32 冒険者ギルド
「じゃ、冒険者ギルドに行きましょうか。と、言ってもすぐそこなんですけどね。」
そう言うとワグネルは通りの反対側の大きな建物を指差した。
そこには4階建てのかなり大きな石造りの建物があった。
一行は大通りを横切りワグネルさんを先頭に中に入った。
そこは日本の銀行の様であった。入った正面のカウンターには受付っぽい人が10人位に居て、ひっきりなしに並んでいる冒険者と思われる人の対応をしていた。そして右側には大きな掲示板があり、依頼書と思われる紙が貼られ、そこにも冒険者が集まっていた。左側はテーブルがいくつも用意されていて食堂になっていた。そこには朝だというのに何人かがお酒であろう物を飲んでいて顔が赤くなっていた。
俺たち一行を見て、いろいろな所で俺たちの話をしていた。
「誰だ、あいつら。」
「知らねえよ。初めて見る顔だ。」
「誰か知ってるか。黒髪の親父を」
「あいつと居るの、ワグネルさんじゃないか、後ろに居るのは斬撃の乙女のウルメラさんじゃないか」
「本当だ。あの黒髪の親父誰だ。しかも、子供連れって、」
そんな、事など気にせずに空いているカウンターに行った。
そこには茶色の髪の狐の耳をした、20歳位の優しい顔の美しい女性がいた。そして、周りのカウンターを見たらやっぱり受付嬢は綺麗な人ばかりだった。
「おはようございます。あら、ワグネルさん、カウンターに御用とは珍しいですね。」
「おはよう、クレア。今日は先日のアカムスタムへの往復の護衛依頼の件と後ろに居るヒロタカさん達の冒険者登録だな。」
「どちらから、行いますか?」
ワグネルは少しの考え、
「ヒロタカさん一家の冒険者登録からにしようかな。」
「分かりました。」
そういうとクレアはカウンターの下から書類と水晶玉みたいのを取り出した。
「それでは、ヒロタカさん、この用紙に記入してください。」
「家族全員登録しようと思うのですが、後、3枚用紙を下さい。」
クレアは勇気の顔を見て、
「すみません。冒険者は15歳からしか登録できません」
その言葉を聞いた勇気は、
「お嬢さん、わしは、小さく見えるけど、これでも立派な150歳だ。」
その言葉聞いた一同は、何言っとんじゃこの子は、って顔をした。
「ハハハ、勇気、無理あり過ぎっしょ、ロリババアでなくて、ショタジジイか。」
逸樹が思いっきり笑った。
「ハイハイ、分かってましたよ。こんなチビッ子が普通に冒険者登録出来るわけないのを、」
以外と素直に引いたな。
「クレアお姉ちゃん、僕がレベル幾つだったら、特例で冒険者になれる?」
「えっとね。レベルがいくつじゃないのよ。ギルドマスターがいいよって言ってくれたら、冒険者になれるわよ。」
クレアは優しく勇気に教えてくれた。
「そっか、仕方ない今日の所は引いてやる、これで勝ったと思うなよ。」
そんな、捨て台詞を残し、走ってウルメラの後ろに隠れた。
クレアはニコッと笑った。
「それじゃ、用紙を後、2枚頂けますか。」
「可愛いお子さんですね。あっと、用紙をあと2枚ですね。」
そう言って用紙を2枚手渡してきた。
美恵と逸樹に用紙を渡し、カウンターに、呼んだ。
各々、カウンターにあったペンを取り、書き始めた。
「まずは名前か、クレアさん、名前は苗字も入れは方がいい?」
「出来れば、そうして頂くと助かります。」
そこでふと気になり、十六夜に
(十六夜、苗字は前?後ろ?)
『この世界では特に決まっておりません。地域でも違いますし、種族でも違います。』
(じゃ、日本風に)
「名前は、ササキ ヒロタカと、」
そう呟くと、
「えっ、まだそこ。」
美恵に怒られた。負けるか。
「次は性別は、男。年齢は41とスキルは、っと、クレアさん、スキルは正確に書くの?」
「いえ、大丈夫です。スキル、職種、戦闘時のポジションは、無記入でも問題ありません、名前、性別、年齢が有れば問題ありません。」
「じゃ、出来た。」
そう言って用紙をクレアさんに渡すと、
「遅いよ、ヒロヒロ。あんなのちょちょいで書けちゃうわ。」
「ごめんな」
そして、クレアがキャッシュカード位のカードを取り出した。ランクEのギルドカードは木製で仮の身分証みたいだった。
「ランクEのギルドカードになります。これでも魔導具ですから。無くさないようお願いします。今から右手をこちらの丸い魔導具の上に置いてもらいます。私が、魔導具にカードを挿入します。そして魔力を込めて貰いますとギルドカードの作成の終了となります。ちなみに、ギルドカードには名前、性別、年齢、レベルが表示されます。そしてギルドカードは冒険者ギルドにてお金を預けることができ、下ろす事も出来ます。尚、依頼の成功報酬は基本的に、カードの中に預けられます。あと、色々と特典はありますが、この場では割愛させていただきます。それでは、ヒロタカさんから、お願いします。」
そう言われると、俺は右手を魔導具に置いた。すると、後ろから勇気が、小さな声で、
「パパ、あれだよ、あれ。魔道具壊し。魔力流し過ぎて魔道具壊しちゃうやつ。やってよ、ねぇ、やってよ。お・ね・が・い。」
そう言うと勇気は上目づかいでお願いしてきた。
「勇気よ、そのお・ね・が・いは女の子がやってこそ威力を発揮する。男のお前がやっても効果はイマイチだ。よって、却下する。」
そう言うと勇気は「覚えてろよ。」と、言ってまた、ウルメラの所に戻っていった。
クレアがカードを魔導具に挿した。そして、クレアが「どうぞ」と言うので、魔力を右手に込めた。そこは人の子、魔力を多目に流してみて、ちょっとチャレンジした。すると、少し魔力が吸い取られる感じがし、魔導具が光りだした。数秒で光はおさまり。壊れる事はなかった。
クレアはカードを抜き取り確認をしだした。
「はい、出来ました。それでは、確認させていただきます。ササキ ヒロタカさん」
「はい。」
「性別、男。」
「はい。」
「年齢、41歳。」
「はい。」
「レベルは、」
そこで、クレアは止まった。かなり、考え込んでいるみたいだ。そして、小さな声で。
「ヒロタカさん、どうも、魔導具の調子が悪いのか、レベルが107になってしまいました。もう一度やり直しますね。すみません。」
謝るクレアに
「あー、それ、合ってますよ。107で、恥ずかしいのであんまり人には言わないでね。」
そう言うと、クレアは何を言いたいのか分からないが口をアワアワさせていた。ここは「ひゃ、107」って大声で叫んじゃうタイミングでしょうと思った。テンプレ2発、不発だったなと思い、
「これで終わり?」
そう聞くとクレアは少しボーッと俺を見ていた。、
「えっ、あっ、そうです。えっと、詳しい説明はこちらを御覧ください。あっ、違います。失礼しました。」
クレアは軽く深呼吸をし落ち着きを取り戻した。
「説明は後の2人を登録した後、改めてさせて頂きます。その間、こちらの書類に目を通して置いて下さい。」
そう言うと、カウンターの下から書類を出してきて、俺に手渡した。
「じゃ、つぎは私行きまーす。」
美恵がノリノリで言ってきた。




