17 解体
血液関係の所を変更しました、
「よーし、いっちょう解体してやるか。」
俺は、【解体】のスキルのおかげで解体手順はバッチリだ。何処の部位が売却可能かも分かるように成っていた。
(得た知識の中で解体のすぐに肉を骨から外してるな。それに血抜きもしていないな。日本での記憶で確か死後硬直で肉が縮んで旨味が流れ出るから、なるべく死後硬直が終わるまで骨から肉を外さないみたいな事を聞いたし、血は細菌が繁殖して臭いがするから抜くなり、細菌が繁殖しにくい温度まで冷やすみたいな事は何処かで読んだんだがな。この件について、十六夜、どうなってる?)
『この件に関して、この世界では死後硬直は魔力の影響で起こりません。そして、血抜きに関しては、この世界では食物の魔力含有量により味差が出ます。魔力含有が多いほど美味しくなっており、血液には沢山の魔力が含まれています。その為、あえて味を落とす血抜きという行為は行っておりません。細菌に関しては魔力自体に細菌に対する抵抗力が有るため繁殖しずらくなっております。尚、肉を冷やすのは魔力の低下により腐敗が始まるのを遅らせる為に行いますので、獲った直ぐに冷やす事は一般的では有りません。』
(なるほどな、じゃ、血液を飲んだら美味しいのか?)
『そういった、嗜好を持たれる方も一部には居られますが、人類はあえて血液を取りだし飲食する事有りません。それと、高ランク魔獣の血液に関してはポーションなどの材料として利用されます。尚、野菜に関しても魔力含有が多いほど美味しいとされております。そして、魔獣は生命活動の停止、野菜は収穫された時から徐々に魔力が放出される為、獲ったら早めに食べるのが一般的です。』
(ありがとう。十六夜。)
『いえ。』
十六夜と脳内で会話をしていた為、何もせず立っていたのに美恵が痺れを切らせて、
「ヒロヒロ、止まってる。どうしたの?解体するんんじゃないの?」
「ちょっと十六夜に解体について日本とちょっと違ったので確認してた。ごめんね、解体するにしてもブルーシートが有ったら良かったのにな。とりあえず、これで行くか」
そう言うと、俺は【アイテムボックス】から5メートル角の石ブロックを出し地面に置き、その上に登りアングリーボアを取り出した。
「地面に直に置くわけにいかないから、石ブロックにしてみた。表面が削り出しの石みたいにツルツルなのでちょうど良いと思ってね。それでは、内蔵を傷付けないように、腹を割いて、」
アングリーボアを仰向けにし左右の足を広げて腹を割いた。心臓がうごいていない為、血が吹き出さないので、作業が楽であった。
スキルとはすごい、俺は40年生きて動物を解体したことなどはないのだ。なのに何も恐怖感も嫌悪感もないし、初めて短剣で切るというのに何の躊躇いもないし綺麗に切れてしまう。体が勝手に動いてしまうのだ。
そして、ここで美恵の登場である。
「美恵、こっちおいで。ちょっと手伝って」
「オッケー!」
石の床板の下にいた美恵は、約1メートルの高さの飛び上がり登った。
「デカっ!下から見てたけど、近づいて見るともっとでかいね。もう猪じゃ無いよね。昔見たアニメ映画の猪だよ。そう、もののけなんちゃらって映画。ちなみに【完全鑑定】で見たらこのアングリーボアは450キログラムです。晩ごはんは焼き肉だね。」
よほど、晩ごはんが待ちどうしいのだろう。
本当は俺一人でも出来るのだが、美恵が退屈そうにしていたので手伝わせようとした時、《【スキル取得効率80倍】のスキルを取得しました》のメッセージが流れた。
「弘隆様、【スキル取得効率80倍】まで開放されていますので、美恵様のスキル取得の為にこちらのスキルを創らせて貰いました。このスキルはパーティー内で適用されますので、これにより幾分かはスキル取得が楽になると思われます。」
「ありがとうね、十六夜さん」
「ありがとう、十六夜」
やる気、満々で近づいてくる美恵の手には抜き身の短剣が握られていた。ちょっと怖いんですが。
「な、内蔵を取り出すの手伝って、」
「ハイハイ、でも、猪、本当にでかいね。」
俺が割いた腹の中をみて、美恵が、
「もっとグロいと思ってたけど、全然だね。じゃ、これから、どうするの」
「とりあえず内蔵を傷付け無いようにね。胃袋、腸関係は特にね。破れると、中のものが出るからね。」
「そうだよね、わかったわ。奴らをぶちまけたら大変だよね。」
そう言うと自分の短剣を使い、あれこれ聞きながら綺麗に内蔵を取り出した。
「ヒロヒロ、この心臓の横にあった石のみたいの何?」
美恵の手のひらにピンポン玉サイズの薄い赤色の石が乗っていた。
「これが魔石だよ。」
「おおっ、これがファンタジー物質の魔石ですか。どう見ても、石じゃ無いね。もうちょっと綺麗なのないのかな。有ったら指輪とか、ネックレスとか作って欲しいな。」
ひとしきり見ると俺に渡してきた。
「えっと、大銅貨5枚だって、じゃ、次は皮を剥いだら良いのかな?」
サラッと大事なことを言ってくれた。
「大銅貨5枚か、日本円に換算していくらぐらいなのか?十六夜。」
「はい、弘隆様。日本円にして5千円位となっております。ちなみにこちらの貨幣は鉄貨は十円、銅貨は百円、大銅貨は千円、銀貨は1万円、大銀貨10万円、金貨100万円、大金貨1000万円、白金貨は1億円となっております。山間部の農村であればほぼ自給自足なので年間、金貨2枚もあれば十分生活は出来ていけます。」
「ありがとう。この魔石だけで5千円か。美恵、ちなみにアングリーボアの価格ってどうなてる?」
「えっとね。銀貨5枚だって、5万円だって意外と安いね。でも一日で5万円稼いだッて思うとかなりいいね。実際ヒロヒロなら、こんな魔獣いくらでも倒せるでしょ。」
「そうだね、この位ならなんぼでも行けそうだけどね。」
「【探知】と【転移】があれば根絶やしにできそうだが大丈夫なのか?」
「問題はありません。魔獣は生殖による繁殖は付属的な扱いになっております。魔獣は魔力が集まり発生します。魔力の濃度が高い場所では強い魔獣が発生しやすくなっております。魔力の濃い場所をこちらでは魔力溜まりなどと呼ばれております。」
「ヒロヒロさっきから話してばっかりだから先に進まないよ。手を動かせ、それか、ご飯の時にでも話をしたら?」
「そうだな、そうしようか。じゃ、皮を剥ごうか。」
そう言うと、ゴロンとアングリーボアをうつ伏せにし足首の方から皮と皮下脂肪の間に短剣を入れていき皮を剥ぎ始めた。
「ねぇ、ヒロヒロ、なんでそんなに簡単そうに出来るの?私もできそうね。」
美恵は反対の足首から皮を剥ぎ始めた。
「意外と難しいね。でも、なんか分かってきた。おおっ、来たよ【解体】。楽勝に取得出来たね。それに、なんか楽しいね。」
ニコニコしながら美恵は皮を剥ぎ続けていた。
「ヒロヒロ、完了。次はバラくよ。」
美恵は、楽しそうにアングリーボアをバラバラにして、肉と骨を分けていった。
「ヒロヒロ、めっちゃ肉取れたよ。今晩じゃ、食べきれないよ。半分位は私が持っておくね。」
そう言って美恵は肉の半分を【アイテムボックス】にしまった。
400キロオーバーのアングリーボアだ、それだけで200キロ近くの肉が取れるから、一食で食べられる訳がない。
少し困り顔の美恵が何を考えているのか、俺にはよく分からなかった。
「内臓も食べられる所有るから後で処理しようか。」
俺は【アイテムボックス】に内蔵を片付けていく。
周りは随分暗くなっていた。
「さあぁ、ステーキにしよう。」




