19 晩御飯
俺は、外の道具を【アイテムボックス】に片付け、家の中に入った。するとそこは、何やら凄い事になっていた。
「なんじゃ、こりゃ」
そこには無数の魔獣がいて、美恵、逸樹、勇気の三人と楽しそうに座りながらキャッチボールをしていた。
「ヒロヒロ、お疲れ様。お肉焼けた?」
美恵がスライムを抱えて俺に話しかけてきた。そう、ここにはボールはない。ボールになっていたのはソフトボール大のスライムだった。
「お疲れ、親父。」
「やっと、パパ来たな。一緒にキャッチボールしよう。」
「ギャギャギャーギャギャ」「フゴフゴフーゴ」「ガウガウ」
逸樹、勇気に次いで、魔獣達も何か話しかけてきた。俺の常時発動の【探知】の矢印には、ゴブリンジェネラル、オークナイト、ニードルベアそれにボール代わりのスライムの表示がでていた。常時いろいろな矢印が出ているのでそれに慣れてしまい意識しないと気にもならない状態になってしまっていた。
「いやいや、キャッチボールじゃなく、晩御飯でしょ。って、言うかお前ら仲良くしてたか?」
俺のその反応に逸樹が、
「いやいや、違うでしょ親父。魔獣いっぱいのこの状況で、その発言はないでしょう。」
そんな、逸樹の言葉に
「なんか、驚いたら負けみたいな感じがしたもんで、ついな。」
「まいっか、じゃ、飯の時間だから、お前ら帰れ」
逸樹がそう言うと魔獣達は手を振りながら消えていった。
「それじゃ、晩飯出すぞ」
そう言いながら、テーブルと椅子、それに焼き肉と野菜炒め、コップと箸も出した。さすがに時間が進まない【アイテムボックス】だ、さっき焼いたかの様に熱々だ。そうしているうちにみんな席に着いた。コップにプチウォーターで水を入れ、俺も座った。
「とりあえずみんな食べよう。」
「「「「いただきます。」」」」
みんな箸を取り、肉を食べ始めた。
「ヒロヒロ、以外と美味しいね。もっと臭いがきついかと思ってた。」
「調味料無しでこの味か、十分じゃね」
「お肉柔らかいし、野菜炒めも美味しいね、パパ。」
家族の評判は良かった。空腹というスパイスが一番効いていたのは間違いないであろう。
「じゃ、これからの事を言うぞ。」
俺が話しだすと、みんな食べながらこっちを見てきた。
「なんて事はない、明日は村に行く。それだけだ、」
「なんだよ、それだけかよ。」
「第一村人発見!は、僕がやりたい。」
「好きなようにして。」
なんかみんなの反応は寂しかった。それだけ言うとまたご飯を食べ始めた。久々のテレビのない晩ごはんなので会話が続かないので、俺は、逸樹に気になった事を聞いてみた。
「なぁ、逸樹、召喚できる魔獣は増えたか?」
「結構増えたよ、40種類は有るかな」
「で、可愛いの出たか?」
「出ねーよ。」
逸樹はふてくされたように言った。
「多分、可愛いのはレアだな。もしくは高レベルなんだろ。」
俺は、一応フォローしておいたが、可愛いモンスターってどんなのがいるのかな?引き続き食べながら雑談を続けた。
「みんな今日一日いろいろ有ったと思う。不便だった事もある。そんな事をいろいろ言ってくれ。」
何はともあれ、不便は直したい。せっかく異世界に来たけど生活水準は下げたくないよな。
「あるある。いっぱいある。」
勇気が口火を切った言い出した。
「とりあえず、トイレがないよ。」
「私もそう思う。水洗でウォシュレット欲しいし、トイレットペーパーも」
「後ね、友達が居ないから退屈」
「それは村に行ったら小さい子も居るだろうから、それからだな」
「後ね、お菓子とかジュースとかアイスクリームとかない。」
「おやつな。それは村に行ったら作って【アイテムボックス】に入れて置くか。」
「後ね、テレビがない。」
「それはこっちには放送局が無いから無理かな」
「弘隆様、その件についてですが。」
お、久しぶりに登場の十六夜さん
「どうした?」
「弘隆様がレベル1000を越えますと、地球限定ですが【異世界情報収集】というスキルで地球の情報を見たり商品を取り寄せたりする事ができます。レベル2500を越えますと他の異世界も適用されます。」
「ありがとう、十六夜。聞いての通り先は長いのでテレビや地球からの取り寄せはまだ先だな。」
「ヒロヒロ、頑張ってね。」
「パパ、頑張れ」
「親父、俺にアニメとコミックとネット環境をお願いします。」
一際逸樹からの声援は熱が入っていた。
「えーっと他は?」
「差し当たり、お風呂が欲しいし」
美恵からの要求は簡単だった。
「それは楽勝です。この後に作ります。」
「はい、次は?」
「外が怖いです。いつ魔獣が出てくるか」
逸樹の意見はもっともである。この世界では人間の敵は沢山いる。
「そうだな、とりあえず十六夜、魔獣避けの結界みたいのない?」
「はい、あります【結界】ですね」
そのまんまのネーミングだった
「で、これは、魔獣だけ?」
「いえ、設定でいろいろ出来ます。弘隆様のレベルですとランクBの魔獣までで人なら弘隆様のレベル未満までになり距離は70メートルです。」
「これの発動地点は俺?場所?」
「このスキルは場所に発動致します。」
「オッケー、とりあえずこれで家の周りはいいか」
すると《【結界】のスキルを取得しました。》とメッセージが流れた。
「とりあえず、家の柵のところで結界張るぞ。【結界】」
発動させてみると、頭の中に周辺のマップが見えて範囲を設定できた。
「これで寝るときは大丈夫だな」
すると《【警戒】のスキルを取得しました。》と流れた。
「このスキルは常時発動のタイプです。これで危険な時は警告が流れます。なお、罠等にも有効です。基本的に私は寝ないので弘隆様の睡眠中何か有れば起こさせて頂きます。」
「ありがとう。十六夜。」
俺は、再度みんなに聞き始めた。
「後、なんだ」
「ヒロヒロ、時計が欲しい。」
美恵からの要望にすかさず十六夜が答えた。
「僭越ながら答えたさせていただきます。この世界では魔力の作用で各自時計を持っております。自分のステータスを表示させたときに、時計を意識していただくと視界に時計が表示されます。あと、ウィジェットの様に視界に表示させて置くことが出来ます。」
言われる通りにステータスをだし時計を意識した。すると目の前に半透明のデジタル表示の時計が出てきた。時刻は19:31だった。回りを見ると各自時計を出せたみたいだった。
勇気は表示された時計をつかもうと目の前で手を振っていた。
俺は、適当にいろいろ試した。場所移動にサイズ変更に色変更、最終的に視界の左上に黒色で表示させた。最後にアナログ時計になるか試したら出来た。
「パパ出来た。でも目の前に有って邪魔。」
勇気が困ったような顔で言ってきたので答えようとしたときに、
「好きなようにイメージしてみろ場所も変えられるぞ」
逸樹が代わりに答えてくれた。
「で、十六夜、この世界は地球と一緒の一日24時間でいいのか」
「はい、その通りです。一日24時間、1時間は60分で地球と同じとなっておりますが1ヶ月は30日で1年は12ヶ月になっております。」
「そうか、ありがとう。それとこの世界はイメージ力大切みたいだな。」
俺は、気になっていたことを十六夜に聞いてみた。
「はい、その通りです。魔力のを扱うには精神力とイメージが必要です。例えば魔力で棒を作ります。ただ硬く作るとイメージして作った物と魔力を凝縮して金属の様に硬く作るとイメージしたものでは同じ棒でもかなりの強度さが出ます。」
現代知識を持っていると魔法もある程度効率よく使えそうだな。
みんなで食べながらいろいろ困ったことも話をして晩御飯も終盤に差し掛かったときに、逸樹がこんなことを言ってきた。
「なぁ、親父、俺たちレベルかなり上がったよな。それでかなり身体能力が上がってたけど、親父気付いてた?」
「すまん、気にしてなかった。」
周りのみんなの視線が一気に俺に向いた。
「ホントに、ヒロヒロ鈍感過ぎない?私なんてレベル1だけどこの世界に来た瞬間から気付いてたよ。じゃないと私が1メートルの高さの石に飛び乗れる訳ないじゃん」
そう、美恵は運動が得意でなくちょっとポッチャリ系だった。時間の流れは残酷である。
「言われてみればそうだったな。」
「じゃ、十六夜、レベルによる身体能力の上昇ってどんな感じ?」
「はい、弘隆様。まずレベルなのですが一般人が魔獣を倒さないで生活をするとレベル10前後です。初級冒険者でレベル25前後までで、中級冒険者でレベル50前後まで、レベル50を越えると上級冒険者クラスとなります。そして、レベルの身体能力の上昇ですが、レベル50の人はレベル10の5倍です。」
「じゃ、なんだ?一般人がが50キロの重さを運べるなら、俺は、7倍の350キロを運べるのか?」
「はい、その通りです。」
「えっ、本当に?全然気づかなかった。」
その言葉に美恵が
「信じられない。ヒロヒロが解体のときにあの馬鹿デカイ猪を一人で楽々ひっくり返してたじゃない。」
言われてみればそうであった。何も気にせずアングリーボアをひっくり返したりしながら解体していた。
「後何が強くなっているの?」
「後は物理防御力、魔力防御力、体力、素早さ、などが代表的なものです。」
「十六夜の説明を聞いているとハイレベルな人はもうなんか人間じゃないな。」
そんな事を口走ると周りから笑い声が聞こえた。しかし、十六夜は冷静に
「はい、そうですね。それぐらいにならないと高位の魔獣には対抗できませんから。」
十六夜に言われて改めて自分の体がを確かめてみたら、確かになんか体の調子は良い。いろいろやってるけど疲れたって感じはない。それどころか持病の腰痛もない。なんか視力もよくなっているような。良いことずくめだ。
「美恵、レベルが上がると体が楽になるぞ。」
そう言うと、美恵が
「明日は私もレベル上げ連れてってね。」
こんな感じに飯を食べる。日本に居た時も同じだ。すると結構良い時間になっていた。
「そろそろ、風呂にするか」
そんな感じに俺が言うと、
「風呂ってあるの?」
美恵が聞いてきた。
「ないよ、今から造る。」
「ちゃっちゃとしてね。」
「分かりました。ちゃっちゃと造るよ。どうせだから外に造るとしようか」
「ナイス! ヒロヒロ、露天風呂いいね。」
ニカッと笑いサムズアップをして美恵がこちらを見ていた。




