教室の二人
面倒くさい。俺は起きて早々そう思った。最近まで春休みで学校に足を運ぶということがなかったため、学校に授業を受けに行くという行動がとても憂鬱に思える。だからと言って学校を休むわけにはいかなからなぁ。準備するか。
階段を降りると玄関には両親がいた。ちょうど父さんが今から出勤するようだ。
「おはよう母さん、父さん」
二人に挨拶をするとどちらもこちらに顔を向け笑顔で挨拶を返してくる。
「おはよう、奏斗」
「おはよう。奏斗、昨日話聞けなかった分今日は帰ってきたら聞かせてくれよ?」
「わかったよ。聞くのが途中で嫌になるくらい話してやるよ」
「おっ、言うじゃないか。帰ってくるのが楽しみだ。じゃあ行ってくる」
「いってらしゃいあなた」
「いってらしゃい父さん」
俺もさっさと準備して行こうっと。
いつもどおりイヤホンを装着し、お気に入りの曲を集めたプレイリストの再生ボタンを押す。
「行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」
教室についたが誰もいない。ちょっと早すぎたようだ。。普段は多くの人がいる場所に自分一人というのは不思議な心地になる。今はまさにそれだ。誰もいないから少し気が抜けてしまう。聞いている歌をつい口ずさんでしまうくらいには。
「その歌なーに?」
え?誰だ?声のしたほうを見るとそこには高瀬がいた。来たことに全く気が付かなかった。と、とりあえず挨拶するか。
「お、おはよう高瀬」
「おはよう。朝からご機嫌そうだねー。何かいいことでもあった?」
これは誤魔化しようがないな。
「誰も教室にいないから気が抜けてたんだ。あと俺が歌を口ずさんでいたことは忘れてくれ」
「それはちょっと無理なお願いかなー。もう脳裏に焼き付いちゃった!それより何の曲聴いてたの?」
変に言いふらさなければいいのだが。高瀬はそんなことしなさそうだしその点の心配は杞憂か。
「ミスチルの『I'll be』だ」
「ミスチルって、Mr.Childrenのことだよね。もしかして南部君って親の影響めっちゃ受けてる人?」
「その部類に入るだろうな。親の車の中とかでずっと親のお気に入りの曲聴いていたからな」
「めっちゃわかるー。でも私の親ミスチルはあんまり聞いてないから私もそこまで知らないんだよね。ねぇねぇミスチルのおすすめの曲とか教えてよ。君が歌ってるの聴いて少し興味がわいてきちゃった。」
そういえば曲を聴くのが趣味と自己紹介で言っていたな。
「やっぱり最初は一番人気な曲を聴くのがいいと思うぞ。『HANABI』か『Tomorrow never knows』とかだな」
「ちょっと今聴いてみるね。えっと、、これか」
目の前で自分が勧めた曲を聴かれるというのは緊張するな。別に自分が作った曲というわけではないのに。高瀬がイヤホンを外した。どうやら聴き終わったようだ。
「どうだった?」
「これはハマるね。歌声は聞いてて落ち着くし、歌詞もめちゃくちゃいいし、気づけば引き込まれちゃってた」
「お気に召したのならよかった。気が向いたらほかの曲も聴いてみてくれ」
「うん!てか南部君って曲聴くの好きなんでしょ?今度私の一押しの曲も教えてあげる!」
俺たちはそのあとも好きな曲について時間が来るまで話した。




