どうしたんだい少年?
「なぁ奏斗、本当に部活入らないのかよ~?」
「別に絶対に入らないってわけじゃないさ。もし惹かれる部活があったら入ってみるのもありかもな」
俺たちはその後さまざまな部活動を見学しに行ったが、今のところ興味を持てるような部活は見つかっていない。正樹はバスケ部をもっと見学したいとのことなので一旦行動を別にすることにした。
俺は今一人でこのとてつもなく大きな学校に慣れるべく、校舎内を散策している。デカい。マジでデカい。学校に必要なものが全てそろっている。まさに理想の学校と言えるだろう。そんなことを考えながら歩いていると気づけば俺は学校の中で迷子になった。恥ずかしい(*ノωノ)。学校の中で迷子になるなんて。てか迷子になるほど広いってどんな高校だよ!
「どうしたんだい少年?ここにいるってことは私たちの同好会のポスターを見て興味を持ってきてくれた見学者かな?」
呆けていると急に声をかけられた。振り返ってみると新緑のような深い緑の瞳と、背中まで流れ落ちる豊かな金髪を持った女性が目の前にいた。どうやら部活いや同好会?の見学者だと思われているようだ
「いや実は、、、」
「?」
どうしよう。実は学校の中で迷子になっちゃったんです。そんなこと口が裂けても言いたくない。なので俺は彼女に話を合わせることにした。
「そ、そうなんですよ!ポスターを見て少し興味がわいて」
「そういえばこの間ポスター外したっきり貼りなおしていないんだった」
、、、、は?この人カマかけたな。だって馬鹿にしたような顔でこっち見てるもん。もう正直に話すしかないか。
「本当は迷子になっているだけです」
「アハハハハ!がっ、学校の中で迷子って君面白いね。」
予想通りめちゃくちゃ笑われた。こうなる事がわかっているから言いたくなかったんだ。
「ここで出会ったのも何かの縁だ。どう?見学していかない?見学しに来てくれたら玄関まで案内してあげるよ」
正直このまま俺一人では学校から出るのにかなり時間を要するだろう。最悪このままだと今日中に帰ることができず学校内で夜を明かすことになってしまうかも。それだけは絶対に避けなければならない!
「そうですね。どうせ暇でしたし見学させていただきますよ」
「よし来た!ただ暇だったわけじゃないでしょ?ま・い・ご だったんだから」
どうしよう。俺この人苦手かもしれない。
「ようこそ!私たち音楽同好会へ!」
今俺たちはおそらく部室?いや同好会らしいから同好会室?と思われる場所にいる。部屋の中には棚が2つと長机が3つ置かれている。棚の中にはおびただしい程のCDが並んでいる。俺は普段音楽を聴くときはスマホを使っているのでCDは片手で数えられる程度しかもっていない。そんなこともあったため俺は棚に並ぶCDに目を奪われていた。
「? もしかしてCDを見たのは初めてか?少年」
どうやら俺の視線が棚に向いていることに気づいたようだ。
「さすがに見たことありますし、少しだけだけど持っていますよ。たださすがにこの量には圧倒されますね」
今時CDを使って曲を聴く人がどれくらいいるのだろうか。スマホやパソコンなどで曲を聴けるようになってからはほとんどの人がCDから離れているだろう。実際、スマホなら外出先でも好きな時に好きな曲を聴けるから便利なのだ。
「そういえば自己紹介をしていなかったな。私の名前は水野 三重二年生、つまり君の先輩だ。君の名前は?」
「南部 奏斗です。先輩は一人でこの同好会を?」
「まぁそうだね。あ、でも君がいるから二人かな?」
「一言も入るなんて言ってませんよ?」
「え~入ってくれよ~。頼むよ~いつも一人で暇なんだよ」
正直俺は現段階で少しここに興味を持っている。だが3年間在籍し続けられるほどかと言われてしまえばそれは分からない。
「と、とりあえず体験入部させてください!それでここに入るか決めます」
「本当かい!?ありがとうよ南部クーン」
目を輝かせてこちらを見たと思ったら、いつの間にか涙目になっているしこの人めっちゃ感情の起伏激しくない?
「まだ入ると決めたわけじゃないですよ、先輩」
「わかっているとも!この水野三重君がここに入りたくなるよう最高の体験を提供しよう!」
はぁ、大丈夫かなこれ?




