第6話 ⑥ 帰ってきた者たち
北区に戻った一行は、そのまま地場のホームセンター“大クス”に到着。一切迷わずに農機具コーナーに向った。
「あったあった」
大型カートに背負い式の芝焼き機を入れる。背負ったタンクから燃料を噴射して野焼きを行う機械であった。
「サトルくん、でもこれ足元しか焼けないみたいだけど?」
「お前は早く死んでるから知らないだろうけど、こいつはオプション前提なんだよ」
次に付近にあったオプションの大型ノズルと一回り太いホースをカートに入れる。その後別のコーナーにあった小型ボンベも入れた。
「組み合わせたらできあがりって訳さ」
この組み合わせが一体何を意味するのかは後に明かされることになるが、この段階ではマドカは良く分かっていない様子だった。
次に向ったのは銃のコーナー。一家に一丁軽機関銃と対戦車ロケット砲が備わっていると言われる福岡市北区なので、本土では絶対にご法度なこれらがこの地では、レジで年齢確認のボタンさえ押せば堂々と購入可能なのだ。
「とはいえさすがに数に制限があるからなぁ……」
現時点のサトルには軽機関銃一丁と規程の弾数しか購入できない。あくまでも自衛用に販売されているので、“過剰防衛”になりかねない数は売って貰えないのだ。
しかし猟銃として認められるので購入制限が緩いボルトアクション式のライフル銃を狙撃用として、接近戦への備えとして拳銃と散弾銃、そして短機関銃を複数購入。
「ナツキ先輩はやっぱり弓ですか?」
「そうね。コンパウンドボウがあると助かるわ」
こうしてナツキ用の弓用品を購入することに。ホームセンターでは銃と違ってあまり品揃えが良くないので、隣接するスポーツショップで購入する事に。
「しっかし先輩よぉ。なんで弓なんだい?」
カツミの質問にナツキは涼しい顔で答える。
「銃だと弾切れしたら現地調達は不可能でしょ?でも矢なら向こうで幾らでも調達できるわ」
「なるほど。そいつは一理あるな」
試し射ちの的を楽々と射抜くナツキ。次に実戦を想定して動く的を動きながら狙うが、これも正確無比に射抜くと、誰もが感嘆の声を漏らした。
「お兄ちゃん、次は?」
「おもちゃ屋だよ。おもちゃちゃちゃちゃ……」
ローカルCMソングを口ずさみながら向ったのはおもちゃコロシアムエンジェル。サトルの馴染みの店だ。
「すみません。パイナップルを6ダース下さい」
「あいよサトルくん。今回は入用なんだね」
「ええ」
表に置かれていない商品だが、常連が頼めば出てくるのがパイナップルと呼ばれる“花火”である。爆発の火花は驚くほど地味だが、強烈な爆風と破片を撒き散らす花火なのだ。
サトルが支払を済ませると、店員が鼻歌交じりに6ダース分を車まで運んでくれた。
「さて、あと必要になるのは……」
サトルがさらに欲しがったのは軽機関銃だった。しかしショットガンや拳銃、ボルトアクションライフルならともかく、機関銃ともなると、それなりのルートでないと入手が困難だったのだ。
「おう、オレに任せろ!」
カツミが胸を張ってドヤってみせた。案内に従って道を行く。
「おう、まだやってるみたいだな」
到着したのは人気少ない雑居ビルの地下一階。カツミはとある店の前で入り口に設置してあった機械に暗証コードを入力する。
「誰だ?」
コードに間違いはなかったのだろうが、転生したカツミを知るはずが無いので誰何を受けたのだ。
「おう店長。カツミだよ」
「お譲ちゃん何者だ?確かにカツミ専用の符号を知っているみたいだが……」
カツミはすでに事故死しているのだから当然の反応である。
「ああ。オレはあのカツミと生き別れで育てられてた双子の妹だよ。アイツがくたばる前から連絡取っててさ、入用があったら頼れって言われてたんだよ」
「……。いいだろう」
こうして店内に通される一行。店内には大量の重機関銃、対戦車ロケットがこれでもかと並べられていた。
「それで?」
「ああ。とりあえずミニミを三丁。(ブローニング)M2(重機関銃)と(バレット)M82(対物狙撃銃)も。もちろん弾薬もセットでな。代金はこいつが払う」
サトルを親指で差してニヤけるカツミ。大きく溜息をつくサトル。
「先払い、できるかい兄ちゃん」
「ああ」
あらかじめ用意しておいた現金を見せる。店主はゆっくりと頷いた。
「よしわかった。どこの連中とやりあうかは知らんが、まああんまり派手にやらんでくれよ」
「おう。その心配はいらねえよ」
異世界で派手に使うためだと言っても信じないだろうが、いずれにせよこちらに影響はでないだろう。
銃はともかく弾薬を用意するのに時間が掛かるとの事だったので引渡しは三日後に。
「これで後は……」




