。
「じゃ、肉とこの紙もって、シャルロッテの所に行ってくれ。」
そう言って、レイモンドは紙を渡してきた。
俺は、肉をしまおうとした時、思い出した。レイモンドに肉をあげることを、そして、俺は短剣を取り出し、バスケットボール大の大きさの肉を切り出し、レイモンドに渡した。
「レイモンドさん、これ、前言っていたお肉です。貰ってくださいね。」
「いやー、悪いね。ありがとう。妻が喜ぶよ。」
それぐらいあげても減った感じがしない肉の山でした。
肉を【アイテムボックス】にしまい、
「じゃ、行きますね。」
「おう、じゃんじゃん魔獣持ってこいよ。」
そういって、部屋を後にした。
そして、シャルロッテの所に戻ってきて、紙を渡した。
「はい、承りました。それではどうぞ、ヒロタカさん、ギルドカードをこちらに。」
そう言って、魔導具を示した。そこにギルドカードを置くと、魔導具が光、すぐに消えた。
「はい、精算完了です。ご確認下さい。精算額は大金貨8枚、大銀貨3枚、銀貨3枚、大銅貨3枚になります。なんか3枚が続きましたね。良いこと起きそうですね。」
シャルロッテは笑って言った。
おれもギルドカードに魔力を流し確認した。そこにはちゃんと入金と残高が表示されていた。
「ありがとう、合っています。」
俺は行こうと思ったが、シャルロッテにも肉をおすそ分けすることに決めた。
「シャルロッテさん、今回はゴールデンニードルベアの肉が沢山手に入りましたのでおすそ分けです。」
そう言って、【アイテムボックス】から取り出そうとした時、【アイテムボックス】内で切り分けられないかやってみた。ゴールデンニードルベアの肉2キログラム取り出す。と念じてみた。すると肉が切り分けられて出てきた。やっぱりスキルすげー。
「どうぞ、お持ち下さい。」
と、手に持ったむき出しの肉をそのまま渡そうとして、しまったと思った。その時、
「ヒロヒロ、はい、」
そう言って、美恵が袋を出してきた。
「ありがと、美恵。」
俺はその袋に肉を入れて、シャルロッテに渡した。
「有難うございます。主人が喜びます。」
そういって、嬉しそうに受け取った。それにしてもレイモンドもシャルロッテも夫婦思いだな。良いことですね。
そして、冒険者ギルド別館を後にした。




