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【全11話・一挙公開】『退学になった俺だけが世界の脚本を読める。七日後に世界は終わるらしいので、モブ女子と最終話を書き換える』  作者: 鷹司 怜


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4/11

第四話 世界終了まで六日


 その夜。


 俺は眠れなかった。


 ベッドに横になっても、空に浮かんだ文字が頭から離れない。


【運命修正開始】


【次の犠牲者が選定されました】


 そして。


【最初の犠牲者が動き出す】


 嫌な予感しかしない。


 世界終了まで残り六日。


 その間に何かが起きる。


 いや。


 もう始まっているのかもしれない。


 スマホを見る。


 午前二時。


 ため息を吐いたその時だった。


 視界に文字が浮かぶ。


【第一犠牲者 藤堂拓海】


「誰だ……?」


 見覚えのある名前だった。


 少し考えて思い出す。


 同じ高校の三年生。


 サッカー部のエース。


 女子人気も高い有名人だ。


 なぜその名前が今表示されたのか。


 次の瞬間。


 さらに文字が増える。


【第四話 飛び降り】


 全身が凍った。


 翌朝。


 俺は制服に着替えると家を飛び出した。


 退学が決まったとはいえ、まだ正式な手続きは終わっていない。


 学校へ行く理由はある。


 いや。


 行かなければならない。


 人が死ぬ。


 脚本通りなら。


 学校へ着くと、校門の近くに星乃がいた。


 まるで待っていたかのように。


「おはよう」


 静かな声。


「……なんでいる」


「待ってた」


 当然みたいに言う。


 最近分かってきた。


 この子は見た目以上に変わっている。


「藤堂拓海って知ってるか」


 俺が聞くと。


 星乃の顔色が変わった。


 それだけで十分だった。


 やはり知っている。


「見えたんだね」


 小さく呟く。


「何が起きる」


「飛び降り」


 即答だった。


 背筋が冷える。


 俺と同じ情報を知っている。


「どうして分かる」


 だが。


 星乃は答えない。


 代わりに空を見上げた。


「急がないと」


 二人は校舎へ向かう。


 藤堂拓海を探すためだ。


 校内はいつも通りだった。


 笑い声。


 雑談。


 部活動。


 誰も世界の終わりを知らない。


 誰も自分が物語の中にいることを知らない。


 その時だった。


 俺の視界に新しい文字が浮かぶ。


【屋上】


 反射的に顔を上げる。


 嫌な予感。


 俺は走り出した。


「冬月!」


 星乃も追いかけてくる。


 階段を駆け上がる。


 一段飛ばしで。


 息が切れる。


 心臓が痛い。


 だが止まれない。


 そして。


 屋上の扉を開いた。


 風が強かった。


 フェンスの向こう。


 一人の男子生徒が立っている。


 藤堂拓海だった。


 今にも飛び降りそうな位置。


「待て!!」


 俺は叫ぶ。


 藤堂が振り返る。


 驚いた顔だった。


「誰だよ、お前」


「そこから離れろ!」


「関係ないだろ」


 その目は死んでいた。


 絶望している人間の目だった。


「関係ある!」


 俺は一歩前へ出る。


「死ぬな!」


 藤堂は笑った。


 乾いた笑いだった。


「なんで分かるんだよ」


 言葉に詰まる。


 言えない。


 脚本が見えるからなんて。


「全部終わったんだよ」


 藤堂が呟く。


「将来も」


「夢も」


「全部」


 風が吹く。


 体が揺れる。


 危ない。


 本当に飛ぶ。


 そう思った瞬間だった。


「違う」


 静かな声。


 星乃だった。


 彼女が前へ出る。


「まだ終わってない」


 藤堂が顔を上げる。


「何が分かるんだ」


「分かるよ」


 星乃は言った。


 不思議なほど真っ直ぐに。


「終わったと思っても」


「世界は続くから」


 その言葉に。


 藤堂の表情が揺れた。


 数分後。


 藤堂はフェンスの内側へ戻った。


 教師たちが駆けつける。


 騒ぎになる。


 だが。


 命は助かった。


 俺は大きく息を吐く。


 間に合った。


 そう思った。


 その瞬間。


 視界に文字が現れる。


【運命改変成功】


 初めて見る文字だった。


 そして。


 その下に新たな文章。


【世界終了まで残り五日】


 数字が減る。


 だが。


 その直後だった。


 最後の一文が現れた。


【第二犠牲者が選定されました】


 俺は凍り付く。


 終わっていない。


 まだ始まったばかりだ。


 隣では星乃も文字を見ているような顔をしていた。


 そして小さく呟く。


「今回は早い……」


「何がだ」


 問いかける。


 だが彼女は答えない。


 ただ悲しそうに笑った。


「ごめん」


「まだ言えない」


 その表情を見て確信する。


 星乃紬は何かを知っている。


 世界のことを。


 俺のことを。


 そして。


 何度も繰り返された終わりのことを。


【第五話 星乃の秘密】


 文字が静かに浮かび上がった。

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