学校初日
中学の入学式の時も思ったが、どうしてこうも校長の話というのはつまらないのだろうか。卒業式なら話を聞いているうちに、それまでの学校生活を振り返って涙の一つや二つ出るのだが、、。今はあくびが出るほど退屈だ。きっと俺だけじゃなく多くの新入生が同じ気持ちだろう。案の定正樹は立ちながら寝ている。こんな時間を過ごすくらいなら何も考えず好きな曲を聴いていたいものだ。
「新入生挨拶。新入生代表神波 葵衣さん」
いつの間にか校長の話が終わって新入生代表挨拶に移っていたようだ。代表ってことは俺たちの学年の首席入学者ということなのだろう。俺は後ろのほうに並んでいるため、代表者様のご尊顔を拝むことは難しい。まぁ、話す人が変わったところで退屈なことには変わりないのだが。
結局、終始ただ立っているだけの面白みのかけらもない入学式だった。入学式に面白みを求めるなと言われたらそれまでだが。仕方ないだろう、新しい環境に来たのだから期待を少なからず抱いてしまう。教室に戻って間もなく担任が口を開く。
「自己紹介をしよう!仲良くなるためにはまずはそれからだ!」
自己紹介。それはチャンスでもあれば地雷のようなものでもあるのだ。ここでの己の言動が後の学校生活を決めるといっても過言ではない。故にここでの失敗は許されないのだ。とはいえこれには絶対に失敗しない方法がある。その方法とは――前の人の型に合わせて自己紹介をすることだ。我ながらこの発想をできる自分が怖い。
「じゃあまずは担任の私から。名前は小川 晴香。担当教科は生物。特に部活の顧問などはしていないぞ。買い物やカラオケに行くことが好きだ。これから一年間よろしく!」
とても明るく元気な先生のようだ。生徒からすればこのような馴染みやすい人が担任をしてくれるのは非常にありがたいものだ。さて、俺は自分の自己紹介を考えよう。名前を言って、出身中学、そして好きなことはなにかを言って最後に一言。完璧だ!
一通り全員の自己紹介が終わり、下校の時間になった。ちなみに俺の自己紹介は本当に何の変哲もない普通のものとなった。
今日はどうやら部活動の見学ができるらしい。中学の頃は運動部に入っていたが高校ではどの部活に入る気もないので俺には関係のないことだ。
「南部君はどこの部活に入るの?ちなみに私はまだ決まってないんだけど、」
変える準備をしていたら高瀬から声をかけられた。
「俺は今のところどこにも入るつもりはないかな」
「そうなんだ。面白そうな部活見つかるといいね!私友達と見学行ってくるから。じゃあねー」
「じゃあな」
さて、俺も帰るとするか。正樹はきっと部活動見学に行くだろうし、今日は一人で下校するか。
「なーにかえろうとしてんだ?」
右肩に手が置かれたので振り返ってみるとそこにはニヤニヤしながらこちらを見てくる正樹がいた。これは、予定より帰るのが遅くなりそうだ。




