30 村
門の前まで来ると若い守衛さんが話しかけてきた。
「おはよう御座います。ワグネルさん。朝早くから大変ですね、馬車はどうしたんですか?」
「それがですね、魔獣に襲われてしまって、後ろにいるヒロタカさんに助けられて、ここまで来たのですよ。」
「それは、大変でしたね。確か、護衛にランクBの冒険者パーティーの斬撃の乙女たちと一緒でしたよね。」
そう言うと、ウルメラが前に出ていき、
「生き残ったのは私だけです。」
「ウルメラさん、あなた達がやられるなんて、何が出たんですか?あなた達ならランクBの魔獣でもやられる事は無いでしょう。」
ウルメラは悔しそうに、
「ゴールデンニードルベアでした。」
「えっ、この付近にランクAの魔獣が出たのですか。それは一大事だ。冒険者ギルドに報告をしないと。それで、ゴールデンニードルベアはどうなりましたか?」
するとウルメラは俺の顔を見て来た。俺はうんとうなずいた。
「後ろにいるヒロタカさんが倒してくれました。」
守衛さんは、えっ、という顔でこっちを見てきたので、軽く会釈をしておいた。
「本当なんですか。後ろのおじさんがランクAの魔獣をですか?」
「本当ですよ。その事で、冒険者ギルドに行かなくては成らないのですよ。」
「おおっ、そうですね。では、どうぞと言いたい所ですが、身分証をお願いします。」
そう言うとワグネルもエルムもウルメラもすぐに身分証を見せた。そして、ワグネルが
「後ろの4人は身分証がないんだ。もう一人は奴隷なんだが。」
ワグネルは懐から革袋を出し、銀貨4枚を出し守衛に渡した。すると守衛は、懐から、木の板を4枚出した。
「ハイ、仮身分証です。ギルドで身分証を発行してもらったら。銀貨をお返しいたします。奴隷は主人の所有物になっていますからって、分かってましたね」
そう言うと守衛は頭を掻きながら笑った。
「ハイ、ヒロタカさん、仮身分証です。無くさないようにお願いします。」
そう言うとワグネルは仮身分証を渡してきたので、美恵、逸樹、勇気に回し、すぐに【アイテムボックス】にしまった。
「すみません。ワグネルさん。お金まで出してもらって。」
「良いですよ。これ位、どうってことないです。じゃ行きましょうか。」
一行は門をくぐった。
そこは、村と言うにはしっかりした町並みだった。やはり中世風建築、建物も平屋なんて無い、石造りの3階は当たり前、道路は石畳、馬車もかなりいる、人通りも多い。
「パパ、すっごい、すっごいよ、いろんな人がいる。獣人もいる。リザードマンもいる。あっちにはエルフだ。おー角生えた人いる。羽根が生えた人はいないな。」
勇気のテンションは絶好調だ。
「服のセンスは微妙ね。」
美恵、見る所なんか違わないか?
「フン、どうせ3次元だし。でも、魔女帽かぶってる人いるし。スゲー、リアル魔女だ。ちょっとテンション上がってきたー!リアルメイドもいそうだ。のじゃっ子もいてくれ。」
ハハハ、逸樹、のじゃっ子って、俺は金髪ツインドリル期待だ。しかし、興奮気味なのは家族だけだな、他の人にしてみれば日常だもんな。
「ワグネルさん。ここは村なんですよね。すごく大きくてしっかりした町並み。なのに村なんですか?」
「ハハハ、そうですね。この村は特別なんですよ。確かに町ですね。かなりの人口もいます。なぜ村から町に変えないのか私も知りません。何故か村長が町には変えないみたいで。」
俺はそんなの有りなのか、と思ってしまった。
「確か朝食でしたね。宿屋なんですが、美味しいごはんを出してくれるんですよ。そこに行きましょう。」
【マップ】で町並みを見ているがかなり大きい。町を十字に横切る大通り、その中央に噴水がある。町は大きく4分割されていた。
俺達が入ってきた門は南門みたいだった。大通りを北上し中央の噴水まで来て、東に向かって大通りにを少し歩くと、そこで止まった。
「ここです。ここがおすすめの店で、幸運の夢見亭です。」
なんかすごく良い夢見れそうな店の名前だ。看板は、三日月に天使が座って居た。
「じゃ、入りましょうか。」
一行はドアを開けて中に入った。
中に入るとそこにはテーブルが50ぐらい有り 10人がけの大きいのから 2人用の小さいのまで色々有った。
お客は数組ほど居た。
奥から「いらっしゃいませ」と大きな声が聞こえ、こっちに茶髪の肝っ玉母さん系の女性が向かってきた。
「あら、いらっしゃい、ワグネル、それに、エルムも、あら、よく見たらウルメラも、後は新顔だね。私はここの女将のカルロッタだ、ゆっくりしてってね。」
そして、俺達は10人がけのテーブルに座った。はずだったが、オリビエは座らないので勇気が座るように言っていた。
「オリビエさん、えっとね、みんな座ってるから座ろうよ。」
「勇気さま。私は奴隷の身であり、皆様と一緒に食事など。」
えーい、めんどくさい。
「オリビエ、佐々木家のルール、奴隷も一緒に御飯を食べる。以上。」
そう言うとオリビエは椅子に座った。
「ね、オリビエさん、パパはそんなこと気にしないよ。オリビエさんだけ別だったら、みんな美味しくご飯たべられないよ。」
優しく勇気が言った。
みんなが座るとワグネルが、
「ヒロタカさん、メニューは壁に貼ってるもので、貼ってないのはおまかせ、ぐらいですかね。あっ、ヒロタカさん文字は読めますか?」
俺は壁に貼ってあるメニューを見た。美恵も逸樹も勇気も、キョロキョロして勇気に至ってはいろんなと所を指差して、ウルメラに聞いていた。。えっと、字は読める。日本語じゃないけど、しかも書けそうだ。どんな仕組みだよ。これが学生時代に有ったら、英語の授業楽勝だろうな。
メニューは焼肉、上焼肉、ステーキ、上ステーキ、野菜炒め、スープ、サラダ、フルーツなど色々あったが、基本肉が多いな。
「問題なく読めますよ。ノッピン語ですか?」
「そうです。ノッピン語ですね。そうそう、ヒロタカさんが話しているのも、ノッピン語ですよ。」
俺は驚いた。自分では日本語のつもりだったのに。
「そうなんですか、自分では母国語を話しているつもりでした。」
「ハハ、それでは何を食べます?」
「そうですね。ワグネルさんにお願いします。初めての店は良く分からないので家族全員とオリビエの分もお願いします。」
「分かりました。任せて下さい。エルムと、ウルメラさん、注文してもいいですか?」
エルムは美恵との話を止め、「ハイ」と返事し、勇気に色々教えていたウルメラさんは「大丈夫です。」と答えた。逸樹もオリビエと何か話をしていた。
「すみません。」
と、ワグネルが大きな声で呼ぶと、奥から店員らしき女の子がやってきた。




