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ダイナマイト転生。またやらかした!?〜今日も爆発は止まらない〜  作者: 田舎浪漫


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第十二話「未完成」

レオールが叫んだ瞬間、それまでの飄々とした空気が消えた。


「お前らも転生者か……!?いつの時代だ!?どこの国だ!?何をしてた!?どうやって転生した!?閻魔大王に会ったか!?」


「ちょ、一個ずつ頼む」


俺が制すると、レオールは深呼吸を一つして、それからまた一気に喋り出した。


「すまん。……転生して千年。ようやく、話が出来る転生者に会えたからな。少し興奮してしまった」


「話が出来る?…出来ない奴がいたのか?」


「ああ、帝国にな。俺っちは捕虜扱いの身だったから話せこそはしなかったが………俺っちと同郷……フィレンツェからの転生者だと思う。あの危険な思想は―――奴だと思うんだよなぁ。まぁ確信は無いが。」


危険な思想でフィレンツェ…イタリアか。俺は一人思い当たる人物がいるが―――。


「ロザリーどう思う?」


「ふむ。このポルターレの世界は地球の厄介者を転生させるのにもってこいみたいだからな。アルが想像してる奴が私と同じならあり得るだろうな。閻魔帳に載ってたしな」


ロザリーと話しているとレオールが、自己紹介を始めた。


「ああ、そうそう。俺っちは前世ではレオナルド・ディ・セル・ピエロ・ダ・ヴィンチって名前だったんだ。知ってるか?まあ、混乱しないようにレオって呼んでくれ」


「やっぱりか……!」


「知ってるのか?」


「知ってるどころじゃない。レオは超有名人だったからな。ああ俺はアルフレッド・ノーベル。1833年生まれの……死の商人と呼ばれた化学者だ」


レオの目が、みるみる輝いた。


「化学者!!スキルは!?閻魔大王は何をくれた!?」


「……スキルは【錬金化学・極】だよ」


「そうか、そうか!ようやく……ようやく実現出来る!!」


レオが両手で顔を覆った。しばらくそのままでいて、それから顔を上げた。目が少し赤かった。


「俺っちのスキルは【万能転写】だ。見たものを、頭に思い描いたものを、転写出来るスキルだ。だが、―――それだけだ」


誰も何も言わなかった。


「俺っちは地図も書ける。それに設計もできるし、発明も考えられる。だから千年ずっと書いてきた。何枚も何枚も……だがな全部未完成なんだよ。つくる技術がない。俺っちが書いた設計図を理解してくれる人もいなかった。時代が俺っちに追いついていなかったんだ」


レオが俺をまっすぐ見た。


「なあ……完成させるのを手伝ってくれないか?俺っちも出来ることは協力するからさ」


俺はロザリーと顔を見合わせた。ロザリーが小さく頷く。


「……もちろん。俺からも頼む」


俺が答えると、レオが目を輝かせた。


「本当か!?ありがとう!!それでそれで、ロザリーは!?スキルは何だ?」


レオは興奮すると饒舌になるのか……前世では知りえなかった情報だな。


「私も化学者だよ、レオ。まあスキルは幾つかあるからおいおいな。それよりも話を戻すぞ」


「すまない、また興奮してしまった」


レオがロザリーを見た。ロザリーが腕を組んだ。


「ふむ。単刀直入に聞くぞ。帝国にいた転生者は―――マキャベリか?」


「ああ、俺っちはそう睨んでいる。あいつの思想と全く同じだったからな。ロザリーが帝王を殺したけど……まだ影にはあいつが、宰相がいるかぎり油断は出来ないと思うぞ」


ロザリーが少し間を置いてから、静かに言った。


「ふむ、あの宰相がそうだったか。殺しとくべきだったな」


「いやそれも難しい。帝王以上に守りが強いらしいからな。しかも、これも勘だけど宰相の護衛も転生者だよ。攻撃スキルがヤバいんだ」


「……まじ?」


俺の驚きにレオは無言で頷くのだった。


その後も色々と話し合い、この防衛拠点を難攻不落の要塞にすることが決まったのだった。


―――――――――――――――――――


その日の夕方までに、レオは設計図を三十枚以上描いていた。


城壁の断面図、地下水路の配管図、稜堡の角度の計算式、城門の開閉機構の詳細図。全て鏡文字で。


「レオ、鏡文字直すって言ってなかったか」


「癖が出た。後で直す」


「それ、ずっと言ってるな」


レオは返事をせず、また新しい紙に向かった。


マリーがその隣に座り、設計図を覗き込んでいた。レオが気づいて聞く。


「俺っちの設計図に興味があるのか?」


マリーがメモを書く。


『ヴェルサイユ宮殿を毎日見ていましたから。建物には少し詳しいですわ』


「ヴェルサイユ?……どんな構造だった?内部は?設計の意図は?」


マリーが次々とメモを書き、レオが食い入るように読む。気づけば二人は焚き火を挟んで、設計談義を始めていた。マリーのメモとレオの図面が、次々と行き来している。


俺はその光景をぼんやり眺めながら、ロザリーに言った。


「……なんかすごい組み合わせだな」


「ふむ。天才建築家と、天才建築家の作品の中で育った王妃か。確かに面白い」


―――――――――――――――――――


翌朝、夜明け前から仮拠点が動き始めた。


村へ戻る一行の準備が整っていた。戦えない者たち、老人、子ども、怪我人。百人近い人々が、思い思いの荷物を抱えて集まっている。

グリーンウッドさんが俺の前に立った。


「アル。後のことは頼んだぞ」


「グリーンウッドさんこそ、女王様への説明、大丈夫ですか」


「……正直、自信はない」


珍しく弱気な顔をしていた。


「まあ、なんとかするわい。儂もそれなりに長く生きておるからの」


グリーンウッドさんはそう言って、踵を返した。


「達者でな」


一行が歩き出した。グリーンウッドさんが先頭に立ち、振り返らずに歩いていく。


俺はその背中が小さくなるまで見送った。


―――――――――――――――――――


見送りが終わると、レオがもう設計図に向かっていた。


「アル、昨夜考えたんだが地下水路の分岐をもう一本増やしたい。東側の井戸と繋げれば――」


「任せる」


「アル、城壁の上にバリスタ――」


「任せる」


…………その後も設計を、ほぼレオに丸投げした難攻不落の要塞建設が、始まった。




名前:レオナルド・ディ・セル・ピエロ・ダ・ヴィンチ

別名:万能の天才/未完成の巨人

生没年:1452年 − 1519年(享年67)

出身:イタリア・ヴィンチ村

職業:画家/彫刻家/建築家/科学者/発明家/その他多数

知力:★★★★★

人類史上最も多才と言われる人物。興味を持った分野に境界線を引かなかった。

観察力:★★★★★

自然・人体・水・光。見たものを全て記録し、理解しようとした。その眼は顕微鏡も望遠鏡もない時代に、誰も見えていないものを見ていた。

発明力:★★★★★

ヘリコプター、戦車、太陽光発電……時代を400年以上先取りした設計図を無数に残した。

完成率:★☆☆☆☆

生涯で完成させた絵画はわずか十数点。膨大なアイデアのほとんどは、設計図のまま眠り続けた。

謎:★★★★★

なぜ鏡文字で書いたのか。なぜこれほど多くを未完成のまま残したのか。今も正式な答えは出ていない。

特殊スキル:

「万能転写(Trascrizione Universale)」

見たものを完全に記憶し、頭に思い描いたものを設計図・絵画・発明図として即座に再現できる。

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